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2024/07/10
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総合診療科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

ワクチン接種後の液性免疫の経時的低下 - 3回目booster接種必要性の基礎的エビデンス (解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

Levin氏らはイスラエルにおいてBNT162b2を2回接種した一般成人におけるS蛋白IgG抗体価、野生株に対する中和抗体価の時間推移を6ヵ月にわたり観察した(Levin EG, et al. N Engl J Med. 2021 Oct 6. [Epub ahead of print] )。その結果、S蛋白IgG抗体価はワクチン2回接種後30日以内に最大値に達し、それ以降、IgG値はほぼ一定速度で低下し、6ヵ月後には最大値の1/18.3まで減少することが示された。野生株に対する中和抗体価の低下はS蛋白IgGと質的に異なり、中和抗体価は、2回接種後3ヵ月間は一定速度で低下、それ以降は、低下速度が緩徐となりほぼ横ばいで推移、6ヵ月後には最大値の1/3.9まで低下した。高齢、男性、併存症(高血圧、糖尿病、脂質異常症、心/腎臓/肝疾患)が2つ以上存在する場合にはS蛋白IgG抗体価ならびに中和抗体価の時間経過に伴う低下はさらに増強された。Levin氏らが示したのと同様の知見はShrotri氏らによっても報告された(Shrotri M, et al. Lancet. 2021;398:385-387. )。Shrotri氏らによると、BNT162b2の2回接種後70日(2.3ヵ月)以上経過した時点でのS蛋白IgG抗体価は最大値の1/2まで低下していた。Shrotri氏らは、AstraZenecaのChAdOx1接種後のS蛋白IgG抗体価の時間推移についても検証し、ChAdOx1の2回接種後のS蛋白IgG抗体価の最大値はBNT162b2接種後に比べ1/10と低く、かつ、ワクチン接種後70日以上経過した時点でのS蛋白IgG抗体価は自らの最大値の1/5まで低下することを示した。

熱傷診療ガイドライン改訂第3版が発刊

 前回の改訂より5年が経過したことを機に『熱傷診療ガイドライン 改訂第3版』が7月に発刊された。今回の改訂目的は、本邦における熱傷入院診療の標準治療を示すことで、本書で扱う熱傷は、「十分な診療リソースを利用できる環境にある本邦のような高所得国における」「概ね受傷後4週間以内」「入院治療が必要な程度にある重症度」。また、今回の改訂では、改訂第2版公開以降の新知見を十分な時間をかけ検討し、これまでの版で盛り込むことができなかった電撃傷・化学損傷などの特殊熱傷、鎮痛・鎮静、輸血、深部静脈血栓症対策のみならず、リハビリテーション、リエゾン・終末期・家族対応などを取り上げ、診療指針が示されている。

やせ過ぎは尿路感染症の死亡の危険因子に/国立国際医療研究センター

 尿路感染症のために入院している患者は年間約10万人と推定され、高齢になるほど患者は増え、90歳以上では1年間で100人に1人が入院し、その入院医療費は年間660億円にのぼると見積もられている。その実態はどのようなものであろう。  国立国際医療研究センターの酒匂 赤人氏(国府台病院総合内科)らは、東京大学などとの共同研究により、尿路感染症で入院した23万人の大規模入院データをもとに、尿路感染症による入院の発生率、患者の特徴、死亡率などを明らかにすることを目的に調査を行い、今回その結果を発表した。

抗うつ薬はいつまで続ければよいのか?(解説:岡村毅氏)

抗うつ薬をいつまで内服すればよいのかという質問をよく受ける。世間的には「ずっと内服させるなんて論外だ、精神科医よ、さっさと減量・中止させよ」という声が大きいと思う。ところが現実はそう単純ではない。それを説明しよう。うつ病エピソードで、恐る恐る、あるいは半信半疑で精神科の外来を初診した患者さんがいるとする。『うつ病ですよ、薬物治療をしたほうがいいですよ』と言うと、最初は「薬は嫌だなあ」とか「どうしても飲んだほうがいいですか?」という姿勢の方も多い。治療が順調に進むと、会社に復帰し、さまざまな症状が良くなって、本人も自信を取り戻す。また医師ともなじみの関係になってきて、外来で冗談の1つも言うようになる。月日がたち、医師の側が『ではそろそろ減量して中止しましょう』と言うと、「それはよかった」と喜ぶ人と、「でも再発は嫌だなあ、あんな体験は絶対に嫌だ、ずっと薬飲んじゃだめですか」という人がいる。

プラリマリケアでの抗うつ薬治療、再発リスクの評価/NEJM

 抗うつ薬治療を中止できるほど良好な状態であったプライマリケアのうつ病患者において、投薬を中止した患者は継続した患者と比べて、52週までのうつ病再発リスクが高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)Faculty of Brain SciencesのGemma Lewis氏らが両者を比較する無作為化二重盲検試験の結果を報告した。プライマリケアで治療を受けるうつ病患者は、長期間抗うつ薬の投与を受ける可能性があるとされるが、投与を継続または中止した場合の影響に関するデータは限定的であった。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。  研究グループは、英国にある150の一般診療所(GP)で治療を受ける成人患者を対象に試験を行った。全患者が2つ以上のうつエピソード歴があるか、抗うつ薬治療を2年以上受けており、治療中止を考慮可能なほど良好な状態であった。  被験者(citalopram、fluoxetine、セルトラリン、ミルタザピンのいずれかを服用)は1対1の割合で無作為に、現行の抗うつ薬治療を継続する群(継続群)またはマッチさせたプラセボを用いて漸減・中止する群(中止群)に割り付けられた。

医療クラウドファンディング、コロナ対応スタッフの苦境を救え

 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、クラウドファンディングを利用して医療材料などの資金調達を行う医療施設や大学が増加している。先月3日にREADYFOR主催の記者会見を行った医療法人社団 悠翔会もその1つだが、なぜこのような支援方法を選択したのだろうか。同施設は首都圏や沖縄に拠点を設け在宅診療にあたっている。新型コロナ患者対応においては、かかりつけ医を持たず、なおかつ自宅療養を余儀なくされる患者を保健所紹介のもとで積極的に対応しているが、その責任者である佐々木 淳氏(悠翔会理事長・診療部長)が語る、在宅におけるコロナ対応の現状や自施設スタッフのリスク管理とはー。

ファイザー製ワクチン、60歳以上で3回目接種の効果は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)について、2回接種を5ヵ月以上前に完了した60歳以上の高齢者に対する3回目ブースター接種は、COVID-19感染および重症化リスクが大幅に低下することを、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らが報告した。イスラエルでは2021年7月30日に、5ヵ月以上前にBNT162b2の2回接種を完了した60歳以上の高齢者への、3回目接種が承認されている。研究グループは、追加免疫のデータを収集するため3回目ブースター接種を行った同国約114万例の高齢者を対象に試験を行った。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

新型コロナの唾液PCR検査、無症候者へは推奨できない?/JAMA

 鼻咽頭スワブによるリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR法)は新型コロナウイルス検出のための標準検査として行われているが、唾液を用いたPCR法は鼻咽頭によるPCR法より簡便であることから診断・スクリーニングにおいて魅力的な代替手段である。現に日本国内においても帰省や出張の前に検査を希望する人らが市販の唾液PCR検査キットに依存する傾向にある。しかし、米国・Children’s Hospital Los AngelesのZion Congrave-Wilson氏らが調査した結果によると、唾液を用いたPCR法(以下、唾液PCR法)は、感染初期の数週間に有症状の人の新型コロナウイルスを検出するには感度が高かったものの、無症候性の新型コロナウイルスキャリアの感度はすべての時点で60%未満だった。このことから、同氏らは無症候性感染者の唾液の感度低下を踏まえ、無症候感染者には唾液PCR法を新型コロナのスクリーニングに使用すべきではないと示唆している。JAMA誌オンライン版2021年8月13日号のリサーチレターでの報告。

ブレークスルー感染も、ワクチンが変異株の重症化を抑制か/CDC

 新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は感染性が高く、このほど米国でワクチン接種完了者によるブレークスルー感染が報告された。しかし、この報告からワクチンの効果がないと言えるのだろうかー。  CDC COVID-19 Response TeamのCatherine M. Brown氏らによると、マサチューセッツ州バーンスタブル群で発生した大規模クラスターの74%はファイザー製ワクチン接種完了者であったことが明らかになった。ただし、入院患者の割合は1.2%と、ワクチンが普及する前の既存株による重症化率と比較すると少ない傾向であることも示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月6日号での報告。

モデルナ製ワクチン後の急性期副反応に備えた、予診票の確認ポイント/自衛隊中央病院

 自衛隊東京大規模接種センターにおける「COVID-19 ワクチンモデルナ筋注」接種者約20万人のデータについて、急性期副反応の詳細を速報としてまとめたデータを自衛隊中央病院がホームページ上で公開した。本解析では急性期副反応を「同センター内で接種後経過観察中(最大30分間)に、何らかの身体的異常を自覚し、同センター内救護所を受診したもの」と定義し、得られた経験・知見を可能な限り医療従事者と共有することで、今後のCOVID-19ワクチン接種の対応向上に資することが目的としている。 <解析の対象と方法> ・2021年5月24日~6月15日に行われたワクチン接種者20万8,154人を対象(すべて1回目接種)。 ・ワクチン接種者の基礎的臨床情報は、厚生労働省より配布される「新型コロナワクチン 予診票」を用いて収集・解析。 ・急性期副反応発症者については全件調査を行い、非発症者についてはランダムサンプリングによる調査を行った。非発症者の母集団平均値の95%信頼区間の許容誤差が2%以下になるよう、サンプルサイズを設定した(n=3,000)。 ・急性期副反応に関する詳細は、当センター救護所で使用した医療記録を用いて収集・解析を行った。アナフィラキシーの診断は、ブライトン分類に基づき2名の医師(内科医および救急医)により判定した。