糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

甘味料エリスリトールに心血管リスク、想定される機序は?

 人工甘味料は砂糖の代用として広く使用されているが、人工甘味料の摂取が2型糖尿病や心血管疾患と関連するという報告もある。米国・クリーブランドクリニック・ラーナー研究所のMarco Witkowski氏らは、アンターゲットメタボロミクス研究において、糖アルコールに分類される甘味料エリスリトール(多くの果物や野菜に少量含まれる)が3年間の主要心血管イベント(MACE:死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生と関連していることを発見し、その後の米国および欧州の2つのコホートを用いた研究でも、その関連は再現された。また、エリスリトールはin vitroにおいて血小板反応性を亢進し、in vivoにおいて血栓形成を促進することを明らかにした。健康成人にエリスリトールを摂取させたところ、血小板反応性の亢進および血栓形成の促進についての閾値を大きく超える血漿中エリスリトール濃度の上昇が引き起こされた。Nature Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

平均血糖値とHbA1c値の乖離の理由が明らかに/京都医療センターほか

 平均血糖値が同じ180mg/dLであってもHbA1cが7.0%台の人もいれば、9.0%近くの人もいると、A1c-Derived Average Glucose(ADAG)研究で報告されている。これらの現象はヘモグロビン糖化に個人差があるのではないかと推察されている。2型糖尿病ではヘモグロビン糖化インデックス(HGI)が高い人は、糖尿病合併症、心血管疾患、死亡リスクが増大すると報告されている。しかし、日本人1型糖尿病での報告はなかった。

SGLT2阻害薬で腎結石リスク低下の可能性

 SGLT2阻害薬(SGLT2-i)が腎結石のリスクを抑制することを示唆するデータが報告された。患者データの解析や動物実験などによって明らかになったもので、東北医科薬科大学医学部腎臓内分泌内科の廣瀬卓男氏、同泌尿器科(現在は四谷メディカルキューブ泌尿器科)の阿南剛氏らによる論文が、「Pharmacological Research」12月発行号に掲載された。さらに同氏らは、経口血糖降下薬のタイプ別の解析を実施。唯一、SGLT2-iが処方されている患者のみ、尿路結石が有意に少ないという結果が、「Kidney International Reports」に2月2日、レターとして掲載された。

2型糖尿病患者にも完全クローズドループポンプが有用

 これまで主として1型糖尿病の治療目的で研究開発が続けられている完全クローズドループインスリンポンプが、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善にも役立つことを示す研究結果が報告された。英ケンブリッジ大学のCharlotte Boughton氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に1月11日掲載された。インスリン注射療法に比べて、血糖値が目標範囲内にある時間が長くなり、低血糖を増やすことなくHbA1cが低下したという。  インスリンは、全身の細胞で血糖をエネルギー源として利用する際に必要なホルモンであり、膵臓で産生されている。1型糖尿病は、膵臓のインスリン産生が絶対的に不足する病気。それに対して2型糖尿病は、膵臓のインスリン産生が少ないか、インスリンが作用する細胞の感受性が低下しているかのいずれか、または両方によって、インスリンが相対的に不足する病気。1型糖尿病患者は生存のためにインスリン療法が必須であり、2型糖尿病では一部の患者が血糖管理のためにインスリン療法が必要となる。

減量で大事なのは食事を取るタイミングではなく頻度と量

 減量をする上で最も重要なのは、いつ食べるかではなく、食べる頻度と量であることが、約550人の成人の食生活を6カ月にわたって調査した新たな研究から明らかになった。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のWendy Bennett氏らによるこの研究は、「Journal of the American Heart Association」に1月18日掲載された。  米国心臓協会(AHA)によると、米国では10人中4人が肥満だという。Bennett氏らの研究は、体重を管理する上で、食べる頻度や量の相対的な重要性についての洞察を得ることを目的としたもの。対象は、米メリーランド州およびペンシルベニア州の3つのヘルスケアシステムのいずれかに電子健康記録(EHR)があり、試験登録(2019年2〜7月)前の2年間に身長と体重の測定値が1件以上記録されている18歳以上の成人のうち、スマートフォンへのアプリ(Daily24)のダウンロードに同意した547人。対象者の平均年齢は49.3歳で、女性が79.5%、白人が79.9%を占め、試験開始時の平均BMIは30.3であった。対象者はアプリを使って、食事を取る時間と量、入眠と起床の時間を6カ月間、記録した。研究グループは、各対象者の登録前(最長10年)と登録後(10カ月まで)の身長と体重の測定値をEHRから入手し、体重の変化を中央値で6.3年間追跡した。

食生活を少しずつ改善していくためのアドバイス―AHAニュース

 新年を迎えるに当たって多くの人が「減量」を目標に掲げる。しかし、結局なにも始められなかったり、いったん体重が減っても年末までにリバウンドしてしまったりという人が少なくない。専門家は、はやりのダイエットに飛びつこうとする前に、栄養の質を改善することを勧めている。健康的な食事に向けて段階的に改善していくと新たな食生活が定着しやすく、その結果、心臓病や脳卒中のリスクが抑制され長年にわたって恩恵を受けられる確率が高くなり、死亡リスクも低下する。  米国フィラデルフィアを拠点に活動している栄養士のAlexis Newman氏は、「私は、食べる量を減らすという食事療法の考え方には固執しない。なぜなら、そのような食事療法はうまくいかないことが多いからだ。『何を食べないか』ではなく、より健康的な食品を食べるように勧めることが多い」と話す。より健康的な食品とは、玄米などの食物繊維を含む全粒穀物、果物、野菜などであり、それに加えて積極的な水分摂取も大切だという。

糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。  中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。

低体重と肥満が片頭痛の発症リスク上昇と関連

 低体重および肥満は片頭痛の発症リスクと関連しており、リスクはBMI 20kg/m2未満と29kg/m2超で上昇することが、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」7/8月号に掲載されたレビューにおいて明らかになった。 過去のメタアナリシスからBMIと片頭痛との関連が示されているが、用量反応解析は行われておらず、また、緊張型頭痛(TTH)など、他の一次性頭痛疾患と肥満との関連は明らかにされていない。

妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病リスクをコーヒーが抑制

 妊娠糖尿病女性の出産後の糖尿病発症リスクを、コーヒーが抑制する可能性を示唆するデータが報告された。シンガポール国立大学のCuilin Zhang氏らが、妊娠糖尿病と診断された女性を20年以上追跡した結果、出産後に1日4杯以上コーヒーを飲む習慣のあった女性は、全く飲まない人より糖尿病発症リスクが半減していたという。この研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に11月14日掲載された。  妊娠糖尿病は、妊娠後に発症した糖尿病の診断基準には至らない程度の高血糖のことで、妊娠中の血糖コントロールが不十分だと巨大児出産や難産のリスクが高くなる。出産後には多くの場合、耐糖能は正常に戻るものの、加齢とともに2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、妊娠糖尿病でなかった女性に比べると糖尿病リスクが10倍に上るとするデータもある。一方、コーヒーに糖尿病発症抑制効果のある可能性が、一般集団を対象とする疫学研究の結果として既に報告されている。しかし、妊娠糖尿病になった女性に焦点を絞った研究はこれまで行われていなかった。

糖尿病網膜症、アフリベルセプトの早期投与で長期の視力改善は?/JAMA

 中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を伴わない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)患者において、アフリベルセプトを予防投与し視力を脅かす合併症が生じた場合にアフリベルセプトによる治療を開始しても、予防投与なし(シャム投与)で同合併症発生時に治療を開始した場合と比較し、4年後に増殖糖尿病網膜症(PDR)またはCI-DMEの発生率は有意に低下したが視力の改善は認められなかった。米国・インディアナ大学のRaj K. Maturi氏らが、米国およびカナダの64施設で実施した無作為化比較試験「DRCR Retina Network Protocol W試験」の結果を報告した。本試験では、少なくとも2年間は糖尿病による視力を脅かす合併症の発生を抑制できることが示されていたが、早期投与が長期的な視力改善につながるかどうかは不明であった。著者は、「本試験で用いられた予防戦略としてのアフリベルセプトは、CI-DMEを伴わないNPDR患者には通常不要だろう」とまとめている。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、1型または2型糖尿病を有する成人で、CI-DMEを伴わない中等度~重度のNPDR(糖尿病網膜症重症度尺度[DRSS]レベル43~53)を少なくとも1眼有し、最高矯正視力が79文字以上(スネレン換算20/25以上)の患者を対象に試験を実施した。