感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:129

英国株(B.1.1.7)の遺伝子変異、疫学、臨床、今後の重要性(解説:山口佳寿博氏)-1380

2019年の末に発生した新型コロナの原型である武漢原株は、2020年2月末ごろからD614G株(S蛋白614位のアミノ酸がアスパラギン酸(D)からグリシン(G)に置換、その他、4個の遺伝子変異を伴う)に置換された。D614G変異は生体へのウイルス侵入量を増加させ武漢原株より高い感染性を示す(山口. 医事新報 No.5026:26-31, 2020)。2020年9月ごろまではD614G変異株が世界の中心的ウイルスであったが、9月以降、英国、南アフリカ、ブラジルを中心にD614G株からさらなる変異を遂げたN501Y株(S蛋白501位のアミノ酸がアスパラギン(N)からチロシン(Y)に置換)が蔓延するようになった。以上のような背景を鑑み、本論評ではD614G株を“従来株”と定義する。英国、南アフリカ、ブラジルで播種しているN501Y変異株は同じウイルスではなく互いに独立したものであるが3種の変異株の共通項がN501Y変異である(山口. 医事新報 No.5053:32-38, 2021)。PANGO lineageに則った名称として、英国株はB.1.1.7、南アフリカ株はB.1.351、ブラジル株はP.1と命名された。別名として、英国株はVOC 202012/01、20I/501Y.V1、南アフリカ株はVOC 202012/02、20H/501Y.V2、ブラジル株はVOC 202101/02、20J/501Y.V3とも呼称される。2021年4月13日現在、世界206ヵ国/地域の中で英国株は132ヵ国/地域(64%)、南アフリカ株は82ヵ国/地域(40%)、ブラジル株は52ヵ国/地域(25%)で検出され、N501Y株がD614G株を凌駕し世界に流布するコロナウイルスの中心的存在になりつつある(WHO 2021年4月13日)。これら代表的なN501Y変異株に加え、フィリピンではN501Y変異を有するが英国株、南アフリカ株、ブラジル株とは異なる変異株が同定されている(B.1.1.28.3/P.3)。以上のN501Y関連変異株以外にN501Y変異を有さない5種類の変異株が米国(B.1.427/B.1.429、B.1.526)、英国(B.1.525)、フランス(B.1.616)、ブラジル(B.1.1.28.2/P.2)、ナイジェリア(B.1.525)において同定されている。以上の変異株にあって英国株の流布範囲が最も広く、アフリカ、中南米の一部を除き多数の感染者が確認されている。アフリカ、中南米の一部で英国株が検出されていないのは、検査不十分である可能性が高く、実際は、これらの地域にも英国株は侵入しているものと考えなければならない。すなわち、今後の世界的ウイルス播種として、この数ヵ月の間に従来株が英国株を中心とするN501Y株に置換されていくものと推察される。

COVID-19の第3の治療薬、バリシチニブ承認/日本リリー・インサイト

 2021年4月23日、日本イーライリリー株式会社とインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤バリシチニブ(商品名:オルミエント)がSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)に対する治療薬として、適応追加の承認を取得したと発表した。  現在、バリシチニブは関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている。今回の適応追加では、通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブ4mgを1日1回経口投与し、総投与期間は14日間まで。本剤は、酸素吸入、人工呼吸管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うことで承認された。

イスラエルの新型コロナワクチンの効果、地域や年齢による差は?

 新型コロナワクチンの接種が各国にて急ピッチで進められているが、社会における実質的な効果の検証が求められている。イスラエル・ワイツマン科学研究所のHagai Rossman氏ら研究チームが、国内におけるワクチン接種の開始前後におけるCOVID-19症例数と入院数の経時的変化について分析したところ、ワクチン接種における年齢および地域の優先順に、COVID-19症例数および入院者数が大幅かつ速やかに減少傾向を示していたことがわかった。イスラエルでは、2020年12月20日から新型コロナワクチン接種が始まり、優先対象の60歳以上では、2月24日時点で85%が2回の接種済みだという。著者らは、本結果がコロナパンデミックに対する全国的なワクチン接種キャンペーンの実効性を示唆するものだと述べている。Nature Medicine誌オンライン版2021年4月19日号に掲載の報告。

新型コロナワクチン、既感染者での効果は?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染者にワクチンを接種すべきかどうか、はっきりしていない。これまでに既感染者が未感染者よりワクチンによる抗体応答が有意に高かった報告は少ない。今回、イタリア・シエナ大学のGabriele Anichini氏らが実施したコホート研究では、既感染者でのワクチン単回接種後の中和抗体価が、未感染者における2回接種後より有意に高いことが示された。NEJM誌オンライン版2021年4月14日号のCORRESPONDENCEに報告。

アビガン、発症早期COVID-19患者に対する第III相試験開始/富士フイルム富山化学

 富士フイルム富山化学は、アビガン(一般名:ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を対象とした新たな第III相試験を国内で開始したことを、4月21日に発表した。本試験は、重症化リスク因子を有する、発症早期のCOVID-19患者において有効性・安全性を検証する二重盲検プラセボ対照試験。  アビガンについては、非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目で統計学的有意差を確認したことから、アビガンの製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。

中和抗体カクテル療法で症候性COVID-19発症リスクが81%減/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は4月12日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染者との家庭内での濃厚接触者を対象に、中和抗体カクテル療法によるCOVID-19発症リスクおよび負担軽減を評価した第III相臨床試験(REGN-COV 2069試験)において、良好な結果を確認したと発表した。casirivimabとimdevimabの皮下投与により、試験開始時に感染していなかった人の症候性感染の発症リスクが81%減少したことが示されたという。

新型コロナ既往者の再感染リスクは84%減少/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染既往者は、非既往者に比べ感染リスクは約84%減少し、その効果持続期間の中央値は7ヵ月であることが、英国・Public Health England ColindaleのVictoria Jane Hall氏らによる、英国内の病院に勤務する医療従事者やスタッフなど約2万6,000例を対象とした大規模前向きコホート試験の結果で示された。なお期間については、セロコンバージョンを含んでおらず最短である可能性があるという。COVID-19からの回復者に再感染の保護効果があるのかについて理解を深めることは喫緊の課題とされている。著者らは、SARS-CoV-2への獲得抗体が症候性および無症候性の再感染リスク減少と関連するのかどうかを検討した。結果を踏まえて著者は、「SARS-CoV-2への感染既往は、大半の人にとって将来的な感染に有益な免疫をもたらすことを示すものであった」と述べている。Lancet誌2021年4月17日号掲載の報告。

介護施設での抗菌薬の使用状況、CDC調査/JAMA

 2017年、米国の介護施設入居者における抗菌薬の平均使用率は100人当たり8.2人に上り、とくに中心静脈カテーテル使用者(62.8/100人)や導尿カテーテル留置者(19.1/100人)で高率であったことが、米国疾病管理予防センター(CDC)のNicola D. Thompson氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月6日号に掲載された。抗菌薬耐性感染症の制御と予防は、公衆衛生学上の優先事項とされる。介護施設は、入居者が抗菌薬耐性菌のコロニー形成や感染のリスクの合流点となるため、抗菌薬耐性の発生源となる可能性がある。一方、米国の介護施設における抗菌薬使用のデータは十分でないという。

英国のEHR、COVID-19と心血管疾患の関連を解析可能なリソースに/BMJ

 イングランドではCOVID-19パンデミックを機に、研究者が全国の電子健康記録(EHR)にアクセスできるように、データリソースが改められた。パンデミック当初は認可を受けた研究者であっても、全国のEHRにアクセスはできず、医療や公衆衛生政策をサポートするための分析ができなかったからだという。データセキュリティーとプライバシーを確保し、国民の信頼を損なうことなくCOVID-19と心血管疾患に関する全国的な研究を可能とした新たなEHRのリソースについて、英国・ケンブリッジ大学のAngela Wood氏らがBMJ誌2021年4月7日号で報告している。

新型コロナワクチン接種、51.7%が副反応に不安/MDV

 メディカル・データ・ビジョン(MVD)は4月13日、キャンサーネットジャパン(CNJ)と共同実施した新型コロナワクチン接種に関するアンケート結果をプレスリリースした。それによると、接種を希望する患者は80.0%で、全回答者のうち51.7%は副反応に不安を抱いていることが明らかになった。  本アンケートはMDVが3月25日~4月5日(CNJは4月6日~4月12日)にウェブを通じて実施、300人から回答を得た。「ワクチン接種に関して感じている不安」について聞いた結果、副反応に関して51.7%と最も多くの人が不安を感じ、次いで、効果が11.7%、供給体制は9.7%、他疾患に対する影響は9.0%だった。