皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

bDMARD未治療の乾癬性関節炎、ビメキズマブの有効性は?/Lancet

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がない乾癬性関節炎患者において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週時の関節、皮膚、画像的な有効性アウトカムについて有意な改善が認められた。真菌感染の発現を含むビメキズマブの安全性プロファイルは、尋常性乾癬患者を対象にしたIL-17A阻害薬のこれまでの第III相試験結果と一致していた。英国・グラスゴー大学のIain B. Mclnnes氏らが、14ヵ国135施設で実施された52週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照実薬(アダリムマブ)参照試験「BE OPTIMAL試験」の結果を報告した。ビメキズマブは、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナルIgG1抗体で、ビメキズマブの有効性と安全性は並行して実施されたBE OPTIMAL試験とBE COMPLETE試験の2つの第III相試験で検証された。Lancet誌オンライン版2022年12月6日号掲載の報告。

帯状疱疹の既往で長期的な脳卒中・冠動脈疾患リスクが増大

 帯状疱疹と脳卒中および冠動脈疾患の関連を検討したところ、帯状疱疹の既往が脳卒中および冠動脈疾患の長期的なリスクを高め、そのリスクは帯状疱疹発症から12年以上継続する可能性があることを、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon G. Curhan氏らが明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2022年11月16日掲載の報告。  調査は、米国の3つの大規模コホート研究であるNurses' Health Study(NHS)、Nurses' Health Study II(NHS II)、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)を用いて行われた。解析対象は、これまでに脳卒中や冠動脈疾患の既往のないNHSの女性7万9,658例(平均年齢65.8歳、2000~2021年)、NHS IIの女性9万3,932例(平均年齢46.2歳、2001~2021年)、HPFSの男性3万1,440例(平均年齢69.5歳、2001~2016年)の合計20万5,030例であった。

女性のサル痘感染、性自認や性行為で臨床症状が異なる/Lancet

 2022年5月~11月に、世界で7万8,000人以上のヒトサル痘ウイルス感染が報告されたが、主に男性と性行為を持つ男性で発生している。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJohn P. Thornhill氏らは、今回、15ヵ国のシスジェンダーおよびトランスジェンダー女性と、出生時に女性性を割り当てられたノンバイナリーにおけるサル痘感染の疫学的および臨床的な特性を記述し、リスク因子の特定と理解の向上を目的とする症例集積研究を行った。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月17日号に掲載された。  本研究では、サル痘ウイルス感染の診断件数が多い地域の研究者と連絡を取り、サル痘ウイルス感染が確定された女性およびノンバイナリーのデータを提供するよう依頼した。

血中デュピルマブ値と治療反応、有害事象は関連するか?

 デュピルマブ治療を受けるアトピー性皮膚炎(AD)成人患者の治療反応および有害事象は、血中デュピルマブ値と関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のLotte S. Spekhorst氏らは、前向きBioDayレジストリのデータを利用した臨床前向き観察コホート試験で、被験者の16週時点の血中デュピルマブ値は広範囲にわたったが、1年時点の評価で治療反応や有害事象との関連は認められなかったことを明らかにした。  AD成人患者へのデュピルマブ用量は隔週300mgとされている。今回の結果を踏まえて著者は、「デュピルマブの奏効は、インターロイキン-4(IL-4)受容体サブユニットαをターゲットとしていることに依存しており、患者間のばらつきが奏効の不均一性を生み出している可能性がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年11月2日号掲載の報告。

国内初の経口TYK2阻害剤デュークラバシチニブが乾癬治療にもたらす可能性

 2022年11月10日、ブリストル マイヤーズ スクイブ主催により、「乾癬治療の課題と新たな治療選択肢~国内初のTYK2阻害剤登場の意義~」についてプレスセミナーが開催された。同セミナーで帝京大学医学部皮膚科学講座の多田 弥生氏は、乾癬を取り巻く社会課題として患者の生活の質(Quality of Life:QOL)に及ぼす影響について講演を行った。また、名古屋市立大学大学院医学研究科の森田 明理氏は、国内初の経口TYK2阻害剤として同年9月に承認されたデュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ錠)の開発経緯、作用機序や臨床試験の紹介に加え、同剤への期待を述べた。

アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

 多くの診療科に関係するアレルギー疾患。2022年10月に刊行された『アレルギー総合ガイドライン2022』は、2019年版の全面改訂版だ。各診療ガイドラインのエッセンスを精選して幅広いアレルギー診療の基本をまとめ、前版より大幅なコンパクト化を実現した。編纂作業にあたった日本アレルギー学会・アレルギー疾患ガイドライン委員会委員長の足立 雄一氏(富山大学 小児科学講座 教授)に改訂のポイントを聞いた。 ――『アレルギー総合ガイドライン』は、各分野のガイドラインや診療の手引きの短縮版を合本してつくられています。これまではそのまま合本していたため、どうしても重複箇所が多くなり、2019年版は700ページを超えました。読者から「読みにくい」「重くて持ち運べない」といった声が出ており、今回はガイドライン委員が全ページに目を通して重複を削る作業をした結果、300ページ近いコンパクト化を図ることができました。

コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関連するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では帯状疱疹リスクの増加と関連していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。

アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみ、臨床で推奨される測定手法は?

 臨床において、アトピー性皮膚炎患者の湿疹コントロールおよびかゆみの強度測定に推奨される手法は何か。イスラエル・ラビン医療センターのYael A. Leshem氏らHarmonising Outcome Measures for Eczema in Clinical Practice(HOME-CP)イニシアチブが、システマティックレビューを介して入手した測定手法についてエビデンスレビューを行った。  結果、湿疹の長期コントロールの測定には、Recap of Atopic Eczema(RECAP)とAtopic Dermatitis Control Tool(ADCT)が、かゆみ強度の測定には、かゆみに関するPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)質問票に基づく、かゆみの数値評価スケール(NRS-itch)でみた24時間ピーク値および1週間ピーク値と1週間平均値が推奨される、とのコンセンサスステートメントを発表した。

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下「コセルゴ」)の販売を11月16日より開始したことを発表した。  神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。NF1患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。

サル痘、発症前の症例から感染の可能性も/BMJ

 英国健康安全保障庁(UKHSA)のThomas Ward氏らは、英国でのサル痘の感染動態を調べる目的で接触追跡研究を実施した。英国では、サル痘の流行は2022年7月9日時点でピークとなりその後に低下。発症間隔は潜伏期間より短い場合が一般的であったことから、症状発現前のサル痘症例からの感染伝播があったことが示唆されたとしている。また、症状発現前に感染が検出されたのは最大4日間であったことから、感染の可能性がある人々の95%を検出するためには16~23日の隔離期間が必要と考えられたこと、発症間隔の95パーセンタイル値は23~41日間であり、感染期間が長いことが示唆されたとしている。BMJ誌2022年11月2日号掲載の報告。