消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:144

炎症性腸疾患、遺伝的には3分類が適切/Lancet

 英国・Wellcome Trust Sanger InstituteのIsabelle Cleynen氏らは、クローン病と潰瘍性大腸炎(UC)の遺伝的決定因子に関する大規模な遺伝子型関連研究を行った。その結果、現在、両者を炎症性腸疾患(IBD)に類するものとする定義付けを支持する結果が得られたものの、分類としては3群(回腸クローン病、大腸クローン病、UC)とするほうがより適切であることなどを報告した。現在、クローン病とUCは、IBDの2大疾患とされており、これまで同分類概念を基に治療戦略が確立されてきた。Lancet誌オンライン版2015年10月16日号掲載の報告。

心筋梗塞後の患者にPPIは有益か/BMJ

 心筋梗塞(MI)後で抗血栓薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受ける患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与は、消化管出血リスクの低下と関連することが示された。抗血栓薬、NSAIDs、PPIの種類にかかわらず関連がみられたという。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne-Marie Schjerning Olsen氏らが、同国入院患者データを分析し報告した。著者は今回の結果について、「観察非無作為化試験であり限定的である」としたうえで、MI後でNSAIDs服用を必要とする患者について、PPI投与はベネフィットをもたらす可能性があると述べている。BMJ誌オンライン版2015年10月19日号掲載の報告より。

大腸腺腫の再発予防にビタミンD、カルシウムは有効か/NEJM

 大腸腺腫の切除術後の再発予防に、ビタミンD3およびカルシウムの摂取は有効ではないことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJohn A Baron氏らの検討で示された。疫学データや前臨床データでは、ビタミンDの摂取量や血中濃度が高いほど、またカルシウムの摂取量が多いほど大腸新生物のリスクが低いことが示唆されている。また、これらを併用すると、相乗的な化学予防効果が得られる可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年10月15日号掲載の報告より。

新システム人工膵臓、長期使用の有用性を確認/NEJM

 クローズドループシステムの人工膵臓の、長期使用の有用性が報告された。1型糖尿病患者を対象とした検討で、これまでのセンサー併用型ポンプ療法と比較して血糖コントロールを改善し、低血糖の発生は低く、成人被験者では血糖値の低下に結びついたという。英国・ケンブリッジ大学のHood Thabit氏らが、小児・青年25例と成人33例を対象とした12週間使用について検討を行い報告した。在宅療法としてのクローズドループシステムの人工膵臓の長期使用の可能性、安全性および有効性については、これまで確認されていなかった。NEJM誌オンライン版2015年9月17日号掲載の報告。

REACT試験:クローン病に対する早期複合免疫療法の有用性~集団無作為化試験(解説:上村 直実 氏)-427

クローン病は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国では医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。しかし、抗TNF受容体拮抗薬の出現とともに、本疾患に対する薬物療法が大きく変わりつつある。欧米では、症状や炎症の程度によって、5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬、抗TNF受容体拮抗薬と段階的にステップアップする従来型の薬物療法に対して、代謝拮抗薬と抗TNF-α受容体拮抗薬を早期から使用する早期複合免疫療法の有効性と安全性を比較検証する臨床研究が、盛んに行われている。

H. pylori 除菌治療のリスク・ベネフィット:システマティックレビューとメタ解析(解説:上村 直実 氏)-414

ピロリ除菌に対する世界的な標準レジメンである3剤併用治療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+アモキシシリンAMPC+クラリスロマイシンCAM)の除菌成功率が低下する一方、近年、高い除菌率を示すレジメンが数多く報告されている。今回、最も有効性が高く安全な治療レジメンを探索する目的で、世界中から報告されている除菌治療法について、システマティックレビューとネットワークメタ解析により検討した研究論文が、中国から報告された。