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尿検査で前立腺がん生検スキップの可否を判定

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/05/20

 

 前立腺がんが見つかった際の最も重要な疑問は、それが即座に治療が必要な進行性のがんなのか、それとも進行が遅く経過観察で済むがんなのかということだ。その答えを得るために現時点で利用できる唯一の方法は生検である。しかし、新たな研究で、MyProstateScore2.0(MPS2)と呼ばれる尿検査が、侵襲的な生検に代わる新たな検査法になり得る可能性が示された。米ミシガン大学医学部病理学および泌尿器科学分野教授のArul Chinnaiyan氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Oncology」に4月18日掲載された。Chinnaiyan氏は、「この検査で陰性であれば、進行性前立腺がんでないことはほぼ確実だ」と話している。

 論文の共著者である同大学泌尿器科学分野のJohn Wei氏は、「前立腺がんに対する治療アプローチは、過去数十年の間に根本的に変化した。20年前には、あらゆる種類の前立腺がんを探し出して治療するのが普通だった。ところが今では、進行の遅いタイプのがんは治療する必要がないとされている」と話す。

 過去数十年間、前立腺特異抗原(PSA)検査は、前立腺がんを発見するために日常的に使われていた。しかし、この検査のみでは、進行性のがんと成長の緩徐ながんを区別することは困難であり、そのため、過剰治療が行われることもしばしばであった。こうしたことから、現在でのPSA検査の使用頻度は以前に比べると格段に低くなっている。

 ミシガン大学の研究グループが最初のMyProstateScoreテスト(MPSテスト)を開発したのは、10年ほど前に遡る。MPSテストは、前立腺がん抗原3遺伝子(PCA3)とTMPRSS2:ERGの2種類の遺伝子の共発現と血清PSAレベルを組み合わせて、悪性度の高いがんのリスクを推定する。Chinnaiyan氏は、「MPSテストの性能は優れているが、十分と言えるものではなかった」と話す。同氏は、「MPSテストや現在市販されている他のテストには、まだアンメットニーズが残されている。これらのテストは前立腺がんを検出しはするものの、概して、臨床的に重要な悪性度の高い前立腺がんの検出精度についてはそれほど優れているとは言えない。今回のMPS2テストの開発で推進力となったのは、このアンメットニーズに応えることだった」と話す。

 前立腺がんの悪性度のレベルは、グリソンスコアで評価される。グリソンスコアがグレード2(GG2)以上の腫瘍は、グレード1(GG1)の腫瘍よりも成長して転移する可能性が高い。今回、Chinnaiyan氏らは、5万8,000以上の遺伝子発現の解析を行い、悪性度の高い前立腺がんの指標となり得る54種類の遺伝子について遺伝子候補パネルを作成して評価した。その上で、最終的に、最初のMPSテストに組み込まれていた2遺伝子を含む18種類の遺伝子をMPS2テストに組み入れた。

 743人から成る検証コホートでMPS2テストの性能を確かめたところ、このテストはその他の検査法よりもGG2以上の腫瘍の検出精度が高く、重要なことに、GG1レベルの腫瘍を100%近くの精度で除外できることが示された。さらにMPS2テストは、患者が不必要な生検を回避するのにより効果的であることも示された。不必要な生検が回避される割合は、PSA検査のみに基づくと11%であったのに対し、MPS2テストでは最大で41%に達すると推定された。

 Wei氏は、「MPS2テストにより、生検が必要ではないはずの10人に4人が、MPS2テストで低リスクと判定され、自信を持って生検をスキップできる」と話す。同氏はさらに、「過去に生検を受けたことがある患者の場合には、このテストはとりわけ効果を発揮する」と語る。過去の生検で陰性と判定された男性のPSAレベルが上がり始めた場合には、通常なら2度目の生検が示唆される。しかし、MPS2テストにより、そのような男性の半数近くで生検は不要と判定されることになるからだ。

 現在、MPS2テストはミシガン大学のスピンオフ企業であるLynxDx社を通じてのみ入手可能である。

[2024年4月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら