オピオイド治療がん患者の便秘、2週間で5割超(OIC-J)/ESMO2018

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/02

 

 オピオイド誘発性便秘 (OIC)はオピオイド鎮痛治療で頻繁にみられる副作用であるが、その発症頻度を前向きに評価した研究はない。そのような中、オピオイド鎮痛薬治療を行ったがん疼痛患者を対象に、わが国のOICの発症頻度を調査したOIC-J研究が行われ、その結果を群馬県立がんセンターの今井久雄氏らが、ドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で発表した。

 OIC-J研究は、多施設共同前向き観察研究。対象は、強オピオイド鎮痛薬治療を受けた20歳以上のがん疼痛患者(登録前の7日間に3回以上の排便あり)である。オピオイド鎮痛薬治療開始時から14日間の登録患者の排便習慣を記録し、OIC発症割合を調査した。主要評価項目はROME IV診断基準によるOIC発症割合。副次評価項目は、Bowel Function Index (BFI、スコア>28.8)、自発的排便回数([spontaneous bowel movement、以下SBM]、<3/週)、および医師診断によるOIC発症割合である。観察期間中の便秘治療は許容されている。

 主な結果は以下のとおり。

・2017年1月5日~2018年1月31日に220例が登録され、そのうち212例(男性145例、女性67例、平均年齢69.1歳)が解析対象となった。
・主要評価項目であるRome IV診断基準による累積OIC発症割合は56.1%で、1週目と2週目の発症率はそれぞれ47.6%、36.8%であった。
・緩下剤などの予防的便秘治療を受けた患者の累積OIC発症割合(Rome IV診断基準)は、1週間で43.1%、2週間で47.7%、予防的便秘治療を受けていない患者では、1週間で52.4%、2週間で65.0%であった。
・Rome IV以外の診断基準を用いた2週間累積OIC発症率は、BFIで59.1%、SBMで44.8%、医師診断で61.4%であった。

 国際的な診断基準であるRome IVにおいて、半数以上のがん患者が、オピオイド治療開始後2週間以内にOICを発症した。また、OICは緩下剤などの便秘治療を予防投与された患者においても半数近くで発症していた。

(ケアネット 細田 雅之)