消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:169

前立腺がんに対する術後放射線療法の長期結果:EORTC trial 22911/Lancet

 前立腺がんに対する根治的前立腺全摘術後の放射線療法により、10年後の生化学的無増悪生存が経過観察よりも改善したが、有害事象の発現率が高く、70歳以上では死亡率が有意に上昇したことが、フランス・A Michallon大学病院のMichel Bolla氏らが実施したEORTC trial 22911の長期追跡の結果から明らかとなった。前立腺がんは前立腺被膜を超えて進展したり、精嚢浸潤がみられる場合(pT3)は局所再発リスクが10~50%と報告されている。本試験の5年の追跡結果では、術後放射線療法により生化学的および臨床的な無増悪生存がいずれも有意に改善することが示されている。Lancet誌2012年12月8日号(オンライン版2012年10月19日号)掲載の報告。

ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎、シクロスポリンかインフリキシマブか/Lancet

 ステロイド抵抗性の急性重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の治療について、シクロスポリンとインフリキシマブの有効性と安全性を比較したオープンラベル無作為化対照試験が、フランス・Haut-Leveque病院のDavid Laharie氏らにより行われた。両薬剤は、ステロイド静注療法が効かない急性重症UCに対して、大腸切除の回避を可能とする救急治療法である。しかし、どちらが有効または安全であるのか無作為化試験は行われておらず、ガイドラインにもステータスは明記されていなかった。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年10月10日号)の掲載報告。

大腸がん閉塞に対する内視鏡的ステント留置術は外科的減圧術と死亡率の差はない

急性大腸がん閉塞には、従来、外科的減圧術が実施されているが、近年、閉塞の緩和に内視鏡的大腸ステント留置術が使用されている。これらを比較するためにメタアナリシスにより解析したところ、内視鏡的大腸ステント留置術はいくつかの治療成績(1次吻合、ストーマ形成、永久的ストーマ造設など)を改善する一方、死亡率と罹患率の改善は認められなかった。イタリアVincenzo Cennamo氏らによる報告(International journal of colorectal disease誌オンライン版2012年11月15日号掲載)。

シスプラチンベースレジメンにおける静脈血栓塞栓症のリスクを検討

シスプラチンと血栓塞栓症リスク増加の関連を示唆する報告がいくつかあるが、シスプラチンベースの化学療法による静脈血栓塞栓症(VTEs)のリスクについての研究は十分ではない。米国のSonia Seng氏らは、無作為化比較試験の系統的レビューとメタアナリシスを行い、シスプラチンベースの化学療法が非シスプラチンベースの化学療法と比べて、進行固形がん患者の有意なVTEsリスクの増加と関連していることを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年11月13日号に掲載。

化学療法への誤解、医師とのコミュニケーションが良い人が悪い人の約2倍

 転移性肺がん・大腸がん患者の大半は、化学療法によってがんが治癒すると誤解していることが明らかになった。また誤解をしている人の割合は、医師・患者間のコミュニケーションが良いと感じている患者の方が高かった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJane C. Weeks氏らが、約1,200人の転移がん患者を対象に行った調査で明らかにしたもので、NEJM誌2012年10月24日号で発表した。転移性の肺がんや大腸がんに対する化学療法は、数週間から数ヵ月の延命効果は期待でき症状が緩和される可能性はあるが、治癒は得られない。

大腸がん患者のアスピリン常用、PIK3CA変異型と野生型では効果が異なる

 大腸がん診断後のアスピリンの常用は、臨床転帰を改善することが示されていたが、その効果は、PIK3CA(ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸 3-キナーゼ触媒サブユニット α ポリペプチド遺伝子)変異型の有無で異なることが明らかにされた。米国・ハーバードメディカルスクールのXiaoyun Liao氏らによる報告で、アスピリン作用メカニズムの実験的エビデンスから、PIK3CA変異型とPIK3CA野生型の大腸がんでアスピリンの効果は異なるのではないかと仮説を立て検証した結果、両者の生存改善が異なることが示された。NEJM誌2012年10月25日号掲載より。

肥満者の2型糖尿病発症予防には肥満外科手術が有効

 2型糖尿病の発症予防について、肥満者においては肥満外科手術が通常ケアと比べて顕著に有効とみなされることが、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLena M.S. Carlsson氏らが「Swedish Obese Subjects(SOS)study」の長期追跡データを解析し報告した。減量は2型糖尿病に対し防御的に作用するが、行動変容だけで減量を維持し続けることは難しい。肥満外科手術は、2型糖尿病発症リスクが最も高い重度肥満者において、減量を維持可能な現在唯一の治療法で、多くの試験で糖尿病を軽減することが報告されている。しかし長期追跡と対照群を必要ため、予防効果について報告した試験はほとんどなかったという。NEJM誌2012年8月23日号掲載報告より。