糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

米国農務省が学校給食の糖と塩を減らす新提案

 米国農務省(USDA)はこのほど、学校給食の質を改善するための新たな基準案を示した。主として、添加糖やナトリウムの含有量を段階的に削減していくことが提案されている。同省では現在、この提案に対するパブリックコメントを募集している。  米国の学校給食の献立の基準は2012年に見直され、野菜や果物の利用、精製度の低い穀類の使用、エネルギー量過剰の是正などが図られた。今回の基準改定はそれ以来の変更。2025~2026年にスタートし、段階的に厳格な基準としていくことを提案している。

動脈硬化は睡眠が不規則な人ほど発症する可能性が高かった

 睡眠不足や不規則な睡眠というのは心血管疾患や2型糖尿病などの発症に関連しているが、アテローム性動脈硬化との関連性についてはあまり知られていない。そこで、米国・ヴァンダービルト大学のKelsie M. Full氏らは睡眠時間や就寝タイミングとアテローム性動脈硬化との関連性を調査し、45歳以上の場合に睡眠不足や不規則な睡眠であるとアテローム性動脈硬化の発症リスクを高めることを示唆した。Journal of the American Heart Association誌2023年2月21日号掲載の報告。

メタボ該当者はうつ病リスクが高い―国内のコホート内症例対照研究

 メタボリックシンドローム(MetS)に該当する人は、うつ病のリスクが高い可能性のあることが報告された。名古屋大学医学部附属病院先端医療開発部の今泉貴広氏、同大学大学院医学系研究科病態内科学腎臓内科の丸山彰一氏らによる研究の結果であり、詳細は「Scientific Reports」に11月3日掲載された。  うつ病は労働者の精神疾患として最も一般的に見られる疾患であり、公衆衛生上の大きな問題となっている。うつ病が糖尿病や心血管疾患のリスクと関連のあることは既に知られており、さらにそれらの発症前段階に当たるMetSも、うつ病と関連のあることが報告されている。ただし、MetSとうつ病との関連を縦断的に示した研究はなく、MetS該当者が将来的にうつ病を発症しやすいのかどうかは明らかになっていない。仮にそのような関連があるとすれば、MetSによる心血管疾患の発症抑止という目的で行われている特定健診・保健指導を、うつ病予防の介入の機会とするという公衆衛生対策も可能と考えられる。このような背景のもと今泉氏らは、健診データと医療費請求データを用いて、MetS該当者がうつ病を発症しやすいのかを検討した。

日本人における砂糖と大腸がんリスクの関連は?

 日本の中年成人における砂糖摂取量と大腸がんリスクとの関連を大規模コホート研究のJPHC研究で検討した結果、明らかな関連はみられないものの、総摂取量が多い女性で直腸がんリスクが増加する可能性が否定できなかった。国立がん研究センターの金原 理恵子氏らの報告がCancer Science誌オンライン版2023年2月27日号に掲載された。  砂糖の摂取量が大腸がんリスクに及ぼす影響はまだ定まっていない。アジア人が摂取する砂糖の原料は欧米人とは異なり、アジア人集団における砂糖の総摂取量および特定の種類の摂取量における前向きコホート研究はほとんどない。

甘味料エリスリトールに心血管リスク、想定される機序は?

 人工甘味料は砂糖の代用として広く使用されているが、人工甘味料の摂取が2型糖尿病や心血管疾患と関連するという報告もある。米国・クリーブランドクリニック・ラーナー研究所のMarco Witkowski氏らは、アンターゲットメタボロミクス研究において、糖アルコールに分類される甘味料エリスリトール(多くの果物や野菜に少量含まれる)が3年間の主要心血管イベント(MACE:死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生と関連していることを発見し、その後の米国および欧州の2つのコホートを用いた研究でも、その関連は再現された。また、エリスリトールはin vitroにおいて血小板反応性を亢進し、in vivoにおいて血栓形成を促進することを明らかにした。健康成人にエリスリトールを摂取させたところ、血小板反応性の亢進および血栓形成の促進についての閾値を大きく超える血漿中エリスリトール濃度の上昇が引き起こされた。Nature Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

平均血糖値とHbA1c値の乖離の理由が明らかに/京都医療センターほか

 平均血糖値が同じ180mg/dLであってもHbA1cが7.0%台の人もいれば、9.0%近くの人もいると、A1c-Derived Average Glucose(ADAG)研究で報告されている。これらの現象はヘモグロビン糖化に個人差があるのではないかと推察されている。2型糖尿病ではヘモグロビン糖化インデックス(HGI)が高い人は、糖尿病合併症、心血管疾患、死亡リスクが増大すると報告されている。しかし、日本人1型糖尿病での報告はなかった。

SGLT2阻害薬で腎結石リスク低下の可能性

 SGLT2阻害薬(SGLT2-i)が腎結石のリスクを抑制することを示唆するデータが報告された。患者データの解析や動物実験などによって明らかになったもので、東北医科薬科大学医学部腎臓内分泌内科の廣瀬卓男氏、同泌尿器科(現在は四谷メディカルキューブ泌尿器科)の阿南剛氏らによる論文が、「Pharmacological Research」12月発行号に掲載された。さらに同氏らは、経口血糖降下薬のタイプ別の解析を実施。唯一、SGLT2-iが処方されている患者のみ、尿路結石が有意に少ないという結果が、「Kidney International Reports」に2月2日、レターとして掲載された。

2型糖尿病患者にも完全クローズドループポンプが有用

 これまで主として1型糖尿病の治療目的で研究開発が続けられている完全クローズドループインスリンポンプが、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善にも役立つことを示す研究結果が報告された。英ケンブリッジ大学のCharlotte Boughton氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に1月11日掲載された。インスリン注射療法に比べて、血糖値が目標範囲内にある時間が長くなり、低血糖を増やすことなくHbA1cが低下したという。  インスリンは、全身の細胞で血糖をエネルギー源として利用する際に必要なホルモンであり、膵臓で産生されている。1型糖尿病は、膵臓のインスリン産生が絶対的に不足する病気。それに対して2型糖尿病は、膵臓のインスリン産生が少ないか、インスリンが作用する細胞の感受性が低下しているかのいずれか、または両方によって、インスリンが相対的に不足する病気。1型糖尿病患者は生存のためにインスリン療法が必須であり、2型糖尿病では一部の患者が血糖管理のためにインスリン療法が必要となる。

減量で大事なのは食事を取るタイミングではなく頻度と量

 減量をする上で最も重要なのは、いつ食べるかではなく、食べる頻度と量であることが、約550人の成人の食生活を6カ月にわたって調査した新たな研究から明らかになった。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のWendy Bennett氏らによるこの研究は、「Journal of the American Heart Association」に1月18日掲載された。  米国心臓協会(AHA)によると、米国では10人中4人が肥満だという。Bennett氏らの研究は、体重を管理する上で、食べる頻度や量の相対的な重要性についての洞察を得ることを目的としたもの。対象は、米メリーランド州およびペンシルベニア州の3つのヘルスケアシステムのいずれかに電子健康記録(EHR)があり、試験登録(2019年2〜7月)前の2年間に身長と体重の測定値が1件以上記録されている18歳以上の成人のうち、スマートフォンへのアプリ(Daily24)のダウンロードに同意した547人。対象者の平均年齢は49.3歳で、女性が79.5%、白人が79.9%を占め、試験開始時の平均BMIは30.3であった。対象者はアプリを使って、食事を取る時間と量、入眠と起床の時間を6カ月間、記録した。研究グループは、各対象者の登録前(最長10年)と登録後(10カ月まで)の身長と体重の測定値をEHRから入手し、体重の変化を中央値で6.3年間追跡した。

食生活を少しずつ改善していくためのアドバイス―AHAニュース

 新年を迎えるに当たって多くの人が「減量」を目標に掲げる。しかし、結局なにも始められなかったり、いったん体重が減っても年末までにリバウンドしてしまったりという人が少なくない。専門家は、はやりのダイエットに飛びつこうとする前に、栄養の質を改善することを勧めている。健康的な食事に向けて段階的に改善していくと新たな食生活が定着しやすく、その結果、心臓病や脳卒中のリスクが抑制され長年にわたって恩恵を受けられる確率が高くなり、死亡リスクも低下する。  米国フィラデルフィアを拠点に活動している栄養士のAlexis Newman氏は、「私は、食べる量を減らすという食事療法の考え方には固執しない。なぜなら、そのような食事療法はうまくいかないことが多いからだ。『何を食べないか』ではなく、より健康的な食品を食べるように勧めることが多い」と話す。より健康的な食品とは、玄米などの食物繊維を含む全粒穀物、果物、野菜などであり、それに加えて積極的な水分摂取も大切だという。