泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

転移を有する腎細胞がん、ctDNAと予後の関連が日本人大規模データで示される(MONSTAR SCREEN)/日本臨床腫瘍学会

 転移を有する腎細胞がん(mRCC)における血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の臨床的有用性が指摘されているが、大規模なデータは不足している。産学連携全国がんゲノムスクリーニングコンソーシアム(SCRUM-Japan)によるMONSTAR-SCREEN1の泌尿器がんグループから、大阪大学の加藤 大悟氏がmRCCにおけるctDNA解析結果を第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。  2019年4月~2021年9月、mRCC患者124例を対象に治療前後のctDNA解析(商品名:FoundationOne Liquid CDx)を実施した。34例については組織検体を用いたゲノムプロファイリング(商品名:FoundationOne CDx)も実施された。  主な結果は以下のとおり。

単純性尿路感染症、新規経口抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 世界219施設で実施された単純性尿路感染症の女性患者を対象とする無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「EAGLE-2試験」および「EAGLE-3試験」において、新規経口抗菌薬gepotidacinはニトロフラントインと比較し、治療成功率に関して非劣性(EAGLE-2試験)および優越性(EAGLE-3試験)が検証された。ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian Wagenlehner氏らが報告した。gepotidacinは、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、他の抗菌薬とは異なる作用機序と独自の結合部位により細菌のDNA複製を阻害し、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。著者は、「gepotidacinは、臨床的に重要な薬剤耐性菌を含む一般的な細菌性尿路病原体に対して有効な新規クラスの経口抗菌薬として、患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年2月24日号掲載の報告。

精液中のマイクロバイオームが男性不妊症に関与か

 ヒトと共存する微生物の集団全体を表す「マイクロバイオーム」という言葉は、皮膚や腸との関連で耳にすることが多い。しかし近年、マイクロバイオームは男性の精液にも存在することが示され、それと不妊との関連を探る研究も進められている。こうした中、新たな研究で、精液中のマイクロバイオームが精液の質のパラメーターに悪影響を及ぼし、不妊に関与している可能性のあることが示唆された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)泌尿器学分野のVadim Osadchiy氏らによる研究で、「Scientific Reports」に1月11日掲載された。  Osadchiy氏らは18歳以上の男性73人を今回の試験に登録し、精液中のマイクロバイオームと精液の質のパラメーターの変化との関連を検討した。精液の解析により、精液量、pH、精子濃度、精子運動率、および精子正常形態率の評価を行い、総精子濃度、総精子運動率、および精子量を掛け合わせて総運動精子数を計算した。また、精液サンプルからDNAを抽出して次世代シーケンシングを実施し、精液中に存在する微生物の同定と種ごとの存在量を比較した。

腎臓がん患者でのニボルマブの皮下注は点滴静注に劣らず

 治療歴を有する腎細胞がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)の皮下注は、点滴静注と比べて薬物動態と奏効率について非劣性であることが、米ロズウェルパーク総合がんセンターのSaby George氏らが実施した臨床試験で示された。研究グループは、「この結果は、がん患者の時間と医療費の削減につながる可能性がある」と述べている。この研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウム(1月25~27日、米サンフランシスコ)で発表された。

前立腺がんに対する併用療法で無増悪生存期間が延長

 根治的治療後に生化学的に再発した前立腺がん患者に対するアンドロゲン除去療法(ADT)では、2種類または3種類の抗アンドロゲン薬を併用することで、単剤を投与する場合よりも無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが、新たな臨床試験で明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部のRahul Aggarwal氏らによるこの研究結果は、「Journal of Clinical Oncology」に1月23日掲載された。

ED治療薬、心臓病の薬との組み合わせは危険な場合も

 心疾患の治療目的で硝酸薬を使用中の男性が、バイアグラ(一般名シルデナフィルクエン酸塩)やシアリス(一般名タダラフィル)といった勃起障害(ED)治療薬を併用すると、死亡リスクや心筋梗塞、心不全などのリスクが高まる可能性が、新たな研究で示された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のDaniel Peter Andersson氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」1月23日号に掲載された。Andersson氏は「医師が、心血管疾患のある男性からED治療薬の処方を求められることが増えつつある」とした上で、「硝酸薬を使用している患者がED治療薬を併用することで、ネガティブな健康アウトカムのリスクが高まる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

グラム陰性菌血症への抗菌薬、早期経口スイッチの効果は?

 抗菌薬は多様な疾患に処方されており、経口投与は点滴投与と比較して医療者・患者負担が少ないが、その効果に違いはあるのか。合併症のないグラム陰性菌血症の患者を対象に、抗菌薬を早期に経口投与に切り替えた場合と静脈内投与を継続した場合の90日死亡リスクを比較した研究結果が発表された。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のSandra Tingsgard氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2024年1月23日号に掲載された。

学会のSNS発信はどうあるべき?JSMO2024でシンポジウム開催

 2024年2月22日(木)~24日(土)、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)が名古屋国際会議場とオンラインのハイブリッド形式で開催される。新薬開発や臨床課題に関する多くの演題が並ぶ中、一風変わったシンポジウムが企画されている。  テーマは「学会としてSNSをどう活用していくべきか」、昨年4月にJSMO広報渉外委員会の下部組織として「SNSワーキンググループ(SNS-WG)」が発足したことを契機に企画されたシンポジウムだ。SNS-WGは立候補制で、現在専攻医からがん薬物療法専門医まで、幅広い世代のJSMO会員メンバーが参加する。  SNS-WGの活動目的は下記のとおり。 1)JSMO会員のSNS利用を活発にするための環境整備 2)医学生・研修医や一般市民に向けた腫瘍内科・JSMOの認知度向上 3)JSMOの国際化

FoundationOne CDx、BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は2024年2月5日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(FoundationOne)について、ファイザーのPARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)のBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として厚生労働省より承認を取得したと発表。  FoundationOneは、今回の承認で8つのがん種(非小細胞肺がん、悪性黒色腫、乳がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、胆道がん、固形がん)、計25薬剤に対するコンパニオン診断機能を保有することになった。

がんの企業治験で分散型臨床試験を使用開始/アムジェン・MICIN・聖マリアンナ医大

 アムジェン、MICIN、および聖マリアンナ医科大学病院は、アムジェンが聖マリアンナ医科大学病院で実施するがんの企業治験において、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)のプラットフォーム使用を開始した。DCTプラットフォームはMICIN社が提供する「MiROHA(ミロハ)」である。  同取り組みの対象となるアムジェンの企業治験は、発現頻度が低いバイオマーカーを対象としたものである。患者数が少なく、スクリーニングでの脱落率も高いことが予想されているため、より多くの患者からインフォームド・コンセント(IC)を取得し、患者組み入れを促進する必要がある。