膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

腎機能低下RAへの生物学的製剤、安全性・有効性が明らかに

 血液透析(HD)患者を含む慢性腎臓病(CKD)を併存する関節リウマチ(RA)患者の治療薬についてのエビデンスは限られている。今回、虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らはCKD患者における生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の有効性・安全性を明らかにした。腎機能低下群においてもbDMARDの継続率は概ね保持され、とくに、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬は、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者で薬剤継続率が有意に高く、無効による中止が少なかったことから、IL-6阻害薬はほかの bDMARDと比較し、単剤での治療がより有効であることを示唆した。Annals of the Rheumatic Diseases誌2024年7月4日号オンライン版掲載の報告。

線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。

ゴルフや水泳がALSリスクを上昇させる?

 ゴルフ、ガーデニングや庭仕事、木工、狩猟などの余暇活動は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症リスク上昇と関連している可能性があるという研究結果が、「Journal of the Neurological Sciences」2月15日号に掲載された。  米ミシガン大学アナーバー校のStephen A. Goutman氏らは、ALS患者400人と健康対照者287人を対象に、趣味、運動、余暇活動に関連するリスクを調査した。  解析の結果、ALS診断の5年前にゴルフ(オッズ比3.48)、レクリエーションダンス(同2.00)、ガーデニングや庭仕事(同1.71)をしていたことが、ALSに関連するリスクであることが分かった。リスクと関連したその他の曝露には、個人または家族での木工活動参加(同1.76、2.21)、個人での狩猟や射撃への参加(同1.89)があった。ALSの生存および発症に関連する曝露はなかった。発症年齢の早さは、診断の5年前の水泳(3.86歳)および重量挙げ(3.83歳)と関連していた。

膝関節の石灰化は変形性膝関節症の悪化要因

 以前は無害と考えられていた膝関節の石灰化は、変形性膝関節症(OA)を悪化させる一因となり得ることが、米ボストン大学医学部教授のTuhina Neogi氏らによる研究で明らかになった。関節の石灰化により骨と骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨がすり減り、関節へのダメージが促される可能性のあることが示唆されたのだ。この研究の詳細は、「Arthritis & Rheumatology」に2月19日掲載された。  OAは膝関節の軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる疾患で、患者数は、米国で約3400万人、世界では6億人に上る。研究グループによると、現状では、OAの進行を止めるのに有効な治療法はないという。

日本における片頭痛患者の治療パターンと特徴

 日本における片頭痛患者にみられる実際の臨床的特徴や治療実践については、十分に調査されていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、近年の片頭痛の臨床実態、現在の治療選択肢では十分にコントロールできていない可能性のある患者の特徴を明らかにするため、レセプトデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年2月8日号の報告。  大規模レセプトデータシステムJMDCデータベースを用いて、調査を行った。2018年1月~2022年7月に頭痛または片頭痛と診断された患者を対象とした頭痛コホート、頭痛コホート内で片頭痛と診断され片頭痛治療薬を使用した患者を対象とした片頭痛コホートとして定義し、検討を行った。頭痛コホートでは、医療機関の特徴、二次性頭痛を鑑別するための画像検査の状況を検討した。片頭痛コホートでは、急性期およびまたは予防的治療では十分にコントロールできていない可能性のある患者の治療パターン、および特徴を評価した。

関節リウマチ高リスク者へのアバタセプト、発症を抑制/Lancet

 アバタセプトによる12ヵ月間のT細胞共刺激抑制は、関節リウマチへの進行を抑制し、投与終了後も有効性を持続し、安全性プロファイルも良好であることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAndrew P. Cope氏らが、英国の28施設およびオランダの3施設で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第IIb相試験「APIPPRA試験」の結果を報告した。抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性、リウマチ因子(RF)陽性および炎症性関節痛などの症状を有する人は、関節リウマチを発症するリスクが高いとされている。著者は、「関節リウマチの発症リスクを有する段階での治療介入は可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。

ACPA陽性患者へのアバタセプト、RA発症を抑制/Lancet

 抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性の高リスク患者において、アバタセプト6ヵ月投与は、MRIの炎症所見を改善し、関節リウマチの発症リスクを低下させ、その効果は1年間無投与の観察期間終了時まで持続した。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのJuergen Rech氏らが、欧州の14施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Abatacept reversing subclinical inflammation as measured by MRI in ACPA positive arthralgia(ARIAA)試験」の結果を報告した。ACPA陽性で関節に触診で確認できない炎症性変化を有する患者は、関節リウマチを発症するリスクが高い。しかし、このような前臨床期疾患の進行を阻止する治療戦略は、まだ開発されていなかった。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。

早期閉経やホルモン補充療法は関節リウマチのリスク増加と関連

 女性は50歳未満での関節リウマチ(RA)の発症リスクが男性よりも4〜5倍高いが、この原因として、いくつかのホルモン因子が関与している可能性が新たな研究で示唆された。ホルモンや生殖に関わる因子とRAリスクとの関連を検討したところ、45歳前の早期閉経やホルモン補充療法(HRT)を受けていること、4人以上の子どもがいることなどがリスク上昇と関連していることが示されたという。安徽医科大学(中国)公共衛生学院のHai-Feng Pan氏らによるこの研究の詳細は、「RMD Open」に1月9日掲載された。  RAは、体の免疫系が関節を含む自分の組織を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患であり、ダメージが他の臓器に及ぶこともある。RAリスクは男性よりも女性で高いことが以前から知られており、女性でのリスクは、50歳未満では男性の4〜5倍、60〜70歳では男性の2倍と推定されている。さらに、女性の方が男性よりもRAの進行速度が早く、疾患活動性も高いことも知られている。

関節リウマチに対するJAK阻害薬、実臨床下で有効性を確認

 関節リウマチ(RA)に対する治療薬の中では比較的新しいJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬は、その効果を疑問視する声があったものの、実臨床下において全般的に大きな効果を上げていることが、新たな研究で明らかになった。JAK阻害薬は、体内での炎症に関わっているサイトカインの細胞内伝達に必要な酵素であるJAKの働きを阻害することで炎症を制御する内服薬。神戸大学医学部附属病院の林申也氏らによるこの研究結果は、「Rheumatology」に11月1日掲載された。  RAは、免疫系が体内の関節組織を誤って攻撃することにより引き起こされる自己免疫疾患で、関節の痛み、腫れ、こわばりなどを引き起こす。炎症が全身に広がると、時間の経過とともに、心臓、肺、皮膚、目など、体の他の部位にも問題が生じる可能性がある。RA治療薬の多くは、免疫反応の一部を標的とすることで関節障害の進行を遅らせる。JAK阻害薬もそのような治療薬の一つだ。しかし、本研究には関与していない、米Rheumatology AssociatesのStanley Cohen氏は、「JAK阻害薬は、RA治療の第一選択肢とは考えられていない」と言う。

ステロイド漸減中再発のリウマチ性多発筋痛症、サリルマブが有効/NEJM

 グルココルチコイド漸減中にリウマチ性多発筋痛症が再発した患者において、サリルマブ+prednisone漸減投与は、プラセボ+predonison漸減投与に比べ、持続的寛解の達成とグルココルチコイド累積投与量の減少に有意な有効性を示した。米国・コーネル大学のRobert F. Spiera氏らが、合計118例を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Sarilumab in Patients with Polymyalgia Rheumatica (SAPHYR)試験」の結果を報告した。リウマチ性多発筋痛症の患者の半数以上が、グルココルチコイド漸減中に再発する。先行研究では、インターロイキン(IL)-6の阻害がリウマチ性多発筋痛症の治療で臨床的に有用である可能性が示されていた。