呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:254

電子タバコvs.ニコチン代替療法、1年後の禁煙率/NEJM

 禁煙を希望する成人に対し、電子タバコの使用はニコチン代替療法に比べて、より効果が大きいことが示された。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のPeter Hajek氏らが、886例の禁煙希望者を対象に行った無作為化比較試験の結果、1年時の禁煙率は電子タバコ群がニコチン代替療法群に比べて1.83倍だったという。電子タバコは、禁煙の試みとして一般的に用いられている。しかし、禁煙治療として承認されているニコチン代替療法と比較した有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2019年1月30日号掲載の報告。

今ある知識で考える、新型タバコのリスクとは

 IQOS(アイコス)やPloomTECH(プルーム・テック)などの加熱式タバコのシェアが日本で急速に拡大している。禁煙をめざして、あるいは周囲への影響を考慮して紙巻タバコから移行する人も多い中、医療者はそのリスクをどのように捉えていけばよいのか。第29回日本疫学会学術総会(2019年1月30日~2月1日・東京)において、「タバコ対策の最近の話題」と題したシンポジウムが開催された。本稿では、田淵 貴大氏(大阪国際がんセンター)による講演の内容を紹介する。

川柳で広める抗菌薬の適正使用

 世界規模で抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が増え、問題となっていることに鑑み、WHO(世界保健機関)は、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。WHO加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請された。わが国でも厚生労働省が中心となり、アクション・プランを策定し、不要な抗菌薬の使用削減に向け、さまざまな活動が行われている。  その一環として2018年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、AMRに関して理解を深め、考えてもらう機会として、「第2回薬剤耐性(AMR)あるある川柳」の公募を行った。全国から計1,816句の川柳の応募があり、今回厳正な審査を経て、金賞、銀賞、佳作の入選作品が決まり、公表された。

インフル患者数が2019年第4週に過去最多

 2019年2月1日、厚生労働省は2019年第4週(1月21~27日)において、全国約5,000ヵ所の定点医療機関当たりのインフルエンザ患者報告数が57.09人となったことを発表した。前週の53.91人を上回り、昨年のピーク(2018年第5週)である54.33人を超え、1999年の集計開始以降、過去最多となった。  都道府県別の集計では、埼玉県(84.09)、新潟県(77.70)、千葉県(73.00)の順で最多となっている。合計31都道府県で前週より増加したが、16府県では減少がみられた。前週に続き、全都道府県で警報レベル(1週間の定点あたり報告数が30人以上または前週に警報が出ていて10人以上)を超えている。

配偶者ががんと診断された人、1年以内の死亡率が2倍

 がん患者と一緒に暮らす配偶者において、心理社会的健康への悪影響だけでなく死亡リスクも増加する可能性が指摘されている。今回、東北大学の中谷 直樹氏らは、日本人集団の大崎コホート2006研究で、配偶者のがん診断と死亡率との関連について前向きコホート研究デザインにて検討した。その結果、配偶者のがん診断に起因する死亡率が診断後早期に有意に高いことが示され、がん治療の集学的チームが配偶者の死を防ぐために重要である可能性が示された。Acta Oncologica(Stockholm)誌オンライン版2019年1月21日号に掲載。

肺がんのニボルマブ治療、スタチン使用者で効果高い

 既治療進行非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブの臨床的な効果予測因子の報告は多いが、ニボルマブの有効性を予測できる単一の因子を決定する十分なエビデンスはない。今回、がん・感染症センター都立駒込病院/日本医科大学の大森 美和子氏らによる前向き調査の結果、既治療進行NSCLCに対してニボルマブを受けた患者において、スタチン使用群で奏効割合が高く、治療成功期間(TTF)の延長も示された。なお、全生存期間(OS)の有意な延長は示されなかった。Molecular and Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の追跡結果(KEYNOTE-024)/JCO

 未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)の転移を有するNSCLC患者を対象にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)単独投与群と標準治療のプラチナベース化学療法群を比較したKEYNOTE-024試験の追跡結果が、Journal of Clinical Oncology誌に2019年1月8日付けで発表された。全生存期間(OS)結果の更新と共にクロスオーバーバイアス調整分析を含む忍容性解析も報告された。  KEYNOTE-024は、国際無作為化オープンラベル第III相試験 ・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例) ・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例) ・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例) ・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)、[副次評価項目]OSなど

最新のがん統計:男性では前立腺がんが上位に

 厚生労働省は、2016年に開始した「全国がん登録」による初めての結果を公表した。それによると、2016年において、新たにがん(上皮内がんを除く)と診断された患者は99万5,132例で、男性が56万6,575例(56.9%)、女性が42万8,499例(43.1%)だった。  部位別のがん罹患数は、男性では胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝(5.0%)の順で多く、女性では乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)の順で多かった。

血中hsCRP高値の現・元喫煙者、肺がんリスク高い/BMJ

 血中高感度C反応性蛋白(hsCRP)が高値の元喫煙者および現喫煙者は、肺がんリスクが高いことが示された。一方で、hsCRP値と肺腺がんリスクの関連は認められず、hsCRP値は、原因となるリスク因子ではなく肺がんの診断前マーカーとなりうる可能性が示されたという。国際がん研究機関(IARC、本部:フランス)のDavid C. Muller氏らが、20のコホート試験を基に行った、コホート内ケースコントロール試験の結果で、BMJ誌2019年1月3日号で発表した。先行研究では、CRPは全身性炎症のマーカーで、肺がんリスクと関連することが示されていた。しかし、喫煙状態別(喫煙歴なし、元喫煙、現喫煙)の関連について正確な推定値を示すことが可能な規模の試験はなかった。

再入院削減プログラム、死亡率を増大?/JAMA

 米国のメディケア受給者では、再入院削減プログラムにより、心不全および肺炎による入院患者の退院後30日以内の死亡率がむしろ増加することが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのRishi K. Wadhera氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年12月25日号に掲載された。HRRPは、「患者保護ならびに医療費負担適正化法(ACA)」の下で2010年に成立し、2012年からは、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)に、心不全、急性心筋梗塞、肺炎患者の30日再入院率が予想を上回った病院に対し制裁金を課すことが求められている。その成果として、HRRPはこれらの疾患による再入院率を抑制することが示されたが、死亡率への影響は知られていなかった。