消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

ペミガチニブ、FGFR2変異胆道がんに期待/インサイト

 インサイト・バイオサイエンンシズ・ジャパンは2021年7月15日、「胆道がんにおけるがんゲノム診断に基づく分子標的治療薬がもたらす新しい未来」と題したWebメディアセミナーを開催。日本胆道学会理事長の東北大学大学院 消化器外科学分野教授 海野倫明氏らが、胆道がん治療と本年発売されたFGFR2阻害薬ペミガチニブ(製品名:ペマジール)について紹介した。  胆道がんには3つの病型があるが、いずれも予後不良である。なかでも肝内胆管がんは、黄疸などの症状が現れにくく、初回診断時すでに進行した病期であることが多い。そのため、生存期間中央値13.5ヵ月と3病態のなかで、もっとも予後不良である。肝内胆管がんの罹患数は(肝臓がんの一部として集計される)、肝臓がんの6%とされる。

化学療法・ニボルマブ(オプジーボ)併用が胃がんと食道がんに対する標準治療となるか(解説:上村直実氏)

今年5月のコメント1382で抗PD-L1阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が進行食道がんに対する1次治療に使用される可能性を記述したが、今回、HER2陰性の進行胃がんと食道胃接合部がんに対する1次治療の有用性がLancet誌にて報告された。日本を含む国際共同CheckMate試験の結果、1次治療として化学療法単独群と比較してオプジーボ・化学療法併用群が生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示されている。通常、外科的切除不能な胃がんや食道腺がんに対する化学療法において抗PD-L1阻害薬は複数の化学療法が無効であった場合の3次治療として使用されている。すなわち、国内においてオプジーボは9つのがん種で承認されているが、胃がんや食道がんなどに対する適応は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行がん」に限定されているのが現状である。

トランスグルタミナーゼ2阻害薬、セリアック病の十二指腸粘膜傷害を改善/NEJM

 中等量(3g)のグルテンを毎日摂取しているセリアック病患者において、経口トランスグルタミナーゼ2阻害薬ZED1227はプラセボと比較して、グルテンによる十二指腸粘膜の傷害を抑制し、有害事象の頻度や重症度は同程度であることが、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのDetlef Schuppan氏らが実施したCEC-3試験で示された。研究の成果はNEJM誌2021年7月1日号で報告された。  研究グループは、セリアック病の治療における選択的トランスグルタミナーゼ2阻害薬ZED1227の概念実証試験として、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相用量探索試験を行った(ドイツ・Dr. Falk Pharmaの助成による)。本試験は、2018年5月~2020年2月の期間に、欧州7ヵ国の20施設で行われた。

JAK阻害薬フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効(解説:上村直実氏)

潰瘍性大腸炎(UC)は特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると18万人以上の患者が存在している。UCに対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも生物学的製剤については、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など、異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、それぞれの臨床試験結果が報告されている。なお、本邦のIBD診療ガイドライン2020において、血球成分除去療法や生物学的製剤の適応はステロイド依存例で免疫調節薬も効果のない患者やステロイド抵抗性の患者に限定されている。さらにJAK阻害薬と免疫調節薬チオプリン製剤との併用が原則禁忌となっている。

抗精神病薬で治療された統合失調症患者における非アルコール性脂肪性肝疾患リスク

 統合失調症患者のメタボリックシンドローム有病率は、一般集団よりも高いことはよく知られているが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率については、あまり知られていない。下総精神医療センターの是木 明宏氏らは、抗精神病薬で治療された統合失調症患者におけるNAFLDリスクについて、調査を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年6月4日号の報告。  腹部エコー検査を実施した統合失調症および統合失調感情障害患者253例の医療記録を分析した。

ラロトレクチニブがNTRK陽性固形がん治療薬として発売/バイエル

 バイエル薬品は、2021年7月7日、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの治療薬として、ラロトレクチニブ(製品名:ヴァイトラックビ)を発売したと発表。  ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子融合陽性の進行・再発の固形がん治療に特化したトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬として開発された。同剤は、NTRK遺伝子融合を有する成人および小児固形がん患者に対する高い奏効割合と持続的な奏効、NTRK遺伝子融合を有する中枢神経系原発腫瘍に対する高い病勢コントロール率を示している。

ふるさと納税、最も高額な寄付金と返礼品は?/医師1,000人に聞きました

 2008年から始まった「ふるさと納税」。言葉としては定着しているようだが、実際に医師の間にはどの程度浸透しているのだろうか。今回、医師の1回あたりの最高寄付金額や申込みの多い返礼品についてアンケート調査を行った。その結果、利用率は83%、人気の返礼品は肉類であることが明らかになった。また、1回の寄付金額が100万円以上と回答したのは14人(利用者の1.7%)だった。一方、ふるさと納税を利用していない17%における大半の理由は“面倒くさい”だったが、「地元の税収を減らしたくない」「趣旨に賛同できない」などの意見も挙げられた。

無症状直腸クラミジア、ドキシサイクリン vs.アジスロマイシン/NEJM

 男性間性交渉者における無症状の直腸クラミジア感染症の治療では、ドキシサイクリンの7日間投与はアジスロマイシンの単回投与と比較して、微生物学的治癒の達成割合が高く、有害事象の発現頻度は低いことが、オーストラリア・メルボルン大学のAndrew Lau氏らの検討で示された。研究の成果はNEJM誌2021年6月24日号で報告された。  本研究は、オーストラリア3州の5つのsexual healthクリニックが参加した二重盲検無作為化対照比較試験であり、2016年8月~2019年8月の期間に実施された(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成による)。

KRASG12C変異がんのKRAS阻害薬への耐性機序が明らかに/NEJM

 KRAS阻害薬adagrasibおよびsotorasibの臨床試験では、KRASの12番目のコドンにグリシンからシステインへのアミノ酸置換(KRASG12C)が発現しているがんに対する有望な抗腫瘍活性が確認されている。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏らは、これらのKRAS阻害薬に対する耐性獲得の機序について検討し、多様なゲノム機序および組織学的機序によって耐性がもたらされており、この薬剤耐性の発現の遅延や克服には、新たな治療戦略を要することを示した。NEJM誌2021年6月24日号掲載の報告。

臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。