感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

リファンピシン感受性肺結核、8週レジメンが標準治療に非劣性/NEJM

 結核の治療において、8週間のベダキリン+リネゾリドレジメンによる初期治療を含む治療戦略は標準治療に対して非劣性であり、治療期間の短縮にもつながり、安全性に明らかな懸念はないことを、シンガポール・シンガポール国立大学のNicholas I. Paton氏らがアダプティブ第II/III相無作為化非盲検非劣性試験「Two-Month Regimens Using Novel Combinations to Augment Treatment Effectiveness for Drug-Sensitive Tuberculosis trial:TRUNCATE-TB試験」の結果、報告した。結核は、通常6ヵ月間のリファンピシンベースのレジメンで治療されるが、初期治療期間の短縮を含む治療戦略により同様の治療成績が得られるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。

5類移行後も「コロナ特例はすべて継続」求める/日医

 日本医師会会長の松本 吉郎氏は3月1日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更後の発熱外来診療体制の維持・充実に向けて、日本医師会の取り組みや意見を述べた。  「類型の変更後には、新規感染者数が過去の感染拡大を大幅に超える事態も想定される。新規感染者数の把握方法が定点報告に基づくことになり、これまでとの比較も困難になるため、入院や外来の医療逼迫度合いが最も重要な指標になる。日本医師会では、外来の医療提供体制、とりわけ現在の約4万2,000軒の診療所・病院による発熱外来診療体制の維持が重要」と前置きした上で、「これまで季節性インフルエンザの検査・診療を行ってきた医療機関の新規参画、かかりつけ患者のみを受け入れてきた医療機関の幅広い患者の受け入れが重要である」と協力を求めた。

コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染のその後の再感染に対する予防効果は、デルタ株までの変異株に対しては非常に高く40週後も高いままであったが、オミクロンBA.1株については時間と共に急速に低下した。一方、再感染での重症化予防効果は、オミクロンBA.1株までの変異株すべてにおいて、既感染1年後まで比較的高いレベルで維持されていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のCaroline Stein氏らCOVID-19 Forecasting Teamが実施したメタ解析の結果で示された。著者は、「今回の解析から、過去の感染による変異株別ならびに経時的な予防効果は、mRNAワクチン2回接種と同等以上であることが示唆された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。

5~11歳へのファイザーBA.4/5対応2価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は2月28日、5~11歳を対象としたファイザーの新型コロナウイルスmRNAワクチン「販売名:コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」について、追加接種(追加免疫)として承認したことを発表した。本剤は、5~11歳の初回免疫に使用することはできない。  本剤の追加免疫の用法および用量は、同社製の5~11歳用1価ワクチンと変わらず、添付文書に以下のように記されている。 6. 用法及び用量 本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。 追加免疫として、1回0.2mLを筋肉内に接種する。

妊婦の感染、オミクロン株でも重篤化や妊娠合併症増加と関連(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は妊娠中に母体および胎児への有害事象を引き起こすことが示されており、妊娠前および妊娠中にはワクチン接種が強く推奨されている。一方、現在主流となっているオミクロン株について、妊娠経過や胎児への影響およびワクチンの有効性についての大規模かつ多施設からの報告はなかった。今回の研究(INTERCOVID-2022試験)は18ヵ国41病院を通じて行われ、世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦が被験者として登録された。

コロナ罹患後症状別、持続しやすい患者/国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターの森岡 慎一郎氏らの横断研究により、COVID-19回復患者の4分の1 以上で、ほとんどが急性期に軽症にもかかわらず、COVID-19の発症または診断から6、12、18、24ヵ月後に1つ以上の症状を有していることがわかった。本研究では、各症状の持続と関連する因子も検討した。Public Health誌オンライン版2023年2月13日号に掲載。  2020年2月~2021年11月に、COVID-19から回復し国立国際医療研究センターで受診した患者に調査を実施した。人口統計学的データ、臨床データ、COVID-19罹患後症状の存在と期間に関するデータを取得し、多変量線形回帰分析を用いて、症状持続の関連因子を調べた。  主な結果は以下のとおり。

世界初のRSVワクチン誕生へ向けて、下気道疾患の予防効果80%超/NEJM

 多くの人は2歳までにRSウイルス(RSV)に感染する。生涯を通じて再感染することがあり、通常は症状が軽いもしくは無症状とされている。しかし、高齢者や合併症を有する患者では、下気道疾患が引き起こされ、基礎疾患の増悪、入院、死亡につながる可能性がある。先進国の60歳以上の成人においては、2019年にRSV感染が約520万例の急性呼吸器感染症、約47万例の入院、約3万3千例の院内死亡をもたらしたと推定されている。しかし、現在までに承認されているRSVワクチンは存在しない。そこで、宿主細胞との膜融合に関与するfusion(F)タンパク質について、立体構造を安定させた融合前(prefusion)Fタンパク質を含有するワクチンが開発され、60歳以上の成人を対象とした第III相試験において、RSVに関連する下気道疾患および急性呼吸器感染症の予防効果が示された。本研究はAReSVi-006 Study Groupによって実施され、結果はイタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らによって、NEJM誌2023年2月16日号で報告された。

コロナワクチン接種者と未接種者、死亡率の差は?/CDC

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国の24地域において、12歳以上に対する新型コロナウイルスワクチンの効果について、デルタ株からオミクロン株BA.4/BA.5流行期にかけて、接種者と未接種者の比較調査を行った。本結果によると、2価ワクチン接種者は、1価ワクチン接種者やワクチン未接種者と比べて、感染に対する予防効果が高く、とくに高齢者において、死亡に対する予防効果が未接種者の10.3~23.7倍と有意に高いことが示された。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report誌2023年2月10日号に掲載された。

5歳未満へのコロナワクチン、3回接種の発症予防効果73.2%/NEJM

 生後6ヵ月~4歳児に対する新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」3μgの3回接種は安全で免疫原性があり、症候性COVID-19に対し有効であることを、米国・Baylor College of MedicineのFlor M. Munoz氏らが、約4,500例を対象とした試験の結果を報告した。3回目接種後1ヵ月時点の、免疫ブリッジング成功基準も満たし、反応原性イベントの大部分が軽度~中等度で、Grade4のイベントは認められなかった。NEJM誌2023年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、6ヵ月~11歳の健康な小児を対象にBNT162b2ワクチンの第I相用量設定試験を完了し、現在第II~III相の安全性・免疫原性・有効性試験を行っている。

ニルマトレルビル/リトナビル、オミクロン下の外来患者リアルワールドデータ

 ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)は、コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの高い患者において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株および初期のオミクロン株に対する重症化抑制効果が示されている。重症化リスクの高いワクチン未接種の成人を対象とした、ランダム化比較試験「EPIC-HR試験」では、重症化リスクを89%低下させたことが報告されている。しかし、EPIC-HR試験はデルタ株流行期に行われた試験であり、オミクロン株流行期に主流となったBA.4系統、BA.5系統などに対する効果は明らかになっていない。そこで、米国・コロラド大学医学部のNeil R. Aggarwal氏らは、コロラド州の医療システムの記録を用いて、オミクロン株流行期の実臨床におけるニルマトレルビル/リトナビルの外来患者に対する有用性を検討した。その結果、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院、全死亡、救急受診を減少させ、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院の減少は、ワクチン接種状況や年齢、感染時期などに関係なく認められた。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月10日掲載の報告。