産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:67

閉経後ホルモン補充療法の血管への影響、開始時期で異なる?/NEJM

 閉経後早期(6年以内)に開始した経口エストラジオール療法は、頸動脈内膜中膜肥厚(CIMT)で評価される無症候性アテローム性動脈硬化の進行抑制と関連していることが明らかにされた。ただし、閉経後早期あるいは閉経後10年以上経過して開始した場合のいずれにおいても、心臓CTで評価されるアテローム性動脈硬化に有意な影響は認められなかった。米国・南カリフォルニア大学のHoward N. Hodis氏らが、健康な閉経後女性を対象としたELITE(Early versus Late Intervention Trial with Estradiol)試験の結果、報告した。これまで多くの研究で、閉経後まもなく開始したエストロゲンを含むホルモン療法の心血管疾患に対するベネフィットが示唆されている。しかし、閉経後ホルモン療法の心血管系への影響は治療開始時期で異なるという仮説(タイミング仮説)について、これまで検証されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年3月31日号掲載の報告。

妊娠中のカフェイン摂りすぎが子供の体脂肪を増やす?

 妊娠中のカフェイン摂取と低体重児出産との関連性は以前から指摘されており、出生時の低体重は、後の体脂肪分布とインスリン抵抗性に悪影響を与えることが示唆されている。これを踏まえ、オランダ・エラスムス医療センターのEllis Voerman氏らは、母親の妊娠中のカフェイン摂取と、その子供の初期生育、就学年齢時の体脂肪分布との関連性を調査した。その結果、妊娠中のカフェイン多量摂取は、子供の成長パターンや後の体脂肪分布へ悪影響を及ぼす可能性が示唆されたという。Obesity (Silver Spring)誌オンライン版2016年3月26日号掲載の報告。

妊娠高血圧症候群は、周産期を過ぎても心筋症の発症リスクである(解説:神谷 千津子 氏)-510

周産期(産褥性)心筋症は、「心疾患既往のない女性が、妊娠中から産後5ないし6ヵ月以内に、原因不明の心機能低下と心不全を発症する」と定義される、2次性心筋症の1つである。周産期心筋症患者の4割が、妊娠高血圧症候群を発症した後に心筋症を診断されているため、妊娠高血圧症候群は周産期心筋症の最大危険因子といえる。しかしながら、妊娠高血圧症候群が、周産期を過ぎた後にも心筋症の危険因子となりうるかについては、これまでまったく知られていなかった。今回Behrens氏らは、デンマークの全国コホート研究から、妊娠高血圧症候群が周産期を過ぎても心筋症の発症リスクであると、JAMA誌2016年3月8日号に初めて報告した。

肥満妊婦と新生児の過体重、因果関係が明らかに?/JAMA

 遺伝的にBMIや血糖値が高い母親の子供は出生時体重が重く、これらの関連には因果関係がある可能性が、英国・エクセター大学医療センターのJessica Tyrrell氏らEarly Growth Genetics(EGG)Consortiumの検討で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2016年3月15日号に掲載された。過体重で出生した新生児や肥満女性は出産時の合併症のリスクが高いとされる。観察研究では、母親の肥満関連の遺伝形質が出生時体重と関連することが報告されているが、その因果関係はよく知られていないという。

妊娠高血圧の心筋症リスク、周産期以降も長期に及ぶ/JAMA

 妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorder of pregnancy:HDP)を合併した妊婦は、合併しなかった妊婦と比べ、出産後5ヵ月以降に心筋症を発症するリスクが、わずかであるが統計学的に有意に高いことが示された。デンマーク・Statens Serum Institut社のIda Behrens氏らによる、デンマークの全国レジストリを用いたコホート研究の結果、明らかになった。これまでにHDP、とくに妊娠高血圧腎症の妊婦では、出産前1ヵ月~出産後5ヵ月以内の周産期心筋症のリスクが増加することが報告されていたが、HDPが出産後5ヵ月以降の心筋症とも関連するかどうかについては不明であった。JAMA誌オンライン版2016年3月8日号掲載の報告。

35歳以上の妊婦に分娩誘発は有害か/NEJM

 高年齢妊婦では帝王切開の頻度が高いが、35歳以上の初産妊婦に対し妊娠39週での分娩誘発は、待機的管理と比べて、帝王切開率へ有意な影響をもたらすことはなく、また母体および新生児への短期的有害作用も及ぼさないことが明らかにされた。英国・ノッティンガム大学のKate F. Walker氏らが無作為化試験の結果、報告した。35歳以上の妊婦では、より若い妊婦の場合と比べて正期産における死産リスクが高い。一方で、分娩誘発によりそのリスクは低下可能だが、帝王切開リスクが上昇する可能性が示唆されていた。NEJM誌2016年3月3日号掲載の報告。

妊婦の体重増加に関する国際基準が完成/BMJ

 英国・オックスフォード大学のLeila Cheikh Ismail氏らは、INTERGROWTH-21stプロジェクト「胎児発育追跡研究(Fetal Growth Longitudinal Study:FGLS)」のデータを用い、妊娠中の体重増加量について国際基準を作成した。現在利用されている妊娠中の体重増加のガイドラインやチャートは、特定の国の研究から得られたもので、研究方法などに違いがあるため適正な体重増加量にも差があり、コンセンサスが得られていなかった。BMJ誌オンライン版2016年2月29日号掲載の報告。

卵巣がんへの週1回パクリタキセル、生存期間を延長するか/NEJM

 進行卵巣がんに対するパクリタキセル+カルボプラチン併用療法では、投与間隔を1週ごとに短縮した投与法(dose-dense療法)を行っても、通常の3週ごとの投与法に比べ予後は改善しないことが、米国・Sutterがん研究所のJohn K Chan氏らが行ったGOG-0262試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年2月25日号に掲載された。投与の間隔を狭めて頻度を高めたdose-dense療法は、血管新生を阻害し、アポトーシスを促進するため、薬剤の抗腫瘍効果を増強する可能性があるという。パクリタキセルの毎週投与法は乳がん患者の生存期間を延長することが示され、卵巣がんでは日本の研究(JGOG 3016試験)でdose-dense療法の有望な結果が報告されている。