感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:91

ブースター接種こそ感染対策の要 -コロナワクチンブースター接種がコロナ死亡を90%減らす-(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

現在、日本でも世界でもオミクロン株の猛威により急激な新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているような状況である。米国や欧州の一部では感染拡大のピークを越え、収束傾向になっている地域もあるようだが、2022年1月中旬現在においてWHO(世界保健機関)でも各国の警戒を呼び掛けているような緊迫した状況が続いている。本邦のコロナワクチン接種は2022年1月20日の時点で2回目接種終了者が全国民の約79%にあたる9,963万人を超えている状況である。ただし2021年末から始まったコロナワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種は194万人(日本全国民の約1.5%)にとどまっており、2回目接種終了後から時間が経過した高齢者や基礎疾患を持つ者、新型コロナウイルスやCOVID-19症例と接触する機会の多い医療従事者はブースター接種を待ち望んでいるところである。

COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。

ロナプリーブ、コロナ無症候者への投与で症状悪化を抑制/JAMA

 初期無症候性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された家庭内濃厚接触者に対し、皮下投与によるカシリビマブ+イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法はプラセボと比較し、28日間の症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクを有意に低下する。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、314例を対象に行った第III相無作為化試験の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2022年1月14日号掲載の報告。

コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。  本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。

コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。

12~18歳、ワクチン2回接種でCOVID-19入院をほぼ回避/NEJM

 年齢12~18歳の入院患者のうち、BNT162b2ワクチン(mRNAワクチン、Pfizer-BioNTech製)の2回接種を受けた患者は非接種例と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院の回避に関する有効率が高く、集中治療室(ICU)入室や生命維持介入の回避割合も優れることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のSamantha M. Olson氏らが実施したOvercoming COVID-19試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月12日号に掲載された。

重症コロナ肺炎治療薬にトシリズマブを承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する効能・効果の追加を承認した。SARS-CoV-2による肺炎で、酸素投与、人工呼吸器管理またはECMOが必要な患者に限り、入院下で治療投与できる。  トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。

コロナワクチン有効性、年齢・併存疾患による低下の差は/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンであるChAdOx1-S(ChAdOx1 nCoV-19、AstraZeneca製)とBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)について、2回接種後20週以上の時点で、COVID-19関連の入院および死亡への有効性の低下は、限定的であることが示された。英国保健安全庁(United Kingdom Health Security Agency)のNick Andrews氏らによる調査の結果で、「高齢者と臨床的にリスクのある成人集団では、有効性の低下が大きかった」とまとめている。英国では、2020年12月からワクチン接種を開始。COVID-19の重症化や死亡への高い効果が実臨床データとして示されているが、2回目接種以降は時間経過とともに効果が低下する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2022年1月12日号掲載の報告。

ファイザー製コロナワクチン、5~11歳への接種を承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、ファイザー製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、用法・用量が異なる「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売を特例承認した。オミクロン株が急拡大し、新型コロナの収束の兆しが見えない中、欧米諸国でも小児へのワクチン接種に踏み切る動きがある。国内における接種開始は3月以降になる見通しだ。  今回承認された「コミナティ筋注 5~11歳用」は、12歳以上に使用されている従来製品との相違点がいくつかあるので注意が必要だ。

小児へのCOVID-19ワクチン接種の考え方/日本小児科学会

 12歳以下の小児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が、わが国でも検討されている中、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。  この考え方では、COVID-19の小児流行の現況を説明するとともに、小児へのワクチン接種について重症化予防への期待について記している。