血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

未治療Ph陽性ALLへのダサチニブ+ブリナツモマブ、第II相試験結果/NEJM

 フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)成人患者の1次治療において、分子標的・免疫療法戦略に基づくダサチニブ+ブリナツモマブによる、化学療法薬を用いない寛解導入・地固め療法は、分子遺伝学的奏効の達成割合および生存率が良好で、Grade3以上の毒性は少ないことが、イタリア・Sapienza University of RomeのRobin Foa氏らGIMEMA共同研究グループが実施した「GIMEMA LAL2116 D-ALBA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年10月22日号に掲載された。Ph陽性ALL患者の予後は、ABL特異的チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場によって著明に改善し、全身化学療法併用の有無を問わず、ほとんどの患者で血液学的完全奏効が得られている。ダサチニブは複数のチロシンキナーゼを標的とするTKIであり、ブリナツモマブはB細胞のCD19とT細胞のCD3に二重特異性を有する遺伝子組み換えモノクローナル抗体である。

FLT3-ITD変異陽性AML、同種移植後のソラフェニブ維持療法が有用/Lancet Oncol

 FLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者における、同種造血幹細胞移植後のソラフェニブ維持療法について中国で行われた第III相試験の結果が示された。これまでに、移植後ソラフェニブ維持療法が再発を減少することは、後ろ向き研究で示されている。今回、中国・南方医科大学のLi Xuan氏らは、中国国内7施設にて無作為化非盲検試験を行い、移植後のソラフェニブ維持療法は再発を減少させ、忍容性は良好であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この戦略は、FLT3-ITD変異陽性AML患者の適切な治療選択肢となりうるだろう」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。

日本のAMLの遺伝子プロファイリング/日本血液学会

 包括的遺伝子解析プロファイル検査FoundationOne Heme(F1H)を用い、急性骨髄性白血病(AML)における癌関連ゲノム変化の頻度と特徴の評価を目的とした多施設共同研究HM-SCREEN-Japan 01研究の中間解析の結果が、国立がん研究センター東病院の宮本 憲一氏により発表された。  解析対象は標準治療不適の新規診断AML35例、再発/難治AML患者56例、主要評価項目はF1Hを用いたAMLの遺伝子異常の頻度である。

非G-CSF小分子plinabulinの好中球減少症予防効果/JAMA Oncol

 抗がん作用と好中球減少症予防作用を併せ持つ新しい非顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)小分子plinabulinについて、第II相試験の結果が明らかにされた。米国・スタンフォードがん研究所のDouglas W. Blayney氏らが、ドセタキセルの好中球減少症の予防効果を、非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に行った無作為化非盲検試験で、plinabulinはペグフィルグラスチムと同等の好中球減少症予防効果が得られたという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年9月24日号掲載の報告。  試験は、米国、中国、ロシアおよびウクライナのがん治療センター19施設で行われた。試験期間は2017年4月~2018年3月で、2019年8月~2020年2月に解析を行った。

腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。

FDA、急性骨髄性白血病の寛解導入にベネトクラクスの併用療法を承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年10月16日、75歳以上または併存疾患で強力な寛解導入療法が適用できない成人の急性骨髄性白血病(AML)に対して、ベネトクラクスとアザシチジン、desitabineまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用を正式に承認した 。  ベネトクラクスとこれらの併用に関する有効性は2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験で確認されている。1つはベネトクラクス+アザシチジン群(n=286)とプラセボ+アザシチジン群(n=145)を無作為に比較したVIALE-A試験である。この試験では、ベネトクラクス+アザシチジン群のOS中央値14.7ヵ月に対し、プラセボ+アザシチジン群では9.6ヵ月(HR:0.66、 95%CI:0.52~0.85、p<0.001)と、ベネトクラクス+アザシチジン群の有意な有効性が確認された。

CAR-T細胞製剤liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫でCR53%/Lancet

 CD19を標的とする自家キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T細胞)製剤lisocabtagene maraleucel(liso-cel)は、さまざまな組織学的サブタイプや高リスクの病型を含む再発・難治性の大細胞型B細胞性リンパ腫患者の治療において、高い客観的奏効率をもたらし、重度のサイトカイン放出症候群や神経学的イベントの発生率は低いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJeremy S. Abramson氏らが行った「TRANSCEND NHL 001試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年9月19日号に掲載された。liso-celは、さまざまなサブタイプの再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫で高い奏効率と持続的な寛解が報告されているが、高齢者や併存疾患を持つ患者、中枢神経リンパ腫などの高リスク集団のデータは十分でないという。

ニボルマブ480mg4週ごと投与、国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業と ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ヒト型抗ヒト programmed cell death-1(PD-1)ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の単独投与時の用法及び用量に関して、すでに承認を取得している全ての 9 つのがん腫において、これまでの 1 回 240 mg を2 週間間隔で点滴静注する用法及び用量に加え、1 回 480 mg を 4 週間間隔で点滴静する用法及び用量が追加になったと発表。  今回の用法及び用量の追加の承認によって、治療選択肢が増えること、患者および医療スタ ッフの利便性の向上に繋がるものと期待しているとしている。

重症血友病A、BIVV001融合蛋白による第VIII因子補充療法が有効/NEJM

 重症血友病Aの男性患者の治療において、新規融合タンパク質BIVV001(rFVIIIFc-VWF-XTEN)の単回静脈内注射により、第VIII因子活性が高値で維持され、半減期は遺伝子組み換え第VIII因子の最大4倍に達し、本薬は投与間隔1週間の新規クラスの第VIII因子機能代替製剤となる可能性があることが、米国・Bloodworks NorthwestのBarbara A. Konkle氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月10日号に掲載された。第VIII因子機能代替製剤は血友病A患者の治療を改善したが、これらの製剤は半減期が短く、患者QOLの改善は十分ではないという。また、遺伝子組み換え第VIII因子の半減期は、von Willebrand因子(VWF)のシャペロン作用のため15~19時間とされる。BIVV001は、この半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高値で維持するようデザインされた新規融合蛋白である。