泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

無症状、小さな腎結石でも砕石する意義はある(解説:宮嶋哲氏)

小さな腎結石の治療方針は、自然排石を期待して経過観察が推奨されている。しかしながら、これまでの報告からすると、大きな結石が除去された時点で残存する小腎結石の約半数が、術後5年以内に他の症候性イベントを引き起こしたと報告されている。尿管または対側腎の結石を内視鏡的に砕石中に無症状の小腎結石を、38例で砕石施行し(治療群、平均結石長3mm)、35例では砕石施行しなかった(対照群、平均結石長4mm)。主要評価項目は、救急外来の受診、手術、2次結石の増大のいずれかにより評価しうる再発の有無とした。なお本研究は多施設共同無作為化比較試験である。

サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。

サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?

 サル痘、COVID-19、HIV感染症に同時に感染した症例がイタリアで報告された。患者の男性は、発熱や咽頭痛などが生じてSARS-CoV-2陽性の診断を受け、皮膚病変が発現・悪化したため入院し、サル痘ウイルスとHIVの陽性が判明した。イタリア・カターニア大学のSanti Nolasco氏らによる、The Journal of infection誌オンライン版2022年8月19日号掲載の報告。  本患者は、イタリア人の男性(35歳)で、スペインに2022年6月16日~20日の5日間滞在していた。その間、避妊具なしで男性と性交渉を行ったという。主な臨床経過は以下のとおり。

スペインにおけるサル痘の臨床症状とウイルス学的評価:前向き観察コホート研究(解説:寺田教彦氏)

サル痘は1970年にヒトの感染が報告され、近年はナイジェリアやコンゴ共和国などの地域で増加傾向となり、主に中央アフリカから西アフリカで流行する感染症と考えられていた。しかし、2022年5月以降に欧米などのこれまでサル痘の流行が認められていなかった複数の国で、渡航歴がなく疫学的リンクの確認できない患者が確認された。流行は拡大し、7月23日にはWHO事務局長から、緊急委員会の見解等を踏まえ、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されている(厚生労働省検疫所 FORTH.「複数国におけるサル痘の発生に関しての国際保健規則[IHR2005]第2回緊急委員会会合の報告」)。

サル痘に対する経口抗ウイルス薬tecovirimat、忍容性は良好/JAMA

 サル痘の世界的な流行で、2022年8月18日時点で3万9千人以上の患者が報告されており、患者の13%が入院を必要としているという。2018年に、天然痘に対する抗ウイルス薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたtecovirimat(商品名:TPOXX、SIGA Technologies製)が、サル痘にも有効とされている。本剤の有効性は、in vitroで天然痘とサル痘の両方に対する活性が示されており、健康成人での試験で良好な臨床安全性プロファイルが確認されている。米国・カリフォルニア大学Davis Medical CenterのAngel N. Desai氏らは、コンパッショネート・ユースに基づいてtecovirimatの治療を受けたサル痘患者の非対照コホート研究を行い、有害事象と全身症状および病変の臨床的改善を評価した。その結果、副作用もほとんどなく、高い忍容性が認められたという。JAMA誌オンライン版2022年8月22日号リサーチレターに掲載。

固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。

腎結石、6mm以下も除去で再発抑制に有効か/NEJM

 尿管または対側腎の結石除去術中に、残された小さく無症状の腎結石も除去することは、除去しない場合よりも再発低下に結び付くことが、米国・ワシントン大学のMathew D. Sorensen氏らによる多施設共同無作為化試験で示された。手術に関連した救急外来受診数は同程度であった。小さな(6mm以下)無症状の腎結石を内視鏡下で除去するベネフィットは不明だが、現行ガイドラインでは、除去の決定は泌尿器科医と患者の判断に委ねられている。先行研究では、古い非内視鏡的手技による前向き試験1件といくつかの後ろ向き試験は経過観察を支持しているが、大きな結石を除去しても残っている小さな腎結石のうち約半分が、術後5年以内に新たな症候性イベントを引き起こすとのデータも公表されていた。NEJM誌2022年8月11日号掲載の報告。

サル痘を疑う閾値を低くする必要も、多様な症状/Lancet

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのEloy Jose Tarin-Vicente氏らは、同国サル痘患者について臨床およびウイルス学的特性を明らかにする前向き観察コホート研究を行い、サル痘は性器、肛門周囲および口腔の病変と直腸炎や扁桃炎などの合併症を引き起こしており、病変部でウイルス量が多いことを示した。著者は、「症状はさまざまであり、臨床医はサル痘を疑う閾値を低くする必要がある」と述べている。また、「罹患者の性的接触歴や病変の分布から、現在起きている集団発生は濃厚接触が主要な感染経路と考えられる」とも報告した。サル痘は、2022年5月に欧州の複数の国で発症例が報告されて以降、急速に世界中に広がったが、初期の報告では非定型的な症状が示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年8月8日号掲載の報告。

ニボルマブ+イピリムマブによる腎がんアジュバントの成績(CheckMate -914)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2022年7月29日、限局性腎細胞がん(RCC)の術後補助療法として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-914試験のパートAにおいて、同併用療法が盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価による無病生存期間(DFS)の主要評価項目を達成しなかったことを発表した。  CheckMate -914試験は、根治的腎摘除術または腎部分切除術後の再発リスクが中等度から高度の限局性RCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をプラセボと比較評価(パートA)およびニボルマブ単剤療法をプラセボと比較評価(パートB)した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験である。同試験の両パートの主要評価項目は、BICRの評価によるDFS、主な副次評価項目は、全生存期間(OS)および有害事象(AE)の発現率である。