厚生労働省は7月20日、HMG-CoA還元酵素阻害薬を含有する医薬品(スタチン)、エンシトレルビルなどの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。
HMG-CoA還元酵素阻害薬を含有する医薬品
国内副作用症例において、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が認められた。また、公表文献において、スタチンの再投与で重症筋無力症の症状が再発した症例、スタチンの中止で重症筋無力症の症状が消失した症例など、スタチンと重症筋無力症との因果関係が否定できない症例が報告されていることを踏まえ、改訂が適切と判断された。
<改訂点>
1.「特定の背景を有する患者に関する注意」(新記載要領)または「慎重投与」(旧記載要領)の項に「重症筋無力症又はその既往歴のある患者」を追記
2.「重大な副作用」の項に「重症筋無力症」を追記
<該当医薬品>
(1)アトルバスタチンカルシウム水和物(商品名:リピトール錠 ほか)
(2)シンバスタチン(リポバス錠 ほか)
(3)ピタバスタチンカルシウム水和物(リバロ錠 ほか)
(4)プラバスタチンナトリウム(メバロチン錠 ほか)
(5)フルバスタチンナトリウム(ローコール錠 ほか)
(6)ロスバスタチンカルシウム(クレストール錠 ほか)
(7)アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物(カデュエット配合錠1~4番 ほか)
(8)エゼチミブ・アトルバスタチンカルシウム水和物(アトーゼット配合錠LD/HD ほか)
(9)エゼチミブ・ロスバスタチンカルシウム(ロスーゼット配合錠LD/HD)
(10)ピタバスタチンカルシウム水和物・エゼチミブ(リバゼブ配合錠LD/HD)
エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ錠)
アナフィラキシー関連の国内症例として3例が報告されており、うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は1例(死亡0例)であった。しかし、異物である本剤に対するアナフィラキシーの発現は潜在的リスクとして自明であり、緊急承認品目として遅滞ない安全対策措置が重要と、さらなる症例集積を待たずに改訂が判断された。
<改訂点>
「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を追記
このほか、チルゼパチド(マンジャロ皮下注)の重大な副作用の項に「アナフィラキシー、血管性浮腫」が追加。ミノサイクリン(ミノマイシンカプセル ほか)の重大な副作用の項「全身性紅斑性狼瘡(SLE)様症状の増悪」を「ループス様症候群」へ変更し、長期投与例における当該事象の発現に関する注意喚起が追加された。
(ケアネット 土井 舞子)