呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:335

特発性肺線維症患者へのアセチルシステインは本当に有用か/NEJM

 肺機能障害が軽度~中等度の特発性肺線維症患者について、努力性肺活量(FVC)の維持に関してアセチルシステイン(商品名:ムコフィリンほか)は、プラセボと比べて有意なベネフィットをもたらさなかったことが、Fernando J. Martinez氏らIdiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Networkによる無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでアセチルシステインは特発性肺線維症の治療として有用であることが示唆されていたが、プラセボ対照の試験データが不足していた。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月18日号)掲載の報告より。

アセチルシステインは特発性肺線維症に“効く”のか?(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(209)より-

特発性肺線維症に対する治療薬としてピルフェニドンが登場するまで、ステロイド、免疫抑制剤、アセチルシステイン(N-アセチルシステイン:NAC)は世界的に広く用いられていた(現在も汎用されているが)。ただ、これらの薬剤もその効果は限定的であり、現時点で特発性肺線維症に対する使用を強く推奨しているガイドラインは存在しない。ただ、それでもなお「これらの薬剤が少なくとも悪影響は与えることはないだろう」という思いが臨床医の胸の内にあった。ステロイドや免疫抑制剤による日和見感染などの合併症があったとしても、炎症・線維化を抑制する効果はそれを上回るベネフィットがあると考える研究者も少なくなかった。

特発性肺線維症へのニンテダニブ、有効性、安全性を確認/NEJM

 特発性肺線維症患者においてニンテダニブ(BIBF 1120)は、努力性肺活量(FVC)の低下を有意に抑制することが、英国・サウサンプトン大学病院のLuca Richeldi氏らが行った2件の再現性無作為化二重盲検第III相試験(INPULSIS-1、INPULSIS-2)の結果、報告された。同低下の抑制は、疾患進行抑制と一致していることも示された。安全性に関しては、下痢と関連する頻度が高かったが、試験薬の投与中止となった割合は5%未満であったという。ニンテダニブは複数のチロシンキナーゼを標的とする細胞内阻害薬で、第II相試験では、特発性肺線維症患者に対し150mgを1日2回投与が肺機能低下と急性増悪を抑制することが示されていた。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月18日号)の掲載報告。

ニンテダニブは福音となりうるか?(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(208)より-

ご存じのとおり特発性肺線維症は予後不良の進行性疾患であり、年単位、早い患者であれば、月単位で肺の線維化が進行する。これに対してこれまで数々の治療が試みられてきたが、実臨床でその効果を実感できるほどの治療薬が21世紀に入ってもまだ登場していないのが現状である。

喘息患者へのビタミンD3、治療失敗や増悪を改善しない/JAMA

 成人喘息患者に対するビタミンD3の投与は、ステップ1の吸入ステロイド薬治療の失敗や増悪を改善しなかったことが、米国・ワシントン大学のMario Castro氏らが行った無作為化試験VIDAの結果、示された。著者は「症候性の喘息患者に対するビタミンD3投与の治療戦略について、裏づけは得られなかった」とまとめている。喘息などの疾患において、ビタミンD不足と有害転帰との関連が示唆されている。しかし、経口ビタミンD3の摂取により、吸入ステロイド薬治療を受けているビタミンD不足の喘息患者のアウトカムが改善するかについては、明らかではなかった。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。