外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

CDK4/6阻害薬+内分泌療法、HER2低発現乳がんでの有効性/日本臨床腫瘍学会

 HER2低発現とHER2ゼロの進行乳がん患者において、CDK4/6阻害薬および内分泌療法の効果を比較した結果、両群の無増悪生存期間(PFS)中央値や内分泌療法の治療成功期間(TTF)中央値に有意差はなかったことを、大阪市立総合医療センターの大森 怜於氏が、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行・再発乳がんの標準治療となっている。HER2低発現(IHC1+またはIHC2+/ISH-)は新たに注目されている分類だが、HER2低発現乳がんに対する研究はまだ限られている。

ICIの継続判断にも有用、日本初のOnco-cardiologyガイドライン発刊

 本邦初となる『Onco-cardiologyガイドライン』が第87回日本循環器学会学術集会の開催に合わせて3月10日に発刊された。これまで欧州ではESC(European Society of Cardiology、欧州心臓病学会)などがガイドラインを作成・改訂しており、国内でもガイドライン発刊が切望されていたことから、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が協働しMindsに準拠したものを作成した。今回、学術集会の会長企画シンポジウム6「OncoCardiology:診断と治療Up-to-Date」において、ガイドライン(以下、GL)のポイントについて発表された。

T-DXd、HER2低発現乳がんに適応拡大/第一三共

 第一三共は2023年3月27日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本適応は、2022年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO2022)で発表された、化学療法による前治療を受けたHER2低発現の乳がん患者を対象としたグローバル第III相試験(DESTINY-Breast04)の結果に基づくもので、2022年6月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、優先審査品目に指定されていた。国内において初めてHER2低発現の乳がんを対象に承認された抗HER2療法となる。

HER2低発現乳がんへのT-DXd、アジア人集団でも有効性・安全性を確認(DESTINY-Breast04)/日本臨床腫瘍学会

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)に対して、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験のアジア人サブグループ解析において、T-DXd群では全体集団と同様にアジア人集団でも有意に無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が延長し、管理可能な安全性プロファイルであったことを、昭和大学の鶴谷 純司氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。

HER2+再発/転移乳がんへのT-DXd、予後予測に有望なバイオマーカー/日本臨床腫瘍学会

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はHER2陽性再発/転移乳がんの2次治療以降に承認されているが、信頼できる予後予測バイオマーカーは十分に確立されていない。今回、T-DXdへの反応と予後を予測する血中炎症マーカーを探索すべく後ろ向きに調査した結果、全身免疫-炎症指数(SII)が全生存期間(OS)と有意に関連し、またリンパ球数(ALC)高値と血小板-リンパ球比(PLR)低値が臨床的有用性と関連する可能性が示された。国立がん研究センター中央病院の大西 舞氏が、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。

HER2・リキッド検査追加「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」改訂/日本臨床腫瘍学会

 2023年3月、「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス:第5版」が刊行され、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)上で改訂のポイントが発表された。  最初に坂東 英明氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科)が全体的な説明を行った。  大腸がんにおける遺伝子検査は2010年にKRAS変異検査が登場したことを契機に、2018年にはRASKET-B(RAS/BRAF変異検査)、2020年には血液を用いたRAS変異検査が保険適用となり、2022年にはHER2検査(免疫染色、FISH)、MMR検査(免疫染色)、そして2023年にはBRAF V600E検査(免疫染色)が保険適用となるなど、目まぐるしく新たな検査が登場している。

免疫チェックポイント阻害薬などを横断的に概説、『がん免疫療法ガイドライン』改訂/日本臨床腫瘍学会

 がんに対する免疫を介在した治療方法(がん免疫療法)は、新しい薬剤の開発および臨床試験の蓄積により近年急速に発展している。CTLA-4やPD-1/PD-L1といった免疫チェックポイントを標的とした免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ががん種横断的に承認されているほか、エフェクターT細胞療法や、複数のICIを組み合わせて使う併用療法、ICIと従来の抗がん剤、分子標的薬、血管新生阻害薬、放射線治療等とを組み合わせた治療法も続々と登場している。

FGFR2融合/遺伝子再構成陽性肝内胆管がんに対するfutibatinib、日本人でも有効(FOENIX-CCA2)/日本臨床腫瘍学会

 新規FGFR阻害薬futibatinib(開発コード:TAS-120)による既治療のFGFR2融合/再構成遺伝子陽性肝内胆管がん(CCA)に対する治療は、日本人でもグローバルと同等の有効性を示した。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、国立がん研究センター中央病院の森實千種氏が発表した、futibatinibの国際第II相FOENIX-CCA2試験の日本人サブグループ解析の結果である。

再発/転移乳がんへのHER3-DXd、HER2低発現/ゼロでの有効性と日本人での安全性~第I/II相試験サブ解析/日本臨床腫瘍学会

 HER3は乳がんの30~50%に発現しており、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)のpatritumab deruxtecan(HER3-DXd)が開発されている。HER3陽性再発/転移乳がんに対する第I/II相U31402-A-J101試験において、本剤の有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示したことはASCO2022で報告されている。今回、HER2ゼロ(IHC 0)とHER2低発現(IHC 1+、もしくはIHC 2+かつISH-)患者での探索的サブグループ解析と、日本人における安全性について、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で愛知県がんセンターの岩田 広治氏が発表した。

新薬追加のWeb版「GIST診療ガイドライン」、診療経験少ない非専門医にも

 日本癌治療学会は稀少腫瘍研究会の協力のもと、「GIST診療ガイドライン2022年4月改訂 第4版」を発刊し、2023年3月4日、本学会ホームページにWeb版を公開した。GIST(Gastrointestinal stromal tumor、消化管間質腫瘍)は、全消化管に発生する間葉系腫瘍で、疫学的には10万人に1~2人と消化器系の稀少がんであるため、患者の診療経験が少ない臨床医も多い。そのため、本ガイドライン(GL)に目を通し、いざという時のために備えていただきたい。そこで、今回、本GL改訂ワーキンググループ委員長の廣田 誠一氏(兵庫医科大学病院 主任教授/診療部長)に、本書の目的やおさえておく内容について話を聞いた。