消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

デュピルマブ、11歳以下の好酸球性食道炎に有効/NEJM

 小児(1~11歳)の好酸球性食道炎患者において、デュピルマブはプラセボと比較して有意に高率な組織学的寛解をもたらし、デュピルマブの高曝露レジメンがプラセボと比較して、重要な副次エンドポイントの測定値の改善に結びついたことが示された。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学Mirna Chehade氏らが第III相無作為化試験の結果を報告した。デュピルマブはIL-4/IL-13経路を阻害するヒトモノクローナル抗体であり、成人および思春期の好酸球性食道炎を含む、2型炎症で特徴付けられる5つの異なるアトピー性疾患で有効性が示されていた。NEJM誌2024年6月27日号掲載の報告。

cfDNAでHER2陽性の固形がん、T-DXdの奏効率56.5%(HERALD)/JCO

 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、前治療歴があり代替の治療手段のない切除不能または転移を有するHER2陽性(IHC 3+)固形がんについて、米国食品医薬品局(FDA)より2024年4月に迅速承認を取得している1)。本承認は、組織検体をもとにHER2陽性(IHC3+)が認められた患者での有効性が評価されており、リキッドバイオプシー検体でも同様の結果が得られるかは、明らかになっていなかった。そこで、血中遊離DNA(cfDNA)でERBB2(HER2)遺伝子増幅が検出された切除不能固形がん患者を対象に、医師主導治験として、国内多施設共同第II相単群試験「HERALD/EPOC1806試験」が実施された。その結果、対象患者は前治療ライン数中央値3であったが、奏効率(ORR)は56.5%と高率であった。本研究結果は、八木澤 允貴氏(いまいホームケアクリニック)らによって、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年8月1日号で報告された。

NSAIDの“有害な処方”、とくに注意すべき患者群とは/BMJ

 イングランドでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は5つの高リスク集団において、回避可能な害(avoidable harm)と医療費増加の継続的な原因であり、とくに慢性疾患を有する集団や経口抗凝固薬を使用している集団において急性イベント誘発の原因となっていることが、英国・マンチェスター大学のElizabeth M. Camacho氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年7月24日号で報告された。  研究グループは、イングランドの高リスク集団における問題のある経口NSAID処方に関して、発生率、有害性、英国国民保健サービス(NHS)の費用の定量化を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。

排便回数は健康状態に関連

 健康な人において、1日の排便回数(bowel movement frequency;BMF)は、健康に大きな影響を及ぼしていることが、米シアトルにあるシステム生物学研究所のJohannes Johnson-Martinez氏らの研究で明らかになった。BMFにより、腸内細菌叢の属、血中代謝物、および生活習慣因子に違いが認められ、便秘と下痢は、それぞれ腎臓や肝臓の機能に悪影響を及ぼし得る可能性が示唆されたという。この研究の詳細は、「Cell Reports Medicine」に7月16日掲載された。

膵管がんの化学療法抵抗性を逆転させ得る方法とは?

 膵臓がんは特に攻撃的で治療が難しいが、その理由の1つは化学療法に抵抗性を示すことが多いからである。しかし、米スタンフォード大学材料工学分野のSarah Heilshorn氏らが、膵臓がんで化学療法抵抗性が生じる理由と、それを逆転させ得る方法に関する研究結果を、「Nature Materials」に7月4日報告した。この研究によると、がん細胞周囲の組織の物理的な硬さが、化学療法の効果を低下させているのだという。Heilshorn氏は、「膵臓がんの大きな臨床的課題は化学療法抵抗性であるが、本研究結果は、それを克服するための今後の薬剤開発の新しい方向性を示唆するものだ」と述べている。

中等~重症の潰瘍性大腸炎、リサンキズマブの導入・維持療法が有効/JAMA

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者において、IL-23p19阻害薬リサンキズマブは寛解導入療法および維持療法として、プラセボと比較し臨床的寛解率を改善することが示された。ベルギー・リエージュ大学病院のEdouard Louis氏らINSPIRE and COMMAND Study Groupが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「INSPIRE試験」および「COMMAND試験」の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。  導入療法試験「INSPIRE試験」は、2020年11月5日~2022年8月4日(最終追跡日2023年5月16日)に41ヵ国261施設で実施された。

ニボルマブ承認から10年、がん治療はどう変わったか/小野・BMS

 本邦初の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ニボルマブ。2014年7月4日に製造販売承認を取得してから、早くも10年が経過した。ICIによるがん免疫療法は、どれだけ社会に認知されているのだろうか。また、ICIはがん治療においてどのようなインパクトを与えたのだろうか。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、これらの疑問に答えるべく「免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法のいまとこれから」と題し、2024年7月24日にメディアセミナーを実施した。  小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、がん免疫療法に対する医師・患者さんの現状評価を把握することを目的として、がん治療に関わる医師100人とがん患者さん900人を対象にアンケート調査を実施した。本調査の結果について、高井 信治氏(小野薬品工業 メディカルアフェアーズ統括部長)が紹介した。

顔の表面温度、脂肪肝や生活習慣病のスクリーニングに有用か

 体温とは、細胞機能と生物の生存に影響を与える、つまり健康状態を知るための重要なパラメータであり、老化と寿命にとっても重要な要素である。そこで今回、中国・北京大学のZhengqing Yu氏らは顔の皮膚温を捉えた熱画像(以下、サーマル画像)を用い、老化と代謝疾患の定量的特徴を明らかにすることで、サーマル画像が老化と代謝状態の迅速スクリーニングに有用な可能性を示唆した。Cell Metabolism誌2024年7月2日号掲載の報告。  研究者らは、2020~22年の期間に21〜88歳の成人2,811人(女性:1,339人、男性:1,472人)の顔のサーマル画像を収集し、赤外線サーモグラフィによる顔のメッシュ認識および領域分割アルゴリズムを用いたThermoFaceを開発、自動処理・分析にて生物学的年齢を測定するなどして、サーマル顔画像年齢による疾患予測モデルを生成し、AgeDiff(予測年齢と実年齢の差)と代謝パラメータや睡眠時間との関連を検証した。

最適な食物繊維は人それぞれ

 これまで長い間、食物繊維の摂取量を増やすべきとするアドバイスがなされてきているが、食物繊維摂取による健康上のメリットは人それぞれ異なることが報告された。単に多く摂取しても、あまり恩恵を受けられない人もいるという。米コーネル大学のAngela Poole氏らの研究によるもので、詳細は「Gut Microbes」に6月24日掲載された。  食物繊維は消化・吸収されないため、かつては食品中の不要な成分と位置付けられていた。しかし、整腸作用があること、および腸内細菌による発酵・利用の過程で、健康の維持・増進につながる有用菌(善玉菌)や短鎖脂肪酸の増加につながることなどが明らかになり、現在では「第六の栄養素」と呼ばれることもある。また糖尿病との関連では、食物繊維が糖質の吸収速度を抑え、食後の急激な血糖上昇を抑制するように働くと考えられている。そのほかにも、満腹感の維持に役立つことや、血圧・血清脂質に対する有益な作用があることも知られている。

GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬、MASLD併発2型糖尿病のCVイベントを抑制

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)とSGLT2阻害薬(SGLT2i)は、DPP-4阻害薬(DPP-4i)に比べて、MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)併発2型糖尿病患者の心血管(CV)イベントや肝臓イベントのリスクを低下させる可能性を示唆するデータが報告された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のAlexander Kutz氏らが、米国内分泌学会(ENDO2024、6月1~4日、ボストン)で発表した。  Kutz氏らは、2013~2020年のメディケアデータベース、および、2013~2022年の米国内の大規模健康保険データベースを利用して、GLP-1RA、SGLT2i、DPP-4iにより治療が開始されていたMASLD併発2型糖尿病患者のCVイベント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、心不全入院)、および肝臓イベントなどの発生リスクを調査した。