PACIFIC試験はStageIII切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるCCRT治療においてOSとPFS双方を改善した。このPACIFIC試験の探索的解析が、ドイツ・ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)において、発表された。
・対象:化学放射線同時併用療法(CCRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者
・試験薬:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月
・対照薬:プラセボ、2週ごと12ヵ月
・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定によるPFS、OS
[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。
主な結果は以下のとおり。
・事前に設定されたPFSとOSのサブ解析では、すべての項目で、デュルバルマブ群が優れていた。
・先行化学療法の種類にかかわらず、デュルバルマブ群が優位であった。
・先行放射線治療の照射量、放射線完了時から維持治療までの時間(14日未満・以上)にかかわらず、デュルバルマブ群が優位であった。
事後に設定されたサブグループ解析(PD-L1 1%未満・以上)
・BICR判定によるPFSは、[PD-L1 TC 1%以上]デュルバルマブ群17.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.46、0.33~0.64)。[PD-L1 TC 1%未満]デュルバルマブ群10.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.48~1.11)。
・OSは、[PD-L1 TC 1%以上]デュルバルマブ群未達、プラセボ群29.1ヵ月であった(HR:0.53、95%CI:0.36~0.77)。「TC1%未満」デュルバルマブ群、プラセボ群ともに未達であった(HR:1.36、95%CI:0.79~2.34)。
発表者の英国・マンチェスター大学 Faivre-Finn氏は、PD-L1 1%を境界としたサブ解析について下記のように述べた。この解析は、事前に設定されたサブグループではなく、EMAの要請により行ったものであること(事前に設定されたサブグループはPD-L1 25%未満・以上・不明で、いずれの群もデュルバルマブ群が優位)。PD-L1 1%未満群は症例数およびイベント数が少なく、プラセボ群に有利な患者の背景があること、などから、PD-L1発現状況による最終的な結論は、今回の事後探索的サブグループ解析では導き出せない。PACIFIC試験のデータは、CCRT後のデュルバルマブ維持治療というPACIFICレジメンを、切除不能StageIII NSCLCの新たな標準治療として支持するものである。
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(ケアネット 細田 雅之)