糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:44

糖類の過剰摂取、心代謝疾患リスクを増大/BMJ

 食事による糖類(単糖類、二糖類、多価アルコール、遊離糖、添加糖)の過剰な摂取は、一般的に健康にとって益よりも害が大きく、とくに体重増加、異所性脂肪蓄積、心血管疾患などの心代謝疾患のリスク増大に寄与していることが、中国・四川大学のYin Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号で報告された。   研究グループは、食事による糖類の摂取と健康アウトカムの関連に関する入手可能なすべての研究のエビデンスの質、潜在的なバイアス、妥当性の評価を目的に、既存のメタ解析のアンブレラレビューを行った(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。

健康に良く地球に優しい食事スタイルのランキング

 今日、ステーキを食べようかと思っているなら、魚や野菜中心の料理に変更した方が、あなたの健康だけでなく、地球環境にも良い結果につながる可能性のあることを示すデータが報告された。米テュレーン大学のDonald Rose氏らの研究によるもので、詳細は「The American Journal of Clinical Nutrition」に3月1日掲載された。  Rose氏らは、「食事の質」と「二酸化炭素排出量」という二つの視点から、さまざまな食事スタイルのランク付けを実施。その結果、肉食でない食事スタイルの方が、両方の点で優れていることが分かった。同氏によると、これまでにも菜食の方が二酸化炭素排出量の少ないことは報告されているという。ただし、それらの研究は、研究参加者自身がベジタリアンであることを申告している人を対象としたものが多く、そのように自分の食事スタイルを意識していない大半の人が摂取している食べ物と二酸化炭素排出量の関連は、あまり研究されていなかったとのことだ。そこでRose氏らは、多くの一般住民を対象に行われている米国の国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた検討を行った。

歯を失うと糖尿病に伴う認知機能低下に拍車がかかる可能性

 糖尿病患者が歯を失うと、認知機能低下リスクがより上昇するかもしれない。その可能性を示唆する、米ニューヨーク大学ローリーマイヤーズ看護学部のBei Wu氏らの研究結果が、「Journal of Dental Research」に3月12日掲載された。この研究のみでは因果関係の証明にはならないが、強固な関連が認められるという。  糖尿病が認知症のリスク因子の一つであることや、残っている歯の数が少ないほど認知症リスクが高くなることが知られている。ただし、糖尿病患者が歯を失うことにより認知症リスクがより高まるのか否かは明らかでない。Wu氏らはこの点について、同大学が行っている、就労や定年退職と健康に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータを用いて検討した。

糖尿病患者に対する血糖・血圧・脂質低下薬処方中断の実態

 糖尿病患者への血糖降下薬、降圧薬、脂質低下薬の長期的な継続使用に関する研究結果が報告され、それらの薬剤の処方が開始された後に中断される患者が少なくないという実態が明らかになった。米エモリー大学のPuneet Kaur Chehal氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に1月30日掲載された。脂質低下薬については患者の43.3%で、処方の中断が認められたという。  近年行われた大規模スタディによって、糖尿病の血管合併症の発症・進展抑止には、血糖値だけでなく、血圧や血清脂質も厳格に管理することが重要であることが明らかになった。そのため、糖尿病患者に対しては血糖降下薬だけでなく、降圧薬や脂質低下薬など、複数の薬剤が必要とされることが増えてきている。

既報のRCT 3研究の共同解析結果から、高感度CRPとLDLコレステロール濃度モニターでスタチン治療を成功に導く秘策を学ぶ!―(解説:島田俊夫氏)

慢性炎症が血管障害、動脈硬化、がん等の発生に密接に関係していることは周知の事実である。Ridkerらは高感度CRP(hsCRP)の慢性炎症の評価マーカーとしての有用性に着目して多くの論文を発表しており、スタチン投与によるhsCRP濃度を下げることで、動脈硬化、血管障害、心血管イベント・死の評価に有用だと報告している。とくに高LDLコレステロール(高LDL-C)血症、高血圧、糖尿病(DM)、肥満等の疾患を複数合併する患者へのスタチン投与でhsCRPが低下すれば、イベント抑制、予後の改善につながるとの期待を抱かせる。

なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。

不健康なプラントベース食では死亡、がん、CVDリスクが増大

 “健康的”なプラントベース食(植物由来の食品)の摂取が多いほど、死亡、がん、心血管疾患のリスクが低くなるが、“不健康”なプラントベース食ばかりではそれらのリスクがむしろ高くなることが、英国・クイーンズ大学ベルファストのAlysha S. Thompson氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2023年3月28日号掲載の報告。  プラントベース食は、卵、乳製品、魚、肉を少量のみ摂取またはまったく摂取しないことを特徴とする食事で、環境と健康の両方の理由から世界中で人気となっている。しかし、プラントベース食の質と死亡や慢性疾患のリスクに関する総合的な評価は不十分であった。

スタチンのプレイオトロピック効果はあるの?(解説:平山篤志氏)

4S試験以来スタチンによる心血管イベント抑制効果が明らかにされ、さらに追加解析でスタチンにはLDL-コレステロール(LDL-C)低下効果に加えて、抗炎症、抗酸化などのプレイオトロピック効果があると示唆されてきた。このような背景から機序の異なるLDL-C低下薬であるエゼチミブやPCSK-9阻害薬を用いた大規模臨床試験では、スタチンに追加することでLDL-Cを低下させる効果で有効性が示されてきた。しかし、今回のベムペド酸(bempedoic acid)を用いたCLEAR Outcome試験では、対象がスタチン不耐性の患者であるためコントロール群にはスタチンが使用されていない。にもかかわらず、ベムペド酸治療群で、有意なLDL-Cと高感度CRPの低下とともに心血管イベントを有意に減少した。

乳がんの予後に糖尿病が影響

 糖尿病の女性は乳がん発症リスクが高いことが知られているが、乳がんの予後にも糖尿病の影響が及ぶ可能性を示唆する研究結果が報告された。糖尿病がある場合、無遠隔転移生存期間や全生存期間が有意に短いという。順天堂大学大学院医学研究科乳腺腫瘍学の戸邉綾貴子氏、堀本義哉氏らの研究によるもので、詳細は「Breast Care」10月発行号に掲載された。  糖尿病は多くのがんの発症リスクの高さと関連のあることが報告されており、そのメカニズムとして、インスリン抵抗性による高インスリン血症が、がんの発生を促すように働くことが想定されている。乳がんも糖尿病によって発症率が高くなるがんの一つ。ただ、乳がんの予後が糖尿病の有無によって異なるのか否かは明確になっていないことから、戸邉氏らはこの点を後方視的コホート研究により検討した。

1日どのくらいの飲酒量で死亡リスクが増える?

 飲酒と全死亡の関連を調べたこれまでのメタ解析では、組み入れられた研究の数や質、参加者の性別や年代の偏りに影響されている可能性がある。今回、カナダ・ビクトリア大学のJinhui Zhao氏らが関連をより正確に調べるために系統的レビューを行い、107件のコホート研究のメタ解析を行った結果、毎日のアルコール摂取量が少量~中量の場合は全死亡リスクと有意な関連はなかったが、摂取量が増えると明らかなリスク増加が認められた。また、女性のほうがより少ない摂取量から関連がみられたという。JAMA Network Open誌2023年3月31日号に掲載。