消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:149

ランレオチド 腸膵NETのPFS延長/NEJM

 転移性腸膵神経内分泌腫瘍に対し、ソマトスタチンアナログ製剤のランレオチドは無増悪生存期間を有意に延長したことが、英国のロイヤル・フリー病院Martyn E. Caplin氏らによる国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。ソマトスタチンアナログ製剤は、神経内分泌腫瘍でホルモン過剰分泌関連症状の治療に用いられることが多い(日本では、商品名ソマチュリンが先端巨大症・下垂体性巨人症を適応症として承認されている)。しかし、その抗腫瘍効果のデータは限定的なものであった。神経内分泌腫瘍は稀少な疾患で、米国における年間発生例は10万人に5例の頻度であるという。NEJM誌2014年7月17日号掲載の報告より。

炎症性腸疾患患者における抗TNF-α薬と発がんリスクとの関連(解説:上村 直実 氏)-227

炎症性腸疾患(IBD)に対して、成分栄養を含む食事療法、サラゾピリン・メサラジン、ステロイド、免疫抑制薬、血球成分除去、外科的腸切除術など種々の治療が行われているが、最近では高い有用性が報告されている分子標的薬の抗TNF-α薬が頻用されている。抗TNF-α薬は発がんリスクを増大する可能性を指摘する報告もあったが、今回、デンマークにおけるIBD、ならびに、がん患者の全国レジストリを用いて施行された大規模コホート研究の結果、抗TNF-α薬投与は発がんリスクの増大と関連しないことがJAMAに報告された。

日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。

急性胆嚢炎で術後抗菌薬は必要か/JAMA

 軽症~中等症の急性胆石性胆嚢炎で術前・術中に抗菌薬を投与した患者は、術後の抗菌薬投与がなくても重篤な術後感染症には至らないことが、無作為化試験の結果、示された。フランスのピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学のJean Marc Regimbeau氏らが報告した。急性胆石性胆嚢炎の9割は軽症もしくは中等症である。急性胆石性胆嚢炎について術前・術中の抗菌薬投与が標準化されているが、術後抗菌薬投与の有用性に関するデータはこれまでほとんど示されていなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA

 総胆管結石の中等度リスクを有する胆石症患者の治療では、術前の総胆管精査を行わずに、術中の胆道造影所見に基づいて必要な検査を実施するほうが、入院期間が短く検査数は少なくて済み、周術期合併症や術後QOLの増悪はみられないことが、スイス・ジュネーブ大学病院のPouya Iranmanesh氏らの検討で示された。総胆管結石疑い例には、MR胆道膵管造影(MRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)、術中胆道造影などの検査が行われるが、総胆管結石の多くは自然に十二指腸へと排出されるため、術前の総胆管精査には疑問の声もあるという。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告。

進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

「年齢」は切除不能大腸がんの予後予測因子?

 米国コロラド大学のChristopher H Lieu氏らは、切除不能大腸がんの全生存(OS)や無増悪生存(PFS)において、年齢が予後予測因子となるかどうかを検討した。その結果、切除不能大腸がん患者では、若年齢と高年齢がOSとPFSの低さと関連し、若年者と高齢者が高リスク集団である可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号に掲載。

【JSMO見どころまとめ(3)】国内で開発された大腸がん治療薬

 2014年7月17日(木)から3日間にわたり、福岡国際会議場ほかにて開催される、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会に先立ち、先月6月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、馬場 英司氏(九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座)による講演「消化器がん」を簡潔にまとめる。

大腸がん肝転移切除患者の予後予測バイオマーカー

 大腸がん肝転移の根治的切除により長期的ベネフィットがもたらされる患者の割合は40%以下である。そのため、臨床管理を改善し、無意味な手術を減らすために、予後予測バイオマーカーが必要となる。上皮成長因子受容体(EGFR)およびプロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素2(PTGS2)の発現が、発がんおよび生存期間と関連したことから、オランダ・VU大学医療センターのJ A C M Goos氏ら(the DeCoDe PET group)は、大腸がん肝転移切除後の患者におけるEGFRとPTGS2発現の予後予測的価値を調べた。その結果、これらの発現は、切除可能な大腸がん肝転移患者における予後予測分子バイオマーカーであることが示唆された。British Journal of Cancer誌オンライン版2014年7月1日号に掲載。