呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

低中所得国において、せっけん手洗いによる介入は急性呼吸器感染症(ARI)の減少に寄与する(解説:寺田教彦氏)

本研究は、低所得国および中所得国(LMIC)において、せっけんを用いた手洗いにより急性呼吸器感染症(ARI)の減少が推定されることを示した研究である。研究グループは、公衆衛生・感染症研究においてハーバード大学やジョンズ・ホプキンズ大学に並び有名なロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)である。2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界的な問題となったが、それ以前はARIが世界的に罹患および死亡の主な原因であり、そしてARIによる死亡の83%が低中所得国で発生していた。本研究の和文要約は「せっけん手洗いで、低中所得国の急性呼吸器感染症が減少/Lancet」にまとめられている。

周術期非小細胞肺がんに対する化学療法+toripalimabのEFS中間解析(Neotorch)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療に、抗PD-1抗体toripalimabを追加投与することで、無イベント生存期間(EFS)が延長することが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相Neotorch試験の中間解析から示された。中国・上海市胸科医院のShun Lu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

スコアに基づくコロナ罹患後症状の定義を提案した論文報告(解説:寺田教彦氏)

新型コロナウイルス感染症罹患後、数週間から数ヵ月にわたってさまざまな症状が続くことがあり、海外では「long COVID」や「postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC」、本邦では新型コロナウイルス感染症の罹患後症状と呼称されている。世界各国から報告されているが、この罹患後症状の明確な診断基準はなく、病態も判明しきってはいない。WHOは「post COVID-19 condition」について、新型コロナウイルス感染症に罹患した人で、罹患後3ヵ月以上経過しており、少なくとも2ヵ月以上症状が持続し、他の疾患による症状として説明がつかない状態を定義しており(詳細はWHO HP、Coronavirus disease (COVID-19): Post COVID-19 condition.[2023/06/18最終確認]を参照)、本邦の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第2.0版」でも引用されている。

コロナ入院患者の他疾患発症、インフルと比較

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化した人は、急性期後も心血管疾患、神経疾患、精神疾患、炎症性疾患や自己免疫疾患などを発症するリスクが高まり、Long COVIDとして問題になっている。しかし、それはほかの感染症と比較した場合にも、リスクが高いと言えるのだろうか? カナダ・トロント大学のKieran L Quinn氏らはカナダのオンタリオ州において、臨床データベースと医療行政データベースをリンクさせた集団ベースのコホート研究を実施し、研究結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2023年6月20日号に掲載された。

カナダ政府がタバコ1本1本に健康被害警告の表示を義務化

 カナダ政府でメンタルヘルス・依存症担当大臣兼保健副大臣を務めるCarolyn Bennett氏は、世界禁煙デーに当たる5月31日に、カナダでは間もなく、紙巻きタバコ1本1本への健康被害警告の表示が義務付けられるようになると発表した。このような警告表示の義務化に踏み切るのは、世界でカナダが初めての国となる。  Bennett氏は、「この思い切った措置により、タバコ製品を使用する誰もが健康被害に関する警告を目にすることになる。こうした警告は、パッケージにともに表示される最新画像とともに、喫煙がもたらす健康被害について、リアルで衝撃的な注意を喚起することになるだろう」と述べる。同氏はさらに、「われわれは今後も、より多くの人が喫煙をやめ、また、若者がタバコを吸うことなく健康的な生活を送るのに役立つことは、何であれするつもりだ」と話した。

ペムブロリズマブ+ラムシルマブの非小細胞肺がん術前補助療法(EAST ENERGY)/ASCO2023

 切除可能なPD-L1陽性StageIB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前補助療法として、ペムブロリズマブとラムシルマブの併用療法が有効であることが、多施設共同の単群第II相試験であるEAST ENERGY試験の結果から示唆された。国立がん研究センター東病院の青景圭樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法は、切除可能NSCLC患者に対する標準的な術前補助療法の1つにとして認識されている。しかし、プラチナ製剤不適格患者に対する、この薬剤の組み合わせは十分に検証されていない。一方、ICIと血管新生阻害薬の併用は、進行期NSCLCにおいて有効性と安全性が報告されている。

抗ウイルス薬が処方されていないCOVID-19外来患者のリバウンド

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に抗ウイルス薬が投与されなかった患者で、症状がいったん軽快した後に再燃したり、ウイルス量が増加したりすることが少なくないという報告が、「Annals of Internal Medicine」に2月21日掲載された。米ハーバード大学のRinki Deo氏らの研究によるもの。  COVID-19に対する抗ウイルス薬の一つであるニルマトレルビル/リトナビルによる治療後に、症状が再燃(リバウンド)することが報告されている。ただし、抗ウイルス薬を用いていない患者でのCOVID-19の自然経過は十分明らかになっていない。Deo氏らの研究は、非入院COVID-19患者に有効な薬剤探索のための多施設共同プラットフォーム試験「ACTIV-2/A5401」のデータを用いた後方視的研究により、この点を検討した。

EGFR陽性NSCLC、EGFR-TKIによる術後補助療法1年延長でOS改善(ICOMPARE)

 EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を用いた術後補助化学療法により、無病生存期間(DFS)の改善が認められており、最新の研究(ADAURA試験)では全生存期間(OS)の改善も認められているが、治療期間との関係は明らかになっていない。そこで、中国・Beijing Cancer HospitalのChao Lv氏らは、肺腺がん患者に対してEGFR-TKIのicotinibによる術後補助化学療法を1年実施した場合と、2年実施した場合の有効性・安全性を無作為化比較試験により検討した。その結果、icotinibの2年投与は1年投与と比較して、DFSのみならず、OSも改善した。本研究結果は、ESMO Open誌2023年6月20日号で報告された。

KRAS G12C変異陽性NSCLCに対するソトラシブ+化学療法の有効性(SCARLET)/ASCO2023

 KRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、KRAS G12C阻害薬であるソトラシブとカルボプラチン、ペメトレキセドとの併用療法が有用である可能性が示された。国内単群第II相試験として実施されたSCARLET試験の主要評価項目の解析結果として、和歌山県立医科大学の赤松 弘朗氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  KRAS G12Cは進行非扁平上皮NSCLCのdruggableターゲットで、免疫チェックポイント阻害薬(±プラチナダブレット化学療法)、ソトラシブ、細胞障害性抗がん剤単剤が標準治療とされてきた。SCARLET試験では、化学療法治療歴のないKRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮NSCLCに対して、ソトラシブ、カルボプラチン、ペメトレキセドの併用療法の有効性と安全性について評価した。

小児への新型コロナワクチン、接種率を上げるために/ファイザー

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、5月8日に感染症法上の位置付けが5類に移行した。ワクチンや治療薬によってパンデミックの収束に貢献してきたファイザーは6月2日、「5類に移行した新型コロナウイルス感染症への対策や心構えとは~一般市民への最新意識調査の結果を交え~」と題してメディアに向けたラウンドテーブルを開催した。講師として石和田 稔彦氏(千葉大学 真菌医学研究センター感染症制御分野 教授)と舘田 一博氏(東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座 教授)が登壇した。