呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:254

NSCLCの1次治療としてのペムブロリズマブ単剤の適応をTPS≧1%に拡大/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は、2019年4月11日、外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではないStageIIIまたは転移のある、PD-L1(TPS)1%以上の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療としてペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を承認した。この承認は1274例を対象に行われたKEYNOTE-042試験に基づくもの。ペムブロリズマブ単剤投与の1次治療は従来、PD-L1(TPS)発現50%以上の転移を有するNSCLCに承認されていた。

抗核抗体陽性肺がんへのPD-1阻害薬治療、安全性と有効性

 肺がん患者へのPD-1阻害薬治療において、抗核抗体(ANA)発現の有無は生存に影響するのか。九州大学病院 呼吸器科の米嶋 康臣氏らが、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者83例を対象に安全性と有効性の検討を行った結果、自己免疫疾患の明らかな増悪はみられなかったが、ANA陽性患者生存予後は、ANA陰性患者と比べて有意に不良であったという。Lung Cancer誌2019年4月号掲載の報告。

低分子ヘパリンによるVTE予防は小細胞肺がんのOSを改善するか/Ann Oncol

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、血液凝固活性化とともに悪性疾患の特徴であり、がん関連の死亡や疾患の主因となっている。スウェーデン・スコーネ大学病院のLars Ek氏らは、低分子量ヘパリン(LMWH)による凝固阻害が、VTEおよび腫瘍の進行を予防し小細胞肺がん(SCLC)患者の生存を改善するかについて、多施設共同無作為化非盲検臨床試験「RASTEN試験」を実施した。追跡期間中央値41ヵ月において、VTE発生率は有意に減少したが、全生存期間(OS)は改善しなかった。

がんゲノム解析と電カルの統合データが治療効果と関連/JAMA

 非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象に、ルーチンの診療から得た電子健康記録(EHR)と網羅的ゲノム解析(CGP)をリンクしたデータが、治療選択などに有効であることが明らかにされた。遺伝子のドライバー変異と標的治療の有効性の関連や、遺伝子変異数(TMB)と抗PD-1/PD-L1療法反応性との関連などが確認されたという。米国企業Foundation MedicineのGaurav Singal氏らが、約2万9,000例のがん患者データベースの中から、NSCLC患者4,000例超について解析し明らかにしたもので、JAMA誌2019年4月9日号で発表した。

ペットと肺がん死亡率に意外な関連

 わが国でもペットを飼っている人は多く、ここ数年はネコがイヌを上回っている。今回、米国ジョージアサザン大学のAtin Adhikari氏らは、米国の全国コホートにおける18年間の追跡調査で、ネコを飼っている女性は飼っていない女性に比べ、肺がん死亡率が2.85倍と有意に高かったことを報告した。ペットによるこの影響は、喫煙やアトピー性疾患の交絡によって説明されないという。Environmental Research誌2019年2月25日号に掲載。

EGFR変異肺がん1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの効果(NEJ026)/Lancet Oncol

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)ではEGFR-TKIが標準療法であるが、1年程度で半数に耐性が起こる。そのため、さまざまな併用療法が試みられている。NEJ026はASCO2018で発表されたEGFR変異陽性NSCLCの1次治療に対するエルロチニブとベバシズマブの併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験であるが、その中間解析の結果がLancet Oncology誌2019年4月8日号で発表された。

がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。

がん患者の食欲不振にnabiloneが有効?

 カンナビノイドに由来する薬剤(nabiloneなど)は近年、食欲不振の改善効果があることが認められたが、がん患者の食欲不振の改善にも有効なのか。メキシコ・国立がん研究所のJenny G. Turcott氏らは、肺がん患者を対象にnabiloneの有効性を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相臨床試験を行い、「nabiloneは食欲不振のがん患者に対する支持療法の選択肢となりうる」ことを示した。「肺がん患者における有効性を結論付けるために、さらなる大規模臨床試験を行う必要がある」とまとめている。

がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。

コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響

 これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。