膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

リウマチ性心疾患AF、ビタミンK拮抗薬がリバーロキサバンより有効/NEJM

 リウマチ性心疾患のAF(心房細動)患者において、ビタミンK拮抗薬治療はリバーロキサバン治療よりも、心血管イベントまたは死亡の複合発生率が低く、出血の発生率は両群で有意差はないことが、カナダ・マックマスター大学のStuart J. Connolly氏らによる4,565例を対象とした非盲検無作為化試験の結果、示された。リウマチ性心疾患の心房細動患者における心血管イベントの予防について、第Xa因子阻害薬の試験は限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月28日号掲載の報告。  研究グループは、心エコーでリウマチ性心疾患が確認された心房細動で、CHA2DS2VAScスコアが2以上(スコア範囲0~9、高スコアほど脳卒中リスクが高い)、僧帽弁口面積2cm2以下、左心房もやもやエコー、左房血栓のいずれかが認められた患者を登録し試験を行った。

MTX維持療法中のolokizumab、関節リウマチの改善率は?/NEJM

 メトトレキサート(MTX)による維持療法を受けている関節リウマチ(RA)患者において、インターロイキン-6(IL-6)を直接の標的とするヒト化モノクローナル抗体であるolokizumabを併用すると、12週の時点における米国リウマチ学会基準の20%の改善(ACR20)の達成に関して、プラセボと比較して優越性を示し、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体アダリムマブに対し非劣性であることが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが実施した「CREDO2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号に掲載された。

痛風発作、心血管イベントの一過性の増加と関連/JAMA

 痛風患者では、心血管イベントの経験者は非経験者と比較して、イベント発生前の0~120日以内に痛風発作を発症する確率が有意に高く、痛風発作後の心血管イベントの一過性の増加と関連する可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のEdoardo Cipolletta氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年8月2日号に掲載された。  研究グループは、痛風発作が痛風患者における心血管イベントのリスクを一過性で増加させるとの仮説の検証を目的に、後ろ向き観察研究を行った(ノッティンガム大学などの助成を受けた)。

新規抗体薬litifilimab、皮膚エリテマトーデスの疾患活動性を改善/NEJM

 皮膚エリテマトーデス患者の治療において、血液樹状細胞抗原2(BDCA2)のヒト化モノクローナル抗体製剤litifilimabはプラセボと比較して、治療開始から16週間後の皮膚疾患活動性の改善効果が優れ、有害事象の発生状況は同程度であることが、米国・ペンシルベニア大学のVictoria P. Werth氏らが実施した「LILAC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年7月28日号で報告された。  LILAC試験は、皮膚エリテマトーデス患者の治療におけるlitifilimabの有効性と安全性の評価を目的とする16週の二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2016年10月~2019年11月の期間に、アジア、欧州、中南米、米国の54施設で参加者の登録が行われた(米国Biogenの助成による)。

関節炎発症前のメトトレキサート、関節リウマチの発現を抑制するか/Lancet

 関節リウマチの治療は、通常、関節炎が臨床的に明らかになってから開始される。オランダ・ライデン大学医療センターのDoortje I. Krijbolder氏らは、「TREAT EARLIER試験」において、関節炎の発症前に関節の不顕性炎症がみられる段階で、関節リウマチの基本的な治療薬であるメトトレキサートの早期投与を開始すると、臨床的な関節炎の発現を予防し、疾病負担が軽減されるかについて検討を行った。その結果、プラセボと比較して、2週間以上持続する関節炎の予防効果は認められなかったものの、MRI上の炎症所見や関連症状、身体機能障害が持続的に改善したことから、疾患の経過が修飾されたと考えられた。研究の詳細は、Lancet誌2022年7月23日号に掲載された。

生物学的製剤未使用の中等症から重症の活動性を有するクローン病患者における寛解導入および維持療法としてのウステキヌマブとアダリムマブの第III相比較試験(解説:上村直実氏)

近年、クローン病の治療において5-アミノサリチル酸塩(5-ASA)、免疫調整薬、ステロイドなどを用いた従来の治療法が無効な場合に、抗TNFα阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブなど)、インターロイキン(IL)阻害薬(ウステキヌマブ)、抗インテグリン抗体薬(ベドリズマブ)といった生物学的薬剤が使用されることが多くなっている。新たに開発された生物学的製剤の有用性と安全性を検証するための臨床試験は薬事承認を目的としたものが多く、既存の治療において有効性に乏しい患者を対象としたプラセボ対照の無作為化比較試験(RCT)が常套手段となっており、実際のクローン病診療現場で治療方針に迷うことのある生物学的製剤同士を直接比較した検討は見当たらなかった。今回、18ヵ国121施設が参加した国際共同研究として、過去に生物学的製剤が使用されていない中等症〜重症活動期のクローン病患者を対象として、世界市場の売上高が第1位のアダリムマブ(ヒュミラ)と第4位のウステキヌマブ(ステラーラ)の単剤療法の有効性を直接比較した二重盲検RCT(SEAVUE試験)の結果が、2022年6月のLancet誌に報告された。結果として、本試験の主要評価項目である試験開始から52週時の臨床的寛解率(クローン病活動指数:CDAIの低下)および、種々の副次的評価項目(内視鏡的有効性、入院率の低下率、ステロイドフリー率、腸管切除の減少率などクローン病の長期的な予後の改善に強く関連する項目)について、アダリムマブ群とウステキヌマブ群の両群間に有意な差は認められなかった。安全性に関しても既知のプロファイルと変化なく、両群間での差はなかった。

中等症~重症クローン病、ウステキヌマブvs.アダリムマブ/Lancet

 生物学的製剤未使用の中等症~重症活動期クローン病患者に対する導入療法および維持療法として、ウステキヌマブ単剤療法とアダリムマブ単剤療法はいずれも高い有効性を示し、主要評価項目に両群で有意差はなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のBruce E. Sands氏らが、18ヵ国121施設で実施した無作為化二重盲検並行群間比較第IIIb相試験「SEAVUE試験」の結果を報告した。ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体ウステキヌマブと、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体アダリムマブは、いずれもクローン病の治療薬として承認されているが、どちらもプラセボ対照比較試験の結果に基づいており、患者への説明や医師の治療選択にとっては直接比較する実薬対照試験が必要であった。Lancet誌オンライン版2022年6月11日号掲載の報告。

中等症から重症のクローン病の寛解導入に対するリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果(解説:上村直実氏)

クローン病や潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の治療は生物学的製剤の出現により大きく変化している。しかし、中等度以上の活動性を有するクローン病症例の中には、生物学的製剤の効果が得られない患者、時間の経過と共に効果が消失する患者、あるいは副作用により治療が中断される患者が少なくなく、いまだに新たな作用機序を有する治療薬の追加が求められているのが現状である。わが国で乾癬などに対して2019年から承認され使用されている、IL-23p19阻害薬のリサンキズマブのクローン病寛解導入に対する有用性を明らかにした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADVANCE試験とMOTIVATE試験)の結果が、2022年5月のLancet誌に掲載された。この2つの試験は適格条件の違いがあるものの、従来型の治療ないしは生物学的製剤の効果が不十分であった中等度以上の活動性クローン病患者を対象としたRCTで、12週後のリサンキズマブ群の臨床的寛解率と内視鏡的奏効率がプラセボ群に比して有意に高率であり、一方、有害事象の発生率はプラセボと同等であったと報告されている。この結果は、既存の生物学的製剤を用いても寛解導入に難渋している患者に対する大きな福音と思われる。

中等症以上のクローン病に対する維持療法におけるリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果 (解説:上村直実氏)

クローン病の治療においては、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く保持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の治療や予防が非常に重要である。最近、活動性とくに中等症から重症のクローン病に対しては、生物学的製剤により寛解導入したのち、引き続いて同じ薬剤で寛解維持に対する有用性を検証する臨床試験が多い。今回、アジアも含めた44ヵ国で行われた国際共同試験でIL-23 p19阻害薬であるリサンキズマブの静脈内投与によりクローン病の寛解導入に有用性を示す結果を得たADVANCE試験とMOTIVATE試験において臨床効果が認められた患者を対象としてリサンキズマブ皮下投与の52週間維持療法の有効性と安全性を検証した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(FORTIFY試験)の結果が2022年5月のLancet誌に掲載された。

リサンキズマブ、クローン病の寛解維持療法に有効/Lancet

 インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットを標的とするヒト化モノクローナル抗体リサンキズマブの静脈内投与による寛解導入療法で臨床的奏効が得られた中等症~重症の活動期クローン病患者の寛解維持療法において、リサンキズマブ皮下投与はプラセボ(休薬)と比較して、52週の時点での臨床的寛解率および内視鏡的改善率が高く、忍容性も良好で、有害事象の頻度には差がないことが、ベルギー・ルーヴェン大学病院のMarc Ferrante氏らが実施した「FORTIFY substudy 1(SS1)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年5月28日号に掲載された。