ICU患者のせん妄に、抗精神病薬は効果なし/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/01

 

 急性呼吸不全またはショックでICUに入室する、低活動型あるいは過活動型せん妄が認められる患者に対し、ハロペリドールまたはziprasidoneを投与しても、せん妄の発症期間を短縮する効果はないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTimothy D. Girard氏らが、約570例を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、これまで、せん妄が認められるICU入室患者に対する抗精神病薬の効果について、一貫したデータは存在していなかった。NEJM誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。

ハロペリドールvs.ziprasidone vs.プラセボ、投与量は12時間ごとに調整
 研究グループは、急性呼吸不全またはショックでICUに入室した1,183例のうち、低活動型あるいは過活動型せん妄が認められた患者566例を対象に試験を行った。

 患者を無作為に3群に分け、ハロペリドール(192例、最大投与量:20mg/日)、ziprasidone(190例、同:40mg/日)またはプラセボ(184例)を、それぞれ急速静脈内投与した。試験薬とプラセボの投与量については、ICUにおけるせん妄評価法(CAM-ICU)によるせん妄の程度や、投与による副作用を基に、12時間ごとに半減、または倍量に調整した。

 主要評価項目は、14日間の介入期間中のせん妄または昏睡のない生存日数だった。副次評価項目は、30日および90日生存率、人工呼吸器離脱までの期間、ICU退室までの期間、病院退院までの期間などだった。

介入期間中のせん妄・昏睡のない生存日数は3群で同等
 被験者566例のうち、低活動型せん妄は89%、過活動型せん妄は11%だった。試験薬・プラセボの投与日数中央値は4日(四分位範囲:3~7)だった。

 14日間の介入期間中のせん妄または昏睡のない生存日数は、ハロペリドール群7.9日(95%信頼区間[CI]:4.4~9.6)、ziprasidone群8.7日(同:5.9~10.0)で、プラセボ群8.5日(同:5.6~9.9)と、3群間で有意差はなかった(試験群間全体の効果に関するp=0.26)。

 ハロペリドールまたはziprasidoneとプラセボを比較した場合も、主要評価項目の発生について有意差はなかった。それぞれのオッズ比は0.88(95%CI:0.64~1.21)、1.04(同:0.73~1.48)だった。

 副次評価項目および錐体外路症状の発現頻度についても、群間で有意差は認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)