糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

肥満の有病率が高い都道府県は透析導入率が高い

 都道府県ごとの肥満の有病率が、透析導入率と有意な関連のあることが報告された。また女性に関しては、タンパク尿の有病率とも有意な関連があるという。新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学寄附講座の若杉三奈子氏らの研究によるもので、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に10月8日掲載された。  肥満は慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全(ESKD)の重要なリスク因子の一つであり、また日本人は欧米人に比べて腎機能が低く、ESKDの罹患率が高いことが知られている。一方、日本国内の肥満の有病率には地域差があり、それがESKD罹患率の差となり透析導入率の差として現れている可能性が考えられる。ただし、これまでそのような視点での研究は行われていない。若杉氏らはこの点について、日本透析医学会のレジストリ、特定健診データ・医療費請求データなどを利用して検討した。なお、透析導入率には性差が存在するため、解析は性別に行った。

エンパグリフロジン、疾患リスク進行のCKDに有用/NEJM

 疾患リスクが進行した幅広い慢性腎臓病の患者において、エンパグリフロジンはプラセボと比較し、リスクの進行や心血管系による死亡の低減に結び付くことが示された。英国・オックスフォード大学のWilliam G. Herrington氏らが、広範囲の疾患進行リスクを有する慢性腎臓病患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「EMPA-KIDNEY試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月4日号掲載の報告。  EMPA-KIDNEY試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)が20mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2未満、またはeGFR 45mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が200(mg/g・CRE)以上の慢性腎臓病患者を対象とした。  研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはエンパグリフロジン(10mg 1日1回)を、もう一方にはプラセボを投与した。  主要アウトカムは、腎臓病の進行(末期腎不全、eGFRが持続的に10mL/分/1.73m2未満、eGFRがベースラインから40%以上持続的に低下、腎臓病による死亡)または心血管系による死亡の複合アウトカムだった。

果物の摂取量が多いほどうつ病リスク低下/国立精神・神経医療研究センター

 日本のコホート研究において、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物(リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、イチゴなど)の摂取が、うつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた結果、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病の発症率が低かったことを、国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らの共同研究グループが発表した。Translational Psychiatry誌2022年9月26日掲載の報告。

ビタミンDで寿命延伸?

 ビタミンD不足のために骨がもろくなることはよく知られているが、そればかりでなく、早期死亡のリスクも高まることが、英国の30万人以上のデータを解析した結果として報告された。南オーストラリア大学(オーストラリア)のJoshua Sutherland氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月25日掲載された。  ビタミンDは、食べ物から栄養素として吸収される以外にも、日光を浴びた時に皮膚で合成されることから“太陽のビタミン”と呼ばれる。ビタミンDの機能性としては古くから骨代謝との関連が知られている。ただし、ビタミンDの受容体は全身のさまざまな臓器や組織に発現していて、骨代謝以外の機能調節にも関わっていることが明らかになってきている。これを背景にSutherland氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UK Biobank」のデータを用いた解析により、ビタミンDの健康維持における重要性を検討した。

地中海食による認知症予防に疑問符

 野菜、果物、魚、全粒穀物、オリーブ油などが豊富な地中海食が、身体的な健康の増進に役立つことは広く知られている。近年ではそれにとどまらず、認知症の予防にも良いと言われるようになった。しかし、後者の認知症予防効果について、疑問を投げかける研究結果が発表された。ルンド大学(スウェーデン)のIsabelle Glans氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に10月12日掲載された。同国の3万人近い一般成人を20年間追跡した観察研究で、有意な関連が見られなかったという。  この結果について、米アルツハイマー協会のHeather Snyder氏は、「食事や栄養と認知症リスクとの関連についての決定的なエビデンスとはいえない。他の研究結果と併せて慎重に考察することが極めて重要」と指摘している。また、「観察研究では何らかの関係性を見つけ出すことは可能だが、その因果関係の証明にはならない。因果関係の立証には介入研究が必要だ。幸いにも現在、食事・栄養介入の影響を評価可能な研究が進行中だ」と述べている。

糖尿病黄斑浮腫への抗VEGF治療が血糖管理改善の糸口に

 糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF薬による治療が、患者の血糖コントロールのモチベーション向上につながる可能性が報告された。福井大学医学部眼科学教室の高村佳弘氏らが行った、国内多施設共同研究の結果であり、詳細は「Journal of Clinical Medicine」に8月9日掲載された。  糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病による目の合併症の一つで、網膜の中でも視力にとって重要な「黄斑」に浮腫(むくみ)が生じ、視力が低下したり、物がゆがんで見えたりする病気。かつては有効な治療法が少なかったが現在は、血管から血液が漏れ出すのを抑えたり、新生血管を退縮させる「抗VEGF薬」が第一選択薬として使われ、視力を回復・維持できることが増えている。

夜食べると太る原因が明らかに

 夜の遅い時間帯に食事を食べると太りやすくなる原因の一端が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のFrank Scheer氏らの研究により明らかになった。食事の時間帯が遅いと、食欲関連ホルモンや深部体温、脂肪貯蓄などに変化が起こることが関係しているという。詳細は「Cell Metabolism」に10月4日掲載された。  深夜に食事をすると肥満になりやすいことはよく知られているが、これまでその理由はよく分かっていなかった。Scheer氏は今回の研究結果を基に、「食事の時間帯を遅くし、それ以外の生活パターンが全て同じままだと、消費エネルギー量が減り、食欲が増進し、体重増加につながる脂肪組織の変化が現れる」と、そのメカニズムを解説。そして、肥満リスクを高めないための対策については、「早い時間帯に食事を取ることだ」と話している。

肥満はCOVID-19に伴う血栓症リスクに影響なし?―国内共同CLOT-COVID研究

 肥満は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化のリスク因子ではあるものの、COVID-19に伴う血栓症リスクへの影響は統計的に有意でないとするデータが報告された。三重大学医学部付属病院循環器内科の荻原義人氏らの研究であり、詳細は「Journal of Cardiology」に8月28日掲載された。  肥満は入院患者に発生する血栓症のリスク因子であることが以前から知られている。またCOVID-19が血液の凝固異常を引き起こし血栓症のリスクを上げることも、既に明らかになっている。ただし、肥満がCOVID-19に伴う血栓症のリスク因子であるか否かは明らかにされていない。荻原氏らはこの点について、COVID-19患者の血栓症や抗凝固療法に関する国内16施設の共同研究「CLOT-COVID研究」のデータを後方視的に解析し検討した。

非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。  そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。今回の改訂で5回目となる。

2型糖尿病のCOPD重症化、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬が有効か/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で2型糖尿病(DM)の患者において、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬は、スルホニル尿素(SU)薬と比べ、COPD増悪による入院リスクを約30~38%低減することが示された。また、GLP-1受容体作動薬は、中等度増悪リスクを37%低減した。一方でDPP-4阻害薬は、COPD増悪リスクの明らかな低減は認められなかったという。カナダ・マギル大学のRicheek Pradhan氏らが、英国国民保健サービス(NHS)データを基に行った住民ベースの3種実薬比較新規使用者デザインコホート試験の結果で、BMJ誌2022年11月1日号で発表した。