感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:54

COVID-19後遺症患者の多くがスティグマを経験

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(以下、後遺症)が生じた人は、長期にわたって、倦怠感やブレインフォグ、息切れなどの症状と闘っている。しかし、後遺症患者を悩ませているのはそのような症状だけではないようだ。後遺症患者の約95%が少なくとも1種類のスティグマ(偏見や差別)を経験したことがあり、4人に3人は、そうしたスティグマをかなりの頻度で経験していることが、新たな研究から明らかになった。英ブライトン・アンド・サセックス・メディカルスクールのMarija Pantelic氏らが実施したこの研究の詳細は、「PLOS ONE」に11月23日掲載された。

インフルエンザ予防接種が心不全患者の命を守ってくれる

 インフルエンザの予防接種は、インフルエンザを予防するだけでなく、心不全患者の肺炎を約4割、入院リスクを約15%減らすことを示す、多国籍無作為化プラセボ対照比較試験の結果が「The Lancet Global Health」12月号に掲載された。マクマスター大学(カナダ)のMark Loeb氏らの研究によるもので、同氏は、「これまでインフルエンザワクチンの効果が過小評価されていたようだ。心不全患者がインフルエンザの予防接種を受けずにいる理由はない」と語っている。  この研究は、アジア、中東、アフリカの10カ国の18歳以上の心不全患者5,129人(平均年齢57.2±15.3歳、女性51.4%)を対象に実施された。心不全の重症度〔ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類〕は、クラスII(身体活動をある程度制限しないと症状が現れる)が69.5%、クラスIII(安静にしていないと症状が現れる)が26.1%、クラスIV(安静時にも症状がある)が4.4%。

超過死亡1,483万人、コロナ死の約3倍/Nature

 2020〜21年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による超過死亡数は、全世界で約1,483万人にのぼることが、世界保健機構(WHO)のWilliam Msemburi氏らのグループの推計で明らかになった。この推計値は、同期間中に報告されたCOVID-19を原因とした死亡(COVID-19死)件数の約3倍に相当する。Nature誌オンライン版12月14日掲載の報告。  2021年12月31日現在、WHOに報告されたCOVID-19の確定数は、全世界で2億8,700万人を超え、そのうち約542万人が死亡している。しかし、検査の利用しやすさ、診断能力、COVID-19死の認定方法に一貫性がないといった要因により、COVID-19が世界人口に及ぼす影響の評価には困難が伴う。そこでMsemburi氏らは、人命損失について世界規模で定量化するため、超過死亡者数を推定した。超過死亡数にはCOVID-19死の総数、必要な医療の中断などの間接的な影響による死亡の両方が含まれる。

新型コロナは季節性インフルと同等となるか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第110回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月14日に開催された。その中で「新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方」が、押谷 仁氏(東北大学大学院微生物学講座 教授)らのグループより報告された。  本レポートは、「I.リスク評価の基本的考え方」「II. COVID-19 のリスク評価」「III.COVID-19 パンデミックは季節性インフルエンザのような感染症になるのか」の3つに分かれて報告されている。

12~20歳のmRNAコロナワクチン接種後の心筋炎をメタ解析、男性が9割

 12~20歳の若年者へのCOVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎に関連する臨床的特徴および早期転帰を評価するため、米国The Abigail Wexner Research and Heart Center、 Nationwide Children’s Hospitalの安原 潤氏ら日米研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種後の心筋炎発生率は男性のほうが女性よりも高く、15.6%の患者に左室収縮障害があったが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)は1.3%にとどまり、若年者のワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であることが明らかとなった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年12月5日号に掲載の報告。

コロナ重症化率と致死率、どの程度低下したのか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについて議論が進んでいる。その判断には、病原性(重篤性)と感染力、それらによる国民への影響を考慮する必要があるが、病原性(重篤性)の参考となる重症化率と致死率について、12月21日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告された。重症化率・致死率ともに昨年夏から大きく低下しており、病原性が低いとされるオミクロン株が流行株の主体となっていること、多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことが要因と考えられている。

COVID-19行動制限の緩和により、喘息増悪が増加

 これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンに伴い、喘息増悪が減少したことが報告されている。しかし、制限緩和による喘息への影響についてはいまだ報告されていない。そこで、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFlorence Tydeman氏らは、行動制限の緩和が急性呼吸器感染症(ARI)の発症や喘息増悪に及ぼす影響を検討した。その結果、制限緩和によりCOVID-19の発症・非COVID-19のARI発症がいずれも増加し、それらはいずれも重度喘息増悪の発現に関連していた。Thorax誌オンライン版2022年11月16日掲載の報告。

モデルナ製COVID-19ワクチン、追加免疫の接種対象が12歳以上に拡大

 モデルナは2022年12月12日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」(1価:起源株)、「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.1)および「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.4/5)の追加免疫について、日本における添付文書を改訂し、接種対象年齢が12歳以上に拡大されたことを発表した。  これについてモデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は「オミクロン株とその亜系統による感染が拡大する中、モデルナのCOVID-19ワクチンにより進学や受験といったイベントを控える方の多い12~17歳の年齢層をCOVID-19から守れることを嬉しく思います」と述べている。

3~17歳へのコロナワクチン、オミクロン優勢期の効果は?/BMJ

 アルゼンチンで、3~17歳の小児・青少年に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[モデルナ製]、BNT162b2[ファイザー製]、BBIBP-CorV[Sinopharm製])2回接種の有効性について調べたところ、死亡に対する予防効果は、優勢となっている変異株の種類にかかわらず、小児・青少年ともに高値を維持していたことが明らかにされた。ワクチン接種後の短期間におけるSARS-CoV-2感染予防効果については、オミクロン変異株が優勢であった間は低かったこと、また時間の経過とともに同効果は急激に低下することも明らかにされた。アルゼンチン・保健省のJuan Manuel Castelli氏らが、約14万人のケースとそのマッチング対照を解析した、診断陰性例コントロール試験の結果で、BMJ誌2022年11月30日号で発表された。

長年の謎。ウイルス感染はなぜ寒い時期に増える?

 ウイルス性気道感染症は、冬の時期に増えることが知られているが、そのメカニズムはこれまで明らかになっていなかった。ハーバード大学のDi Huang氏らの研究グループは、上気道感染症の原因となるウイルスを撃退する鼻の中の免疫反応を発見した。さらに、この免疫反応は気温が低くなると抑制され、感染症が発生しやすくなることを明らかにした。本研究結果は、The Journal of Allergy and Clinical Immunologyオンライン版2022年12月6日に掲載された。