呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:343

催眠療法の禁煙効果をニコチン置換療法と比較~無作為化試験

 禁煙治療における薬物療法の有効性は十分立証されている。最近、再喫煙率および副作用の点から、薬物療法に代わる治療選択肢として催眠療法が注目を集めている。米マサチューセッツ総合病院のFaysal M Hasan氏らは、心臓や肺の疾患で入院した患者において、催眠療法の禁煙効果を従来のニコチン置換療法と比較する単施設無作為化試験を実施した。その結果、喫煙関連疾患による入院患者の禁煙において、催眠療法がニコチン置換療法より有効性が高いことが示唆された。Complementary therapies in medicine誌2014年2月号に掲載。

チオトロピウム、軽症から重症までの喘息に対する有効性示す~2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI2014)~

 2014年3月1日、米国サンディエゴで開催された2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI)で、チオトロピウムの新たな第3相試験結果第3相試験GraziaTinA-asthmaの結果が発表され、低用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムレスピマットが肺機能を改善し、忍容性も良好であったことが示された。

大気汚染微粒子状物質の長期暴露による冠動脈疾患発生リスク増大への警鐘(コメンテーター:島田 俊夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(179)より-

 これまで大気汚染微粒子状物質(PM)の暴露による冠動脈疾患への影響に関しては、米国、英国などからすでに報告があり、大気中のPM2.5, coarse PM(2.5-10.0), PM10の一定増量分/m3が冠動脈疾患イベントを増大させる、させないと一見矛盾したものも散見される。世界中で大気汚染の問題は年々深刻さの度合いを増し、とくにアジアにおいては、経済発展に伴いPMの健康被害の問題は避けて通れない大きな社会問題となっている。本論文はBMJ2014年1月21日号に掲載された時流を反映した論文であり、私見を加えコメントする。

新しい喘息治療薬、FF/VIへの期待

 フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)配合剤(商品名:レルベア)は、新しい吸入器(エリプタ)を用いた気管支喘息に対する新規吸入用散剤であり、ICS/LABA配合剤としては、世界初の1日1吸入タイプの薬剤である。国立病院機構東京病院の大田 健氏らは、FF/VIの現時点におけるエビデンスをまとめ、「使用が簡便であることから、アドヒアランスや喘息コントロールを改善させうる可能性があり、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であると考えられる」と報告した。アレルギー・免疫誌2014年1月号の掲載報告。

待機手術を受けた患者の3%が90日以上のオピオイド投与が必要だった/BMJ

 主要待機的手術を受けたオピオイド未使用患者のうち、約3%が術後90日間オピオイドを継続使用していたことが、カナダ・トロント総合病院のHance Clarke氏らによる住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、報告された。低年齢、低所得、糖尿病などを有するといった患者の特性や術式による長期オピオイド使用の傾向も明らかになり、著者は「今回の所見は、オピオイド治療を長期化させない患者群を特定し介入する根拠となるものだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。

日本人も肺炎クラミジア感染で冠動脈疾患リスクが上がる~約5万人のコホート研究

 欧米では、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)感染がアテローム性動脈硬化症と冠動脈疾患の危険因子と考えられている。しかし、日本人は欧米人に比べて冠動脈疾患リスクが低いため、日本人におけるエビデンスは非常に少ない。今回、日本人における肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの関連について、JPHCスタディ(厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究)で検討した。その結果、肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの間に正の相関が認められた。Atherosclerosis誌オンライン版2014年1月23日号に掲載。

植え込み型デバイス治療がCPAPを続けられない閉塞性睡眠時無呼吸患者を救う?(コメンテーター:高田 佳史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(174)より-

 中等から重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管リスクであり、治療の第一選択は持続的陽圧呼吸療法(CPAP)である。しかし、CPAP治療の効果にはアドヒアランスの良し悪しが大きく影響する。高血圧発症の予防、治療抵抗性高血圧の降圧、心不全患者の予後改善などにおいて、アドヒアランスが良好でなければ効果が期待できないことが報告されている。

中国の入院例から鳥インフルエンザAウイルスH10N8の新型検出/Lancet

 鳥インフルエンザA(H10N8)ウイルスについて、感染症例1例から既報のH10N8ウイルスとは異なる新規の再集合体H10N8ウイルスが分離されたことを、中国・南昌市疾病管理予防センター(CDC)のHaiYing Chen氏らが報告した。症例は73歳女性で、発症後9日目で死亡。新たなウイルスが、患者の死亡と関連している可能性についても言及している。なお、この新規ウイルスは、ノイラミニダーゼ阻害薬に反応を示したという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。

H7N9型インフル、ヒト-ヒト感染の可能性依然残る/NEJM

 2013年に中国で発生した新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染例のほとんどでは疫学的な関連性が認められず、ヒト-ヒト間伝播の可能性は除外できないことが、中国・公衆衛生救急センターのQun Li氏らの調査で判明し、NEJM誌2014年2月6日号で報告された。2013年2~3月に、中国東部地域でH7N9ウイルスのヒトへの感染が初めて確認された。これまでに急速に進行する肺炎、呼吸不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、死亡の転帰などの特性が報告されているが、研究者はその後も詳細な実地調査などを進めている。

最重症COPDに低用量オピオイドは安全か/BMJ

 低用量オピオイド(経口モルヒネ30mg/日以下相当)は、COPD患者の入院や死亡を増大せず、重度呼吸器疾患における症状軽減への使用は安全である可能性が報告された。スウェーデン・ルンド大学のMagnus P Ekstrom氏らが行った同国住民ベースの前向き連続患者コホート研究の結果で、一方で、高用量オピオイドは死亡を増大する可能性も示された。重度呼吸器疾患の患者では慢性の息切れ(呼吸困難)がみられるが、オピオイドによる緩和が可能である。またCOPD患者では一般に不安解消のためにベンゾジアゼピン系薬が用いられているが、これらの単独または併用使用が、呼吸抑制や入院、早期死亡を招くのではないかという懸念があった。BMJ誌オンライン版2014年1月30日号の掲載報告。