感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

無症状・軽症コロナ患者、約1年後もIgG抗体を維持

 新型コロナウイルスに感染した無症状または軽症の小児と成人の患者では、感染から約1年後の時点においても、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(S-RBD)に対する免疫グロブリンG(IgG)抗体価は維持されており、特に3歳未満の児の抗体価は18歳以上の成人より有意に高いとする研究結果を、パドヴァ大学(イタリア)のCostanza Di Chiara氏らが「JAMA Network Open」に7月13日発表した。  Chiara氏らは、2020年4月から2021年8月の間に登録された、新型コロナウイルス感染が確認された小児および18歳以上の成人患者を追跡し、S-RBD IgG抗体価を測定する単一施設の前向きコホート研究を実施した。新型コロナウイルスの家族間感染を起こした計252家庭を対象として、3歳未満、3~5歳、6~11歳、12~17歳、18歳以上の年齢層に分け、感染から1~4カ月時点、5~10カ月時点、10カ月以上経過した時点の複数回にわたり血清学的な追跡調査を行った。解析にはχ2検定、フィッシャー正確検定、対応のない両側t検定などを用いた。

ファイザーBA.4/5対応2価ワクチンの第II/III相試験、1ヵ月後データ

 米国・Pfizerは11月4日付のプレスリリースで、同社のオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、追加接種から1ヵ月後の第II/III相試験データを発表した。30μgの追加接種により、同社の起源株に対する1価ワクチンよりも強固な中和免疫反応が得られたことが確認され、安全性および忍容性プロファイルは両ワクチン間で同様だった。  今回の第II/III相試験では、同社のBA.4/5対応2価ワクチンの4回目の追加接種(30μg)について、接種前と接種から1ヵ月後の血清を採取して評価した。SARS-CoV-2感染の既往がある人とない人を均等に層別化し、18~55歳(n=38)および55歳以上(n=36)のサブセットを設定した。また、同社の起源株に対応した1価ワクチン30μgを4回目接種として投与された55歳以上(n=40)を対照群として、同様に均等な層別化をしながら無作為に抽出した。2価ワクチンを接種した被験者は、前回の追加接種が約10〜11ヵ月前であったのに対し、1価ワクチンを接種した被験者は、前回の追加接種が約7ヵ月前であったが、この差にもかかわらず、4回目接種前の抗体価は両者でほぼ同様だった。

BA.4/5対応2価ワクチン後、年齢別の副反応発生状況/CDC

 12歳以上における、ファイザー社およびモデルナ社の2価ワクチンによるブースター接種後の安全性データを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月4日号に報告した。  米国食品医薬品局(FDA)は2022年8月31日に、12歳以上へのBNT162b2(ファイザー)および18歳以上へのmRNA-1273(モデルナ)COVID-19ワクチンの2価製剤を承認。これらのワクチンにはSARS-CoV-2のオリジナル株およびBA.4/BA.5のスパイクタンパク質をコード化したmRNAが含まれる。10月23日までの間に、約2,260万回の2価ブースターワクチンが投与されている。今回、同期間中の2価ワクチン接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム。接種後1週間の局所および全身反応と健康への影響が報告される)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された事象および健康影響評価のレビューが行われた。

生後6ヵ月からCOVID-19ワクチン接種推奨を提言/日本小児科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第8波が到来しつつある今、第7波で起こった小児へのCOVID-19感染の増加、重症化や今冬のインフルエンザの同時流行を憂慮し、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「生後6ヵ月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。

高齢化率世界一の日本のコロナ禍超過死亡率が低いのは?/東京慈恵医大

 新型コロナウイルス感染症流行前の60歳平均余命が、コロナ禍超過死亡率と強く相関していたことを、東京慈恵会医科大学分子疫学研究部の浦島 充佳氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2022年10月19日掲載の報告。  新型コロナウイルス感染症は高齢者において死亡リスクがとくに高いため、世界一の高齢者大国である日本ではコロナの流行によって死亡率が高くなることが予想されていたが、実際には死亡率の増加が最も少ない国の1つである。

ボストン大が危険性の高い新型コロナの実験を実施か

 米ボストン大学で実施された新型コロナウイルスの実験について米国立衛生研究所(NIH)が現在調査中であることについて、メディアの報道が過熱している。一部の報道機関は、研究者らが研究の過程で致死率の高い新型コロナウイルスを作り出したと主張。それに対しボストン大学は、「確証に欠ける誤った研究解釈に基づいた報道内容だ」と反論している。ボストン大学国立新興感染症研究所(NEIDL)所長のRonald Corley氏は同大学が発表した声明文で、「彼らはメッセージをセンセーショナルに表現し、研究の結果や全体的な目的をねじ曲げて報道した」と指摘している。  しかし、そのニュース報道は米司法省の注意を引くところとなった。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)微生物・感染症部門長のEmily Erbelding氏がSTAT Newsに語ったところによると、ボストン大学の研究グループは、NIHに研究資金を申請する際、研究の方向性を明示しなかった上に、新型コロナウイルスの強化につながる可能性がある実験であることも明らかにしていなかったという。同氏は、「われわれは今後数日間、話し合いの機会を持つことになると思う」とSTAT Newsに話した。  ボストン大学のグループは、新型コロナウイルスの従来株と、その後に流行したオミクロン株のスパイクタンパク質に着目した。オミクロン株は従来株よりも感染力は強いが、全般的に重症化リスクは低いことが明らかになっている。同大学のCorley氏によると、この研究は、ウイルスが細胞に感染する際に用いるスパイクタンパク質が、感染者の重症化の程度に関与しているのかどうかを明らかにすることを重視したものであった。その研究の一部として、研究グループは、オミクロン株のスパイクタンパク質をコードする遺伝子を従来株に組み込んだ、キメラOmi-Sウイルスを作成した。

5~17歳の年齢別、オミクロン株へのワクチン有効性と持続性/NEJM

 カタールにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のBNT162b2(ファイザー製)ワクチンの小児・青少年への実社会における有効性を検証したところ、小児へのワクチン接種によるオミクロン変異株への保護効果は中程度で、2回目接種後は急速に低下し3ヵ月で保護効果がほぼ認められなくなっていた。青少年については、おそらく投与した抗原量が多いことから、小児よりも強力で持続性のある保護効果が認められたという。カタール・コーネル大学のHiam Chemaitelly氏らが、3つのコホートについて後ろ向き標的コホート試験を行い明らかにした。BNT162b2ワクチンは、小児(5~11歳)と青少年(12~17歳)では、投与される抗原量が異なる。NEJM誌オンライン版2022年11月2日号掲載の報告。

オミクロン株BA.4/5の病原性と増殖性、デルタ株よりも低いか/Nature

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株BA.4/5について、感染した患者の臨床検体からウイルスを分離し、その性状についてハムスターを用いてin vivoで評価した。デルタ株およびBA.2と比較したところ、BA.4およびBA.5のハムスターにおける増殖性と病原性は、いずれもBA.2と同程度であったが、デルタ株と比べると低いことなどが明らかになった。本研究は、東京大学、国立国際医療研究センター、米国ウィスコンシン大学、国立感染症研究所、米国ユタ州立大学の共同で行われ、Nature誌オンライン版11月2日号に掲載された。  主な結果は以下のとおり。

コロナ陽性になること「怖い」が7割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広まり、3年が経とうとしている。この間、COVID-19陽性者も身近にいたりとすでに珍しいことではなくなった。そこでCOVID-19感染者の特徴およびワクチン接種回数との因果関係、また、COVID-19に関連する疑問解明を目的として、株式会社アイスタットは、全国で最も感染者数が多い東京都を対象にコロナウイルス陽性に関する調査を行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の東京都在住の有職者の会員20~59歳の300人が対象。

コロナワクチンの血栓症リスク、種類別比較を定量化/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンのうち、アデノウイルスベースのワクチンであるChAdOx1-S(アストラゼネカ製)はmRNAベースワクチンのBNT162b2(ファイザー製)と比較して、初回接種から28日以内の血小板減少症のリスクが30%以上高く、アデノウイルスベースのワクチンAd26.COV2.S(ヤンセン製)はBNT162b2に比べ、血小板減少症を伴う血栓症候群(TTS)の中でも静脈血栓塞栓症のリスクが高い傾向にあることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らが行った欧米6ヵ国のデータセットの解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月26日号で報告された。