循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:124

VTEへのリバーロキサバン、日本の実臨床での有効性(J'xactly Study)/日本循環器学会

 日本における静脈血栓塞栓症(VTE)患者は欧米ほど多くないが、増加傾向にある。VTE治療および再発抑制に対して、直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバンが2015年に承認され使用されているが、その実臨床データは十分ではない。VTE治療における日本の実臨床でのリバーロキサバンの有効性と安全性を前向きに評価したJ'xactly Studyの結果を、日本大学の奥村 恭男氏が、第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で発表した。  J'xactly Studyは、深部静脈血栓症(DVT)および肺血栓塞栓症(PE)患者を対象に、リバーロキサバンの有効性と安全性を検討した多施設共同前向き観察コホート研究。国内の152施設が参加した。

ダパグリフロジン、2型DM合併問わずCKD患者に有益/AstraZeneca

 アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、同社が行ったダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の第III相DAPA-CKD試験の結果を発表した。  慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患。最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、重篤な状態になると腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする末期腎不全(ESKD)となる。全世界で約7億人の患者が推定されている。

潜在性甲状腺機能低下症併発の急性心筋梗塞患者、ホルモン療法は有効か/JAMA

 潜在性甲状腺機能低下症を併発した急性心筋梗塞患者において、甲状腺ホルモン製剤レボチロキシンはプラセボと比較して、52週後の左室駆出率(LVEF)を改善しないことが、英国・ニューカッスル大学のAvais Jabbar氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年7月21日号に掲載された。甲状腺ホルモンは心筋収縮能の調節に重要な役割を果たしており、急性心筋梗塞患者における潜在性甲状腺機能低下症は不良な予後と関連するという。

医療機関への寄付、 患者側の受け止め方は?/JAMA

 米国では、医療機関支援の資金源として、フィランソロピー(主に寄付による活動支援)の重要性が増しているが、倫理的ガイドラインの策定に資する実証的なエビデンスはほとんどないという。そこで、米国・ミシガン大学のReshma Jagsi氏らは、病院や医師に感謝の思いを持つ患者に慈善的な寄付を促す方法について、一般の人々の受け止め方を評価するための調査を行った。その結果、多くの人々が、寄付をする可能性のある患者を特定したり、寄付を促したり、寄付者に感謝の念を伝えるための法的に許容されているアプローチを支持しないことが明らかとなった。JAMA誌2020年7月21日号掲載の報告。

デクスメデトミジン、心臓手術後の心房細動やせん妄を抑制せず/Lancet

 麻酔導入時から24時間継続するデクスメデトミジンの持続注入は、心臓手術の回復過程にある患者の術後の心房細動やせん妄を減少しないことが明らかになった。米国・クリーブランドクリニックのAlparslan Turan氏らが、多施設共同無作為化プラセボ対照試験「DECADE試験」の結果を報告した。心房細動とせん妄は心臓手術後の一般的な合併症であり、デクスメデトミジンは鎮静剤としてユニークな特性を有しており、これら合併症のリスクを減少させる可能性があった。著者は、「デクスメデトミジンは、心臓手術を受ける患者の心房細動やせん妄の減少のために投与すべきではない」とまとめている。Lancet誌2020年7月18日号掲載の報告。

COVID-19流行、 ACSの入院数減に影響か/Lancet

 イングランドでは、急性冠症候群(ACS)による入院患者数が、2019年と比較して2020年3月末には大幅に減少(40%)し、5月末には部分的に増加に転じたものの、この期間の入院数の低下は、心筋梗塞による院外死亡や長期合併症の増加をもたらし、冠動脈性心疾患患者に2次予防治療を提供する機会を逸した可能性があることが、英国・オックスフォード大学のMarion M. Mafham氏らの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年7月14日号に掲載された。COVID-19の世界的流行期に、オーストリアやイタリア、スペイン、米国などでは、ACSによる入院数の低下や、急性心筋梗塞への直接的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行数の減少が報告されているが、入院率の変化の時間的な経過やACSのタイプ別の影響、入院患者への治療などの情報はほとんど得られていないという。

医師の2020年夏季ボーナス支給、新型コロナの影響は?

 6~7月と言えば、業務に追われるもボーナス支給日を心待ちに日々励んでいる人が多い時期。ところが今年は新型コロナウイルスの影響で状況は一変。外来患者減などが医療施設の経営に大打撃を与え、医療者の給与や将来設計もが脅かされる事態に発展している。  この状況を受け、ケアネットでは7月9日(木)~15日(水)、会員医師1,014名に「夏季ボーナスの支給状況などに関するアンケート」を実施。その結果、全回答者のうち14.6%は本来支給されるはずの夏季ボーナスが不支給または未定であり、支給された方でも25%は例年より減額されていたことが明らかになった。

ACE阻害薬とARB、COVID-19死亡・感染リスクと関連せず/JAMA

 ACE阻害薬/ARBの使用と、高血圧症患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断率、またはCOVID-19と診断された患者における死亡率や重症化との間に、有意な関連は認められなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のEmil L. Fosbol氏らが、デンマークの全国登録を用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。ACE阻害薬/ARBは、新型コロナウイルスに対する感受性を高め、ウイルスの機能的受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現が亢進することによりCOVID-19の予後が悪化するという仮説があったが、今回の結果から著者は「COVID-19のパンデミック下で臨床的に示唆されているACE阻害薬/ARBの投与中止は、支持されない」とまとめている。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。

“do処方”を見直そう…?(解説:今中和人氏)-1263

誰しもが駆け出しとして医師人生をスタートする。医療におけるさまざまな処置や処方には、往々にして歴史的な変遷や患者限定の根拠があったりして実に奥深く、駆け出しがすべてを理解して対応するのは事実上不可能だが、何でもかんでも先輩に尋ねるわけにもゆかない。まして「これは本当に必要なんですか?」なんて、一昔前の「仕分け」のような質問をすればうっとうしがられること必定だから、いわゆる“do処方”の乱発が起きる。もちろん、自分なりに意味付けをしてのことだが、世の中には実はほとんどアップデートされておらず、もはや伝統芸能の域に達しているような処置や処方も存在する。

CABGの10年転帰、橈骨動脈vs.伏在静脈グラフト/JAMA

 冠動脈バイパス術(CABG)を行う際、橈骨動脈グラフトの使用は伏在静脈グラフトに比べ、複合心血管アウトカムの発生リスクは低いことを、米国・Weill Cornell MedicineのMario Gaudino氏らが、5件の無作為化比較試験(被験者総数1,036例、追跡期間中央値10年)についてメタ解析を行い明らかにした。これまで、観察試験では、橈骨動脈グラフト使用のほうが伏在静脈グラフト使用よりも、臨床的アウトカムを改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験では確認されていなかった。JAMA誌2020年7月14日号掲載の報告。