東アジアと南アジアの約77万人のデータ解析から、2型糖尿病患者ではがん死亡リスクが26%高いことを、ニューヨーク州立大学のYu Chen氏らが報告した。また、部位別のがん死亡リスクも評価し、その結果から「がん死亡率を減少させるために、肥満と同様、糖尿病の蔓延をコントロール(予防、発見、管理)する必要性が示唆される」と結論している。Diabetologia誌オンライン版2017年3月7日号に掲載。
Asia Cohort Consortiumに含まれる19の前向き集団コホートにおける、東アジア人65万8,611人および南アジア人11万2,686人のデータについて、プール解析を実施した。ベースライン時に糖尿病であった場合の全がん死亡リスクおよび部位別のがん死亡リスクについて、糖尿病でなかった場合に対するハザード比(HR)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間12.7年で、がんにより3万7,343人が死亡した(東アジア人3万6,667人、南アジア人676人)。
・ベースライン時に糖尿病であった場合、全がん死亡リスクが有意に高かった(HR:1.26、95%CI:1.21~1.31)。
・以下のがんでは、糖尿病との有意な正相関が認められた。
大腸がん(HR:1.41、95%CI:1.26~1.57)
肝がん(HR:2.05、95%CI:1.77~2.38)
胆管がん(HR:1.41、95%CI:1.04~1.92)
胆嚢がん(HR:1.33、95%CI:1.10~1.61)
膵臓がん(HR:1.53、95%CI:1.32~1.77)
乳がん(HR:1.72、95%CI:1.34~2.19)
子宮体がん(HR:2.73、95%CI:1.53~4.85)
卵巣がん(HR:1.60、95%CI:1.06~2.42)
前立腺がん(HR:1.41、95%CI:1.09~1.82)
腎がん(HR:1.84、95%CI:1.28~2.64)
甲状腺がん(HR:1.99、95%CI:1.03~3.86)
悪性リンパ腫(HR:1.39、95%CI:1.04~1.86)
・白血病、膀胱がん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、肺がんによる死亡リスクは、糖尿病との有意な関連は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)