感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:57

イベルメクチン、軽~中等症コロナ患者の回復に寄与せず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、イベルメクチン400μg/kgの1日1回3日間投与はプラセボと比較し回復までの期間を改善しないことが、米国・デューク大学のSusanna Naggie氏らが実施した無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV-6試験」の結果、示された。著者は、「軽症~中等症のCOVID-19患者に対して、イベルメクチンの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2022年10月25日号掲載の報告。  ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた、進行中の完全遠隔法による分散型臨床試験である。

モデルナのBA.4/5対応2価ワクチンを特例承認/厚労省

 厚生労働省は11月1日、モデルナのオミクロン株BA.4/5に対応した新型コロナウイルス2価ワクチン「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.4/5)について、承認事項の一部変更の特例承認をしたことを発表した。  一部変更申請の概要として、起源株およびオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードする mRNAを含む2価ワクチンが追加された。有効成分のエラソメランはSARS-CoV-2の起源株を、イムエラソメランはオミクロン株BA.1を、ダベソメランはオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAだとしている。

認知症患者のインフルエンザワクチン接種の抗体反応に対する光曝露の影響

 認知症受け入れ施設の照明条件を改善すると、患者の睡眠、概日リズム、健康状態の改善がみられる。スイス・Ecole Polytechnique Federale de LausanneのMirjam Munch氏らは、日中に明るい光を浴びると、認知症患者のインフルエンザワクチン接種に対する免疫応答がサポートされる可能性について報告を行った。この結果は、毎日より多くの光を浴びることで、認知症患者の免疫応答が上昇することを示唆しており、今後の研究において、定期的な光曝露がヒトの免疫系に対し直接的または安定した概日睡眠覚醒リズムを介して良い影響を及ぼすかが明らかになることが期待される。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2022年9月20日号の報告。

既感染によるBA.4/5感染予防効果、半年で5割低下/NEJM

 現在、COVID-19感染の主流となっているオミクロン株BA.4およびBA.5について、既感染による再感染予防効果は時間経過と共に急速に減退する可能性がある。カタール・ドーハのWeill Cornell MedicineのHeba N. Altarawneh氏らによる検討がNEJM誌2022年10月27日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  研究者らは、SARS-CoV-2の検査結果、臨床経過、ワクチン接種、人口統計学的データ、カタールの医療施設で実施されたPCRおよび迅速抗原検査の全結果のデータを、全国SARS-CoV-2データベースから抽出した。感染リスクの違いをコントロールするため、性別、年齢、国籍、併存疾患数、検査した週、検査方法、検査理由によって、試験群と対照群をマッチングさせた。

ワクチン回数と感染歴、オミクロン感染予防効果の高い組み合わせは?/NEJM

 米国・スタンフォード大学のElizabeth T. Chin氏らは、感染ハイリスク集団である刑務所の収容者とスタッフ合計約7万6,000例を対象に行った後ろ向きコホート試験で、COVID-19のmRNAワクチン接種および既感染は、SARS-CoV-2のB.1.617.2(デルタ)変異株優勢前の感染予防効果は低かったが、B.1.1.529(オミクロン)変異株に対しては感染予防効果を有していたことを明らかにした。また、既感染者も含め、ワクチン3回接種が2回接種よりも感染保護効果が顕著に大きかったことも示されたという。NEJM誌オンライン版2022年10月26日号掲載の報告。

新型コロナ飲み薬、心疾患治療薬との併用で相互作用の可能性も

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の飲み薬の1つである抗ウイルス薬のパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッドパック)は、高リスク患者を重症化から守ることで世界のパンデミックの様相を大きく変えた。そうした中、脂質低下薬や抗血栓薬、抗不整脈薬など、広く処方されている心疾患の治療薬とパクスロビドを併用するとリスクがもたらされる可能性を警告する論文を、米レーヘイ・ホスピタル&メディカル・センターのSarju Ganatra氏らが「Journal of the American College of Cardiology」に10月12日発表した。同氏は、「一部の心疾患患者はパクスロビドの使用を避けるか、同薬による治療を受けている間は心疾患の薬を減らす必要があるかもしれない」と述べている。

4割の米国成人がCOVID-19関連で虚偽の言動をしていた

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが現在より深刻だった昨年末に、米国人の40%以上が自分のCOVID-19既往歴や感染対策の実施状況について、虚偽の言動をしていたことが明らかになった。米ミドルセックス・コミュニティーカレッジのAndrea Gurmankin Levy氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に10月10日掲載された。  Levy氏らは、COVID-19の公衆衛生対策に関する虚偽の言動や、推奨される感染予防措置を守らない行動の頻度とその理由に関するオンライン調査を、2021年12月8~23日に実施。調査パネルに登録されている全米各地の成人の中から、COVID-19の既往のある人、COVID-19の既往がなく少なくとも1回はワクチン接種を受けた人、既往がなくワクチン接種を受けていない人がそれぞれ3分の1になるように、計2,260人に回答協力を依頼した。アンケートは、自分が感染している(またはその可能性がある)時に、直接会う人にそれを伝えたか否かなどの9項目の質問と、そのような行動を取った理由、および、信仰、支持政党などを含む社会人口学的因子に関する質問で構成されていた。

コロナ軽症でも、高頻度に罹患後症状を発症/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症の急性期後6~12ヵ月の時期における、患者の自己申告による罹患後症状(いわゆる後遺症、とくに疲労や神経認知障害)は、たとえ急性期の症状が軽症だった若年・中年の成人であってもかなりの負担となっており、全体的な健康状態や労働の作業能力への影響が大きいことが、ドイツ・ウルム大学のRaphael S. Peter氏らが実施した「EPILOC試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月13日号に掲載された。  EPILOC試験は、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州の4つの地域(人口計約270万人)で行われた住民ベースの研究で、2020年10月1日~2021年4月1日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査でSARS-CoV-2陽性と判定された18~65歳の集団が解析の対象となった(バーデン・ビュルテンベルク州Ministry of Science and Artの助成を受けた)。

コロナ流行で糖尿病関連死が30%増加、とくに若年で顕著

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、米国における2021年および2022年の糖尿病関連の死亡が、パンデミック以前と比べて30%以上増加したことを、中国・西安交通大学のFan Lv氏らが報告した。糖尿病は新型コロナ感染症の重症化の重大なリスク因子であるとともに、新型コロナウイルス感染は血糖コントロールの悪化につながることが報告されている。同氏らは、パンデミックによって糖尿病患者の治療の提供が混乱したことから、パンデミック中の糖尿病関連の死亡の傾向を調査した。eClinicalMedicine誌9月23日掲載の報告。

妊婦へのコロナワクチン接種をメタ解析、NICU入院や胎児死亡のリスク減

 妊娠中のCOVID-19ワクチン接種による周産期アウトカムへの影響について、有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏ら日米研究グループによりシステマティックレビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種が新生児集中治療室(NICU)入院、子宮内胎児死亡、母親のSARS-CoV-2感染などのリスク低下と関連することや、在胎不当過小(SGA)、Apgarスコア低値、帝王切開分娩、産後出血、絨毛膜羊膜炎などといった分娩前後の有害事象のリスク上昇との関連がないことが示された。JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年10月3日号に掲載の報告。