水分摂取を増やすと肥満や腎結石以外にも有効な可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/10

 

 1日の水分摂取量に関しては、公的な推奨がいくつかされているもののそれを裏付けるエビデンスは明確ではなく、水分摂取量を変更することによる利点は十分に確立されていない。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNizar Hakam氏らが実施したシステマティックレビューの結果、エビデンスの質と量は限定的であるものの、少数の研究で1日の水分摂取量の増加が体重減少や腎結石予防に有益であることが示され、また、単一の研究では片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。JAMA Network Open誌2024年11月25日号掲載の報告。

 2023年4月6日まで、PubMed、Web of Science、Embaseについて系統的文献検索を実施した。対象は、定義された量の水分を毎日摂取することが健康関連のアウトカムに与える影響を評価した研究とされた。

 主な結果は以下のとおり。

・スクリーニングされた1,464件のうち、1999~2023年に発表された18件(1%)が適格とされレビューに含まれた。うち15件(83%)は並行群間無作為化比較試験(RCT)、3件(16%)はクロスオーバー研究であった。
・これらの研究における介入としては、4日間~5年間の決められた期間、毎日の水分摂取量を特定の量だけ変更することが推奨され(18件中17件が水分摂取量の増加、1件が水分摂取量の削減)、対照群には主に通常の水分摂取習慣を維持することが求められた。
・主要評価項目には、体重減少、空腹時血糖値、頭痛、尿路感染症、腎結石などが含まれた。
・10件の研究(55%)で1つ以上の肯定的な結果が報告され、8件の研究(44%)で否定的な結果が報告されていた。
・水分摂取量の増加は、体重減少(対照群と比較し44~100%大きな体重減少)および腎結石イベントの減少(5年間にわたり参加者100人当たり15イベント減少)と関連していた。
・体重減少に関しては、3件の過体重および肥満の成人対象のRCTにおいて、12週間~12ヵ月間食前に1,500mL/日の水を摂取したところ、対照群と比較して大きな体重減少がみられた。
・腎結石に関しては、1件の健康成人対象のRCTおよび1件の特発性カルシウム結石の初回エピソードを有する患者対象のRCTにおいて、2,000mL/日の水分摂取量増加および尿量2,000mL/日を達成するための水分摂取量増加により、対照群と比較して結石および再発リスクが低下した。
・個々の研究では、片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。

 著者らは、水分摂取量が健康上のアウトカムに及ぼす影響を評価した臨床試験の数は限られていると指摘し、低コストで有害作用が少ないことを考慮すると、特定の条件下での有益性を評価するより十分にデザインされた研究が必要としている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)