外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:40

リンパ節転移のないHER2+乳がん、術後PTX+トラスツズマブでの10年生存率/Lancet Oncol

 リンパ節転移のないHER2陽性(HER2+)乳がんに対するパクリタキセル+トラスツズマブでの術後補助療法の長期アウトカムを調査した非盲検単群第II相試験の10年間の解析結果について、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏らがLancet Oncology誌2023年3月号で報告した。著者らはこの結果から、「腫瘍サイズが小さくリンパ節転移のないHER2+乳がんの術後補助療法の標準治療として、パクリタキセル+トラスツズマブが妥当である」としている。

HER2低発現とHER2ゼロ乳がんの予後比較~米国114万人の調査/JAMA Oncol

 HER2低発現乳がんの疫学的特徴や予後の観点から、HER2ゼロ乳がんと臨床的に異なるサブタイプと言えるのだろうか。今回、米国・シカゴ大学のDaniel S. Peiffer氏らが米国がんデータベースを用いて約114万人の大規模コホート研究を実施したところ、HER2低発現の割合は、ヒスパニック系患者および非ヒスパニック系黒人患者が、非ヒスパニック系白人患者と比べてわずかに低く、また、全生存期間(OS)はHER2低発現乳がんのほうがHER2ゼロ乳がんよりわずかに良好だった。これらの結果から、HER2低発現乳がんとHER2ゼロ乳がんの治療反応性と長期予後が類似している可能性が示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2023年2月23日号に掲載。

性的マイノリティーの乳がん患者は再発リスクが3倍

 性的マイノリティ(レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー)の乳がん患者では、シスジェンダー(性自認と生まれ持った性別が一致している人)で異性愛者の乳がん患者と比較して、症状発現から診断までの期間が長く、再発リスクが3倍であることが、米国・スタンフォード大学のErik Eckhert氏らの研究により明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2023年2月2日号掲載の報告。

65歳以上低リスク早期乳がん、乳房温存術後の放射線療法は省略可/NEJM

 65歳以上の再発リスクが低いホルモン受容体陽性早期乳がん女性患者において、乳房温存術後の放射線療法非施行は、局所再発率の増加と関連していたものの初回イベントとしての遠隔再発や全生存には影響しないことが、英国など4ヵ国76施設で実施された第III相無作為化比較試験「PRIME II試験」の10年時解析で示され、英国・エディンバラ大学のIan H. Kunkler氏らが報告した。著者は、「今回の試験は、乳房温存術を受けたGrade1または2でエストロゲン受容体(ER)高発現の65歳以上の女性では、5年間の術後内分泌療法を受けることを条件に放射線療法を省略できることを示す確かなエビデンスを提供している」とまとめている。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。

乳がんサバイバーの2次原発がん、部位別リスク

 乳がんサバイバーの2次原発がん(SPC)の発生率が上昇している。そこで、英国・ケンブリッジ大学のIsaac Allen氏らは、乳房以外のSPCリスクについて部位別に系統的レビューとメタ解析を実施した。その結果、多くの部位でSPCリスクが有意に上昇しており、50歳未満で乳がんと診断された女性や、アジア人でよりリスクが高いことが示された。Breast Cancer Research誌2023年2月10日号に掲載。

第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。  今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知見ががん医療の進歩を支え、患者さんが満足できる生活、実りある人生を送っていただく助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番目の多さになる。  プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。

BRCA変異陽性転移乳がんへのオラパリブ、1次治療で高い効果(OlympiAD)

 生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいて、オラパリブは医師選択の化学療法(TPC)に対し主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月(p=0.513)と報告されている。今回、従来の報告より25.7ヵ月長いOSの延長フォローアップ解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMark E. Robson氏らがEuropean Journal of Cancer誌オンライン版2023年2月14日号に報告した。  OlympiAD試験では、gBRCAmかつHER2陰性で、アントラサイクリン系およびタキサン系薬剤の治療歴を有し、転移疾患に対する化学療法歴≦2ラインの患者を、オラパリブ群またはTPC群(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)に2:1の割合で無作為に割り付けて比較検討している。延長フォローアップ期間中、OSは層別log-rank検定(全体集団)およびCox比例ハザードモデル(事前に指定されたサブグループ)を用いて6ヵ月ごとに分析された。

検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

 大腸内視鏡検査は、前がん性ポリープの発見・除去により、大腸がんの発生と死亡の減少に寄与する。大腸内視鏡検査において、腺腫発見率(ADR)が重要な指標であり、ADRが1%増加するごとに、大腸がんの発生リスクは3%低下するという報告がある。しかし、武漢大学人民病院のZihua Lu氏らの研究によると、大腸内視鏡検査の精度が時間と共に低下し、ADRが低下することが明らかになった。また、ADRの低下を抑制するためには、人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡検査支援システムの導入が有用であることも示された。JAMA Network Open誌2023年1月31日掲載の報告。

血管外漏出ガイドライン発刊、抗がん剤治療時の最新知見

 がん薬物療法を行ううえで、点滴の血管外漏出の予防、早期発見、対処・管理は重要な課題である。2022年12月、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会(3学会合同)が『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版(改訂3版)』を発刊した。血管外漏出の対策を日常的に実施するも、実は推奨されていなかった…ということも無きにしもあらず。ぜひこの機会に抗がん剤をオーダーする医師にも薬剤の血管漏出時対応の最新知見を確認いただきたい。

転移を有する乳がんでタキサン再投与が有効な患者は?

 推奨される抗がん剤をすべて投与された転移乳がん患者において、全身状態が良好であるにもかかわらず病勢進行に苦しむ患者は少なくない。この状況で、タキサンなどの忍容性の高い抗がん剤の再投与が選択肢の1つになる場合がある。そこで、フランス・Centre Georges Francois Leclerc Cancer CenterのManon Reda氏らは、タキサン投与歴のある転移乳がん患者におけるタキサン再投与の有用性について検討した。その結果、とくにタキサンが乳がん経過の早期に効果を示した場合や病勢進行以外の理由で中止された場合に、タキサン再投与が現実的方法として支持された。Breast誌オンライン版2023年2月4日号に掲載。