呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:270

軽症喘息へのSMART療法 vs.ブデソニド維持療法/NEJM

 軽症喘息患者に対する52週間の治療において、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用はブデソニド維持療法(1日2回投与)と比較し、重症喘息増悪の発生という点では非劣性が認められたが、症状の改善は劣っていた。ただし、ブデソニド・ホルモテロール頓用患者では吸入ステロイド薬(ICS)の使用量がブデソニド維持療法患者の約4分の1であった。南アフリカ・ケープタウン大学のEric D. Bateman氏らが、軽症喘息患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「Symbicort Given as Needed in Mild Asthma 2(SYGMA2)」試験の結果を報告した。軽症喘息患者は、発作時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)の吸入を用いることが多く、ICS維持療法のアドヒアランスは不良である。即効性吸入β2刺激薬+ICSの頓用は、こうした患者の症状改善や増悪リスクに対する新たな治療法となる可能性があった。NEJM誌2018年5月17日号掲載の報告。

軽症喘息へのSMART療法は有益か/NEJM

 軽症喘息患者に対し、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用は、テルブタリン頓用に比べ、喘息コントールおよび増悪リスクの軽減に優れることが示された。一方、ブデソニド維持療法(ブデソニド+テルブタリン頓用)に対しては、電子ダイアリーの週評価でみた喘息コントロールは劣性であることが示され、増悪リスクの軽減は同程度だった。増悪の頻度は、ブデソニドを含む2療法が、テルブタリンよりも低下した。また結果として、ブデソニド・ホルモテロール頓用群がブデソニド維持療法群よりも、グルココルチコイドの曝露が大幅に少なかった。カナダ・マックマスター大学のPaul M. O’Byrne氏らが、3,849例を対象に行った、52週の二重盲検無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年5月17日号で発表した。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長/NEJM

 ニボルマブとイピリムマブは、第I相CheckMate-012試験で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に有効性を示し、また腫瘍変異負荷(TMB)はバイオマーカーとして注目されている。そのような中、ニボルマブおよびニボルマブベースのレジメントと化学療法を比較した、無作為化オープンラベルマルチパート第III相CheckMate-227試験から、TMB高レベル患者(1メガベースあたりの変異が10個以上)における、ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群を比較したPart1の結果が、NEJM誌2018年4月16日号とAACR2018で同時に発表された。

エピシルが化学療法や放射線療法の口内炎の口腔内疼痛を緩和/Meiji Seikaファルマ

 Meiji Seikaファルマ株式会社は2018年5月16日、局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材エピシル口腔用液(以下、エピシル)の販売を開始した。  エピシルは口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜にエピシル適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛を管理および緩和する。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

COPDへの配合吸入剤、身体活動にも効果

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、慢性気管支炎や肺気腫を伴う肺の炎症性疾患であり、2018年4月、ガイドラインが5年ぶりに改訂された。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、わが国のCOPD患者を対象に、長時間作用性抗コリン薬であるチオトロピウム(商品名:スピリーバレスピマット)と、長時間作用性β2刺激薬との配合剤であるチオトロピウム/オロダテロール(同:スピオルトレスピマット)の吸入剤の効果を比較検討したVESUTO試験の結果を発表した。この結果は、2018年5月1日付のInternational Journal of COPD誌に掲載された。

早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。

COPDの3剤併用療法、2剤併用と比較/NEJM

 COPDに対する3剤併用療法(吸入ステロイド+LAMA+LABA)は、2剤併用療法(吸入ステロイド-LABA、またはLAMA-LABA)よりも有益なのか。米国・グラクソ・スミスクラインのDavid A. Lipson氏らによる第III相無作為化二重盲検並行群間試験「IMPACT試験」の結果、3剤併用療法(フルチカゾン+ウメクリジニウム+ビランテロール)は、2剤併用療法(フルチカゾン-ビランテロール、またはウメクリジニウム-ビランテロール)よりも、中等度~重度のCOPD増悪を有意に抑制したことが示された。また、COPDによる入院も低減したという。NEJM誌オンライン版2018年4月18日号掲載の報告。