呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:197

COVID-19流行下の熱中症対応の手引き/日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急

 本格的な夏を迎え、熱中症による搬送数も増えている臨床現場では、今までの夏とは異なり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染防止に配慮した対応に迫られている。  先般、日本感染症学会・日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本呼吸器学会の4学会はワーキンググループを構成し、6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を発表した。そして、今回この提言の追補版として、国内外の論文2,736件の情報を抽出し、臨床現場で活用可能な「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(医療従事者向け)」を作成し、公開を開始した。  本手引は、6つのクリニカルクエスチョンに対し、詳細に解説を加える体裁で書かれ、今後も4学会では情報収集とアップデートを行うとしている。

中国の新型コロナワクチン、第II相試験で抗体陽転率96%以上/Lancet

 中国で開発されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の、遺伝子組み換えアデノウイルス5型(Ad5)ベクター化ワクチンは、ウイルス粒子5×1010/mLの単回筋肉内投与により有意な免疫反応を誘導し、安全性は良好であることが示された。中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏らが行った第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。著者は、「結果は健康成人対象の第III相試験で、ウイルス粒子5×1010/mLのAd5ベクター化COVID-19ワクチンの有効性を検証することを支持するものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

新型コロナ抗原検査の同一検体でインフルの同定も可能に/富士レビオ

 2020年7月27日、富士レビオ株式会社(代表取締役社長:藤田 健、本社:東京都新宿区)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原の迅速診断キット「エスプライン(R) SARS-CoV-2」で用いる検体処理液が、インフルエンザウイルス抗原の迅速診断キット「エスプライン インフルエンザ A&B-N」においても使用できることを確認したと発表した。  これまで、インフルエンザ流行時の新型コロナウイルスとの鑑別対応が不安視されているが、本キットにより、新型コロナウイルス抗原およびインフルエンザウイルス抗原の2 検査を同一の鼻咽頭拭い液検体で行うことが可能となった。また、検体採取が1回で済むことから、検体採取時の患者への負担軽減および医療者の感染リスク低減にも寄与できる見込み。

小細胞肺がんの脳転移、定位放射線治療 vs.全脳照射

 小細胞肺がんの脳転移に対する標準治療は全脳照射(WBRT)なのか。ほとんどの限局性脳転移について、定位放射線治療(SRS)が推奨されているが、SRSに関するデータは不足している。米国・コロラド大学のChad G. Rusthoven氏らは、初回治療としてのSRS(WBRT既往なし/予防的全脳照射なし)とWBRTを比較する国際多施設コホート研究「FIRE-SCLC試験」を行い、SRSはWBRTと比較して中枢神経系進行までの時間(TTCP)が短いが、全生存(OS)期間は有意に延長したことなどを明らかにした。著者は、「今回の研究結果は、TTCPが短いがOSは短縮しないなど、初回SRS単独治療の主な一長一短が、SRSに関してすでに観察されていることと同様であることを示すものであった」と述べている。JAMA Oncology誌2020年6月4日号掲載の報告。

英国の新型コロナワクチン、第I/II相試験で有望な結果/Lancet

 英国で開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白を発現する、チンパンジー・アデノウイルスベクター型ワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)の第I/II相臨床試験の結果が発表された。安全性プロファイルは許容可能で、ブースター投与後の抗体反応の増加も確認されたという。英国・オックスフォード大学のPedro M. Folegatti氏らによる検討で、著者は「今回の試験結果は液性免疫と細胞性免疫の両者の誘導を示すもので、この候補ワクチンの第III相試験における大規模評価の進行を支持するものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

COVID-19、学校・職場閉鎖などの介入の効果は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への介入としての身体的距離(フィジカルディスタンス)の確保は、COVID-19の発生を13%抑制し、移動制限(封鎖)は実施時期が早いほうが抑制効果は大きいことが、英国・オックスフォード大学のNazrul Islam氏らが世界149ヵ国を対象に実施した自然実験で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2020年7月15日号に掲載された。COVID-19に有効な治療レジメンやワクチンのエビデンスがない中で、感染を最小化するための最も実践的な介入として、身体的距離の確保が推奨されてきた。この推奨の目標には、公衆衛生や保健サービスにおけるCOVID-19による負担の軽減や、この疾患の予防と管理のための時間の確保も含まれている。これらの介入の有効性に関するこれまでのエビデンスは、主にモデル化研究に基づいており、実地の患者集団レベルの有効性のデータは世界的に少ないという。

新型コロナ重症例、デキサメタゾンで28日死亡率が低下/NEJM

 英国・RECOVERY試験共同研究グループのPeter Horby氏らは 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、侵襲的人工呼吸器または酸素吸入を使用した患者に対するデキサメタゾンの投与が28日死亡率を低下させることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年7月17日号に掲載報告。なお、この論文は、7月17日に改訂された厚生労働省が発刊する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第2.2版」の“日本国内で承認されている医薬品”のデキサメタゾン投与の参考文献である。  この研究では、2020年3月19~6月8日の期間にCOVID-19入院患者へのデキサメタゾン投与における有用性を把握するため、非盲検試験が行われた。

新型コロナウイルス診療の手引きをアップデート/厚生労働省

 7月17日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に向けに作成する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」を改訂し、2.2版として発表した。  3月17日に第1版が発行されたこの手引きは、5月18日に第2版が発行され、その後も毎月1回のペースで改訂されている。今回の改訂における主なポイントは以下のとおり。 ・国内データ:直近まで更新 ・診断:遺伝子増幅検査(LAMP法・PCR法)の解説を追加 ・診断:抗原定量検査の解説を追加

COVID-19流行下における緩和ケア、各施設の苦闘と工夫

 日本がんサポーティブケア学会、日本サイコオンコロジー学会、日本緩和医療学会は8月9~10日にオンライン形式で合同学術集会を予定している。これに先立って、7月上旬に特別企画として「COVID19と緩和ケア・支持療法・心のケア」と題するオンラインセミナーが行われた。3学会から立場の異なるメンバーが集まり、COVID-19が緩和ケアに与える影響とその対処法について、それぞれの経験を語り合った。 【司会】 ・里見 絵理子氏(国立がん研究センター中央病院 緩和医療科科長) ・林 ゑり子氏(藤沢湘南台病院 がん看護専門看護師) 【登壇者】 ・廣橋 猛氏(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長) ・柏木 秀行氏(飯塚病院 連携医療・緩和ケア科部長) ・秋月 伸哉氏(がん・感染症センター駒込病院 精神腫瘍科科長) ・渡邊 清高氏(帝京大学医学部内科学 腫瘍内科准教授)

ACE阻害薬とARB、COVID-19死亡・感染リスクと関連せず/JAMA

 ACE阻害薬/ARBの使用と、高血圧症患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断率、またはCOVID-19と診断された患者における死亡率や重症化との間に、有意な関連は認められなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のEmil L. Fosbol氏らが、デンマークの全国登録を用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。ACE阻害薬/ARBは、新型コロナウイルスに対する感受性を高め、ウイルスの機能的受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現が亢進することによりCOVID-19の予後が悪化するという仮説があったが、今回の結果から著者は「COVID-19のパンデミック下で臨床的に示唆されているACE阻害薬/ARBの投与中止は、支持されない」とまとめている。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。