糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

セマグルチド、12~18歳でも優れた抗肥満効果/NEJM

 グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドは、成人の肥満治療薬として欧米で承認を得ている。オーストリア・Paracelsus医科大学のDaniel Weghuber氏らは「STEP TEENS試験」において、肥満症の青少年(12~18歳未満)に対する本薬の有用性を検討し、セマグルチド+生活様式への介入は生活様式への介入単独と比較して、68週の時点でBMI値の有意な低下をもたらし5%以上の体重減少の達成割合を有意に増加させたが、消化器系の有害事象の頻度が高かったことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月2日号で報告された。

「糖尿病」の名称変更、医師の6割が反対/医師1,000人アンケート

 これまで、病名とその患者の関係性を考えたことはあるだろうか? 近年、糖尿病患者が社会的にスティグマ(偏見)を持たれていることを受け、日本糖尿病協会のアドボカシー活動の1つとして、医療現場の言葉の見直しが検討されている。そのなかに、『糖尿病』という疾患名も含まれており、将来、疾患名が変更されるかもしれない。そこで、ケアネットは会員医師1,028人に対し、緊急のアンケート調査を実施した。

2型DM新規トリプル作動薬、週1回投与で有望な結果/Lancet

 2型糖尿病治療薬として開発中のLY3437943(グルカゴン、GIP、GLP-1の3つの受容体へのアゴニスト活性を有する単一ペプチド)について、第Ib相試験において安全性プロファイルは許容範囲であることが示され、薬物動態から週1回投与が適していることが示唆されたことを、米国・Eli Lilly and CompanyのShweta Urva氏らが報告した。「この所見は、グルコースと体重の強力な減少の薬力学的所見を示すものであるとともに、第II相試験を支持するものである」とまとめている。高血糖と肥満を有する2型糖尿病患者の治療には、多受容体アゴニストが短期および長期のアウトカムを改善することが示されている。LY3437943は、2型糖尿病および肥満関連の併存疾患の治療薬として開発が進められている。Lancet誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。

医療者も実は…?糖尿病のスティグマを見直す/日糖協の活動

 近い将来、「糖尿病」という病名は使用されなくなるかもしれない。  日本糖尿病協会(以下、日糖協)は、都内開催のセミナーにて、「『糖尿病』という言葉を変える必要がある」と問題意識を明らかにした。現在、日糖協では「糖尿病にまつわる“ことば”を見直すプロジェクト」を推進しており、病名変更もその一環だ。  日糖協理事の山田 祐一郎氏(関西電力病院 副院長)は、「言葉を変える目的は、糖尿病に関するスティグマ(偏見)を減らすことにある。単なる言葉の入れ替えでは意味がない。医療従事者と糖尿病のある方とのコミュニケーションを変えることが重要だ」と述べた。

わずかな体重増加でも変形性膝関節症のリスクが上昇

 体重がある程度増加しただけでも、変形性膝関節症の悪化により手術が必要となるリスクが高まる場合があるとするシステマティックレビューとメタアナリシスの結果が発表された。体重が5kg増加しただけで、人工膝関節置換術(TKR)が必要となるリスクが男女ともに大幅に増大したほか、膝の痛みやこわばりも増加し、全体的な生活の質(QOL)および膝を使う能力の低下が見られたという。モナシュ大学(オーストラリア)公衆衛生・予防医学部のAnita Wluka氏らによるこの研究結果は、国際肥満学会(ICO 2022、10月18〜22日、オーストラリア・メルボルン)で報告された。  変形性膝関節症では、関節でクッションの役割を果たす軟骨が徐々にすり減って骨の先端が互いに擦れ合うようになることで、痛み、腫れ、こわばりが生じる。体重を10%以上落とすことで関節炎が改善することが明らかにされているが、重症化すると膝関節を人工関節に置き換える手術が必要となることがある。

糖毒性glucose toxicityと進行性β細胞機能不全との関係-再考が必要か?-(解説:住谷哲氏)

1型糖尿病患者のβ細胞機能は診断時に完全に廃絶しているわけではなく、診断後次第に低下していくことが知られている。この進行性β細胞機能不全のメカニズムは明らかではないが、自己免疫および糖毒性glucose toxicityの2つが関与していると考えられている。1型糖尿病診断直後からの抗TNF-α抗体ゴリムマブの投与により、β細胞機能不全の進行が抑制されることが報告されている。糖毒性については、高血糖に起因する細胞内酸化ストレスなどを介してβ細胞機能不全が進行するため、診断直後からの厳格な血糖管理がその進行を抑制するために有効である、と考えられてきた。しかしこの考えを支持するエビデンスは実は十分ではない。いくつかの介入試験がこれまでに報告されているが、その結果はcontroversialである。そこで本試験ではHybrid closed loop(HCL)を用いた厳格な血糖コントロールが、診断直後の1型糖尿病患者における進行性β細胞機能不全を抑制するか否かを検討した。

ヨガや瞑想などで血糖コントロール改善の可能性

 ヨガや瞑想などが、2型糖尿病患者の血糖コントロールに役立つ可能性が報告された。その血糖降下作用は、メトホルミンなどのよく使われている血糖降下薬に匹敵するほどだという。米南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校のFatimata Sanogo氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Integrative and Complementary Medicine」に9月7日掲載された。ただしSanogo氏は、「この研究結果は、薬物療法などの糖尿病の標準治療に替えて瞑想をすべきだという意味ではない。現在継続している標準治療に、上乗せして実践してみる価値のあることを示すものだ」と正しい理解を求めている。

世帯所得が低い2型DMの男性は食物繊維が不足気味?

 世帯所得は日本人2型糖尿病(T2DM)患者の男性において、食物繊維摂取量および食事性酸負荷と関連することが報告された。Nutrients誌2022年8月7日号掲載の報告。  世界中で、T2DM患者の人口は増え続けている。教育レベル、職業、生活状況、世帯所得からなる社会経済的地位は、T2DMの有病率に影響を及ぼすことが知られている。京都府立医科大学の高橋 芙由子氏らはT2DM患者における世帯所得と習慣的な食事摂取、とくに食物繊維の摂取と食事性酸負荷との関連について調査した。

健康増進に必要な1日の歩数の考え方

 健康のためには「1日1万歩」歩くと良いとよく言われるが、それよりやや少ない歩数でも、健康の維持・増進につながる可能性が報告された。米ヴァンダービルト大学のHiral Master氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に10月10日掲載された。  報告された新たな研究では、6,000人以上の中高年米国人を最長7年間にわたって追跡。1日の歩数が8,000~9,000歩以上の人は、肥満、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病などの発症が少ないことが明らかになった。なお、歩幅にもよるが、1日8,000~9,000歩は、約4マイル(6.4km)の歩行に相当する。

救急患者の低血糖の原因は副腎不全が意外に多い

 救急部門に収容された患者の低血糖の原因として、血糖降下薬、飲酒に続き、副腎不全が3番目に多いというデータが報告された。新小文字病院内分泌・糖尿病内科の河原哲也氏らの研究結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に8月4日掲載された。同氏は、「副腎不全による低血糖はわれわれが考えているよりもはるかに多い可能性がある。原因不明の低血糖症例では副腎機能を評価すべきと考えられる」と述べている。  低血糖の大半は原因を特定可能なものの、救急患者の低血糖の約1割は原因不明との報告も見られる。一方、低血糖の既知の原因の一つとして副腎不全が挙げられ、適切に治療されない場合、副腎クリーゼなどの重篤な状態につながる可能性がある。ただし、救急患者の低血糖原因としての副腎不全の実態は明らかにされていない。河原氏らは、同院の救急部門で低血糖が認められた患者を対象として、この点の詳細な検討を行った。