糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

スタチンで糖尿病患者の下肢切断リスクが低下

 主要な心血管イベントに対するスタチンの効果を裏付けるエビデンスはあるが、四肢のアウトカムにおける保護効果をみた研究はほとんどない。今回、台湾・国立陽明大学のChien-Yi Hsu氏らの観察コホート研究により、末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、スタチン使用者では非使用者に比べて、下肢切断および心血管死のリスクが低いことがわかった。The Journal of clinical endocrinology and metabolism誌オンライン版2017年4月7日号に掲載。

糖尿病の心血管イベント、15年で大きく減少/NEJM

 スウェーデンでは1998~2014年にかけて、糖尿病患者の心血管イベント発生率が減少し、その減少率は糖尿病ではない人に比べ20~40%大きいことがわかった。致死的イベントも減少したが、その減少率については、1型糖尿病患者は糖尿病でない人と同等、2型糖尿病患者ではより小さかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAidin Rawshani氏らが明らかにしたもので、NEJM誌2017年4月13日号で発表した。糖尿病患者の死亡や心血管イベントの過剰リスクについて、長期的傾向を調べた大規模な試験はなかった。

研修と組み合わせた2つの強化インスリン療法を比較/BMJ

 1型糖尿病患者の治療において、インスリンポンプ療法に、フレキシブル強化インスリン治療に関する体系的な研修を加えても、頻回注射法(MDI)と比較して血糖コントロール、低血糖、心理社会的転帰に、教育によるベネフィットの増強は得られないことが、英国・シェフィールド大学のSimon Heller氏らが行ったREPOSE試験で示された。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2017年3月30日号に掲載された。英国では、1型糖尿病のインスリンポンプ療法は、これ以外の方法では日常生活に支障を来す低血糖を起こさずに良好な血糖コントロールが達成できない患者には価値があるとされる。より広範なインスリンポンプ療法の使用については不確実な点が多く、これまでに行われたMDIとの比較試験は症例数が少なく、試験期間が短いものしかなかったという。

非肥満・非糖尿病でも、高インスリン血症でがん死亡増

 肥満や2 型糖尿病はがん関連死亡と関連しているが、肥満でも糖尿病でもない場合に高インスリン血症はがん死亡の危険因子となるのだろうか。国立国際医療研究センター病院の辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究で、糖尿病ではない非肥満者において、高インスリン血症だとがん死亡リスクが高いことが示された。この結果から、肥満であるかどうかにかかわらず、高インスリン血症の改善はがん予防のための重要なアプローチとなりうる、と著者らは結論している。International journal of cancer誌オンライン版2017年4月8日号に掲載。

高齢者の潜在性甲状腺機能低下症にホルモン療法は有効か?/NEJM

 潜在性甲状腺機能低下症の治療において、これまでレボチロキシンの使用は議論の的であったが、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(TRUST試験)の結果、高齢患者に対するレボチロキシンの有効性は認められなかった。英国・グラスゴー王立診療所のDavid J Stott氏らが報告した。潜在性甲状腺機能低下症に対するレボチロキシン補充療法については、小規模な無作為化比較試験しかなく、治療のリスクや有効性に関するエビデンスは限られていた。NEJM誌オンライン版2017年4月3日号掲載の報告。

2型糖尿病と部位別がん死亡リスク~アジア人77万人の解析

 東アジアと南アジアの約77万人のデータ解析から、2型糖尿病患者ではがん死亡リスクが26%高いことを、ニューヨーク州立大学のYu Chen氏らが報告した。また、部位別のがん死亡リスクも評価し、その結果から「がん死亡率を減少させるために、肥満と同様、糖尿病の蔓延をコントロール(予防、発見、管理)する必要性が示唆される」と結論している。Diabetologia誌オンライン版2017年3月7日号に掲載。

リラグルチドの糖尿病発症予防効果は160週にわたって持続する(解説:住谷 哲 氏)-660

リラグルチドが、肥満合併前糖尿病患者の糖尿病への進展を56週にわたって抑制することはすでに報告されていた。本論文は、その試験の160週にわたる結果であり、56週でみられた糖尿病発症予防効果は、160週にわたって持続することが明らかとなった。肥満合併前糖尿病患者は年々増加しており、生活習慣への介入のみでは減量に難渋することが多い。わが国でもリラグルチドがこの目的で使用可能となれば朗報であろう。

やはりthe lower the betterだった(解説:興梠 貴英 氏)-659

これまでコレステロール低下療法のエビデンスにおいて、スタチンが数の上で圧倒的に多かった。しかもezetimibeは試験デザイン上の問題から、なかなかthe lower the betterを示すことができなかった。そのため、PCSK9の機能喪失変異に伴う心血管リスク低減という疫学的な知見や、PCSK9阻害薬の第II相試験の予備的な結果で心血管リスクが低減することが示唆されたということはあったものの、PCSK9阻害薬による実際の介入で心血管系エビデンスを減らすのかについては、きちんと実施された臨床試験の結果を待たなくてはならなかった。