呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:253

内容充実!『がん免疫療法ガイドライン』の第2版が発刊

 2019年3月29日、日本臨床腫瘍学会が編集した『がん免疫療法ガイドライン第2版』が発刊。2016年に初版が発行されてから2年。非常にスピーディな改定が行われた。今回の改定では、この間に明らかとなった各疾患での治療エビデンスや副作用管理などが集約化された。  本ガイドラインの構成についての大幅なリニューアルはないが、各項の解説が「発症の頻度」、「臨床症状と診断」、「治療方針」に細分化されたことで、実臨床に役立てやすくなっている。

新インフルワクチンで毎年の接種不要に? P1試験開始/NIH

 インフルエンザワクチンは次シーズンの流行予測に基づき、ワクチン株を選定して毎年製造される。そのため、新たな変異株の出現と拡大によるパンデミックの可能性に、世界中がたえず直面している。米国国立衛生研究所(NIH)は4月3日、インフルエンザウイルスの複数サブタイプに長期的に対応する“万能(universal)”ワクチン候補の、ヒトを対象とした初の臨床試験を開始したことを発表した。  この新たなワクチン候補は、菌株ごとにほとんど変化しない領域に免疫系を集中させることで、さまざまなサブタイプに対する防御反応を行うよう設計された。本試験は、米国国立アレルギー感染症研究所のワクチンリサーチセンター(VRC)が主導している。

NSCLC患者ががん治療に対し望むこと

 自分が受けているがん治療に対し、患者は何を望み、どのように考え、どんな情報を求めているのだろうか。  日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける治療選択に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年5月9日に発表した。  本調査は、2018年12月13~16日に、NSCLC治療経験のある患者(現在薬物治療中または薬物治療終了から1年未満)139例を対象に、がん情報サイト「オンコロ」にてアンケート形式で実施された。

高齢者NSCLCにおけるペムブロリズマブの成績/ELCC2019

 ペムブロリズマブの3つ無作為化比較試験KEYNOTE-010、024、042のプール解析の結果、高齢の非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、ペムブロリズマブでの全生存期間が化学療法を有意に上回った。この研究は3件の臨床試験の高齢(75歳以上)患者264例と75歳未満の患者2,292例の結果を比較したもので、九州がんセンターの野崎 要氏らが欧州肺癌学会(European Lung Cancer Congress 2019)で発表した。対象患者はPD-L1(TPS)1%以上であり、高齢患者の半数はTPS50%以上であった。

リファンピシン耐性結核の治療期間短縮トライアル(解説:吉田敦氏)-1038

多剤耐性結核の治療は非常に難しい。薬剤数が多く、期間も長くなり、副作用も多く経験する。WHOは2011年のガイドラインにおいて、遺伝子検査を含む早期の耐性検査の実施、フルオロキノロン薬の使い分け、初期に行われるintensive phaseの治療期間の延長と合計18ヵ月以上の治療を推奨しているが、一方でそれよりも短期間の治療レジメンで良好な成績を収めた報告も存在する。今回は、RIF耐性結核例を対象とし、バングラデシュ研究で多剤耐性結核に対して用いられたレジメンと同様の9~11ヵ月の短期療法と、WHOのガイドラインに従った20ヵ月の長期療法の2法について、第III相ランダム化比較試験が実施された。

がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。  2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。

結核のDOTにもスマートフォン導入か(解説:吉田敦氏)-1032

抗結核療法は長期にわたる。不完全な内服は、治療効果を下げるばかりか、耐性出現と周囲への感染リスクを少なくするためにもできる限り避けるべきであり、アドヒアランスの保持を目的としたDOTは世界的にも主流となっている。しかし直接会って内服を確認するのは、患者、医療従事者双方にとって負担である。スマートフォンの普及がDOTにプラスに働くかどうか―スマートフォンとアプリを使って内服状況を本人がビデオ撮影し、医療従事者に送信してアドヒアランスを確認するVOT法が英国で試みられ、従来の対面によるDOTとVOT法のランダム化比較試験の結果が発表された。

週1本のワインによるがん生涯リスクはタバコ何本に相当?

 適度のアルコールもやはりリスクなのか。英国・サウサンプトン大学病院 NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らが英国のデータを解析し、ワインを1週間に1本飲む女性は、アルコール関連がんの生涯絶対リスクが増加し、この増大をもたらしているのは、乳がんであることを明らかにした。女性では、週1本のワインは週10本の喫煙に相当するという。著者は、「今回の結果は、女性にとって適度な飲酒は公衆衛生上の重大なリスクであることを知ってもらうのに役立つだろう。

低線量CTの肺がんスクリーニング、5年以上実施で10年生存が改善/Ann Oncol

 肺がんスクリーニングは肺がん死を減少するのか。National Lung Screening Trial(NLST)では、低線量CTによる年1回3年間の肺がんスクリーニングが肺がん死を減少させたことが示されている。イタリア・Foundation IRCCS国立がん研究所のUgo Pastorino氏らは、低線量CTによるさらに長期のスクリーニングについて評価する前向き無作為化臨床試験「Multicentric Italian Lung Detection:MILD試験」を行った。その結果、5年を超える長期スクリーニングは、NLST研究と比較し、早期発見のベネフィットの増強が可能であり、全死亡および肺がん死を大きく減少できる可能性が認められたという。

EGFR陽性MET増幅NSCLCに対するオシメルチニブとsavolitinib併用(TATTON)/AACR2019

 MET増幅は、EGRF変異陽性進行NSCLCのEGFR-TKIの獲得耐性の1つとして注目されている。savolitinibは高い親和性を持つ経口MET-TKIとして開発中の薬剤である。進行NSCLCを対象にした第Ib相オープンラベル多施設共同試験TATTONの中間解析として、EGFR変異陽性MET増幅患者に対するオシメルチニブとsavolitinibの併用治療の結果米国がん研究会議年次集会(AACR2019)で報告された。  オシメルチニブとsavolitinib併用のコホートは2つ。コホート1では第1世代または第2世代EGFR-TKI治療での進行患者が、コホート2では第3世代EGFR-TKI治療での進行患者がそれぞれ登録された。対象患者にはオシメルチニブ80mg/日とsavolitinib600mg/日が投与された。