感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:132

新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか? (2):ChAdOx1-S(AstraZeneca)の場合(解説:後藤信哉氏)-1391

筆者はワクチン接種による新型コロナウイルス感染拡大速度低減、医療崩壊予防効果に期待している。人類を集団として見た場合には現在のワクチンには効果を期待できる。ワクチンも含めて、現在の医療の科学は個体差を考慮できる水準まで進歩していない。集団に対してワクチンを接種した結果何がどれだけ起こったかを記述するのみである。未来を予知する能力はない。ワクチン接種の結果を過去形で、しかし、速やかに公表することが大切である。

COVID-19予防効果のある薬剤は?RCT11件のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染およびCOVID-19に対する薬剤の予防効果について、カナダ・マックマスター大学のJessica J Bartoszko氏ら研究グループが、WHOのCOVID-19関連データベースを基に、新たなエビデンスを継続的に組み込むリビングシステマティックレビュー(LSR)とネットワークメタ解析により検討したところ、ヒドロキシクロロキンについては、入院および死亡率にほとんど影響がない上、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。イベルメクチン単独およびイベルメクチン・イオタカラギナン併用は、バイアスリスクが大きい上、不正確性も極めて高く、確かな根拠が得られなかった。本研究は、BMJ誌2021年4月26日号に掲載された。

新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか?:Ad26.COV2.S(Janssen)の場合(解説:後藤信哉氏)-1390

新型コロナウイルス禍の克服の鍵の1つがワクチンである。人類は科学技術の英知を結集して驚くべき速さにて新型コロナウイルスに対するワクチンを複数開発した。予後の悪い疾病に対する治療と異なり、健常人に接種するワクチンには高い安全性が要求される。有効かつ安全なワクチンの開発には一般に長い年月がかかる。複雑精妙な人体の調節系は完全に理解されていない。薬剤であれ、ワクチンであれ、投与後の反応を個別予測する演繹的方法は確立されていない。拡大する新型コロナウイルス感染、感染すれば致死率は2%に至るとされる。人類全体として見ればワクチンによる免疫の獲得は感染の拡大速度を減少させ、医療崩壊を防ぐ効果を期待できる。現在も感染の第4波が拡大し、地域によっては医療崩壊にひんしている日本では感染拡大速度を減少させるワクチンを急速に拡大させたい。集団としての視点から日本国内のワクチン接種に反対するヒトは少ないと思う。しかし、予防介入、治療介入には副作用がある。安全性の高いワクチンであっても、ワクチン接種直後に心筋梗塞、脳梗塞などを偶然発症する場合もある。副作用なのか、偶発症なのか、個別のイベントにおける判断は難しい。

AZ製ワクチン、血栓症の絶対リスクは?/BMJ

 Oxford-AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1-S」の接種を受けた人では、脳静脈血栓症を含む静脈血栓塞栓症の発生がわずかに増加することが確認された。他の安全性については、血小板減少症/凝固異常と出血イベントの発生がわずかに高かったが、ワクチン接種を受けた人のサーベイランスが強化された影響のためか、大部分は安心してよい結果であったという。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らが、同国とノルウェーで実施したコホート研究の結果を報告した。自発的な有害事象の報告や臨床のケースシリーズにおいて、ChAdOx1-S接種後数日から数週間以内に血小板減少症、出血、動脈/静脈血栓症が発生したことが確認されているが、これらの発生について一般集団での自然発生に基づく予想より過剰かどうかは不明であった。BMJ誌2021年5月5日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、2回接種で種々の変異株に有効か?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)らの研究チームは、ファイザー製新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか流行中のさまざまな変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにした。この研究成果について、同研究者らは5月12日の記者会見で報告した。なお、本研究成果はプレプリント段階であり、今後、学術雑誌に投稿される見込み。

J&J新型コロナワクチンによる脳静脈洞血栓症例、初期症状に頭痛/JAMA

 米国で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S COVID-19」(Janssen/Johnson & Johnson製)を接種後、血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)という深刻なイベントを呈した当初の12例について、その臨床経過や検査結果、臨床アウトカムが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のIsaac See氏らが、ワクチン有害事象報告制度(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)の報告書などを基にケースシリーズを行い明らかにしたもので、12例は年齢18~60歳未満で、全員が白人女性、接種から発症までの期間は6~15日で、11例の初期症状が頭痛だった。調査時点で、3例が死亡している。Ad26.COV2.Sワクチンは、2021年2月、米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得て、4月12日までに約700万回が接種された。そのうち6例で、血小板減少症を伴うCVSTが確認されたことを受け、4月13日に接種が一時的に中止されている。JAMA誌オンライン版2021年4月30日号掲載の報告。

トシリズマブ、重症COVID-19肺炎患者の生存率改善/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症肺炎で入院した患者の治療において、IL-6受容体モノクローナル抗体のトシリズマブ(商品名:アテムクラ)を投与することで臨床状態が改善し、28日以内の退院率が向上する、という結果が報告された。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY」によるもので、Lancet誌5月1日号に掲載された。ただし、別の研究においては、トシリズマブは臨床状態改善や死亡率低下に寄与しないとの結果も報告されており、今後の詳細な分析とさらなる試験結果が待たれる。

輸液セット交換、4日から7日間隔に延長可/Lancet

 入院患者の輸液セット(中心静脈アクセスデバイス[CVAD]、末梢動脈カテーテル[PAC])の7日間隔での交換は、4日間隔の交換と比較して、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の発生に差はなく、7日に延長した結果として費用や看護の作業時間が削減されることが、オーストラリア・クイーンズランド大学のClaire M. Rickard氏らが実施した「RSVP試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月17日号に掲載された。  本研究は、オーストラリアの10施設が参加した評価者盲検無作為化対照比較試験であり、CVADでは同等性の、PACでは非劣性の評価が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会の助成による)。

新型コロナワクチン初回投与で入院リスク大幅減、スコットランドの全国調査/Lancet

 現在、世界中でCOVID-19ワクチンの接種プログラムが進められており、ワクチンが及ぼす臨床効果の研究は急務である。今回、英スコットランド・エディンバラ大学のEleftheria Vasileiou氏らが、BNT162b2 mRNAワクチン(商品名:コミナティ、Pfizer/BioNTech)およびChAdOx1 nCoV-19(別名:AZD1222)ワクチン(Oxford/AstraZeneca)の大規模接種とCOVID-19入院との関連を調査した。その結果、COVID-19ワクチンの大規模な初回接種は、スコットランドにおけるCOVID-19入院リスクの大幅な減少と関連していた。Lancet誌2021年5月1日号に掲載。

AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。