感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:90

デルタ株流行期前後の比較では患児のICU入院が多い/成育研・国際医研

 国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの合同研究チームは、デルタ株流行期における小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株が流行する以前と比較検討した。今回、その結果を庄司 健介氏(国立成育医療研究センター)らのグループが発表した。  この研究は、2020年10月~2021年5月までをデルタ株以前、2021年8月~10月までをデルタ株流行期とし、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院例1,299人(デルタ株以前:950人、デルタ株流行期:349人)を対象に実施。その結果、デルタ株流行期は、デルタ株以前に比べて患者年齢が低いこと(中央値7歳vs.10歳)、基礎疾患のある患者の割合が高いこと(12.6%vs.7.4%)、集中治療室(ICU)入院を要した患者が多いこと(1.4%vs.0.1%)などが明らかとなった。

コロナ発症後の医療サービス利用期間、5歳以下は3~6ヵ月/BMJ

 ノルウェーの1~19歳の年齢層では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療サービス利用の増加への影響は限定的で、回復までの期間が1~5歳で3~6ヵ月と、6~19歳の1~3ヵ月に比べて長期に及び、その主な原因は呼吸器疾患であったことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。研究の成果はBMJ誌2022年1月17日号で報告された。  研究グループは、1~19歳ではCOVID-19前に比べそのあとで医療サービスの利用が増えたかを検証する目的で、一般人口を対象とするコホート研究を行った(ノルウェー公衆衛生研究所の助成による)。

COVID-19経口治療薬「モルヌピラビル」の有効性(解説:小金丸博氏)

モルヌピラビルはSARS-CoV-2や他のRNAウイルスに対して活性を有するリボヌクレオシドアナログである。RNA依存性RNAポリメラーゼに作用することによりウイルスRNAの配列に変異を導入し、ウイルスの増殖を阻害する。今回、重症化リスクを有する非重症COVID-19患者に対するモルヌピラビルの有効性と安全性を検討した第III相プラセボ対象ランダム化二重盲検試験の結果がNEJM誌オンライン版に報告された。被験者1,433例を対象とした解析では、プラセボ投与群(699例)の重症化が68例(9.7%)だったのに対し、モルヌピラビル投与群(709例)では48例(6.8%)であった(相対リスク減少率:30%)。死亡者数はプラセボ投与群9例(1.3%)に対してモルヌピラビル投与群では1例(0.1%)であり、モルヌピラビル投与群で少数であった。劇的な効果とはいえないものの、非重症COVID-19に対して一定の重症化予防効果を示した。

医療者における毎日の手指消毒剤、皮膚バリアへの影響は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、アルコールベースの手指消毒剤(ABHS)を用いて毎日行う手洗いは、皮膚バリアの破壊率が低く、バクテリアや真菌のコロニー形成単位(CFU)数も低値であることが示された。  スペイン・Virgen de las Nieves University HospitalのTrinidad Montero-Vilchez氏らが、水とせっけん、ABHS、除菌シートを比較した無作為化試験の結果を報告した。COVID-19により手洗いの頻度は増したが、臨床におけるさまざまな手指衛生の皮膚バリア機能への影響に関するエビデンスは不足していた。Contact Dermatitis誌オンライン版2021年12月25日号掲載の報告。

新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。  2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。  主な結果は以下の通り。

オミクロン株感染3万例、入院・重症化リスクを解析/Lancet

 南アフリカ共和国・国立感染症研究所(NICD)National Health Laboratory ServiceのNicole Wolter氏らは、国内の4つのデータベースを用いた解析から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株感染者は、同時期に診断された非オミクロン変異株感染者と比較して入院リスクが低いこと、早期のデルタ変異株感染者と比較して重症化リスクが低いこと、この重症化の減少の一部はおそらく過去の感染やワクチン接種による免疫の結果であると考えられることを明らかにした。オミクロン変異株は、2021年11月に同国で確認され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加と関連していた。Lancet誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。  研究グループは、南アフリカ共和国の次の4つのデータベースから個人レベルのデータを連携し解析した。(1)NICDのNotifiable Medical Conditions Surveillance Systemにリアルタイムに報告されたCOVID-19症例データ、(2)公的検査機関(National Health Laboratory Service)および民間の大規模検査機関1社におけるSARS-CoV-2検査データ、(3)民間および公的診断研究所からNICDに送られた臨床検体、および5つの州の肺炎サーベイランスプログラムを介して収集されたSARS-CoV-2ゲノム解析データ、(4)COVID-19による入院に関する積極的サーベイランスシステム「DATCOV」(南アフリカ共和国の全病院をカバー)のデータ。

BNT162b2とmRNA-1273の液性/細胞性免疫、感染/発症/重症化予防効果の推移:オミクロン株を中心に(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

2022年1月12日現在、世界で開発されているワクチンは152個(開発中止になった10個を含む)に及び、その中で28個のワクチンが世界各国によって緊急使用あるいは完全使用が承認され、各ワクチンの感染/発症予防効果、重症化予防効果、特異的副反応などが徐々に明らかにされている。その結果、優れたワクチンとして生き残りつつあるのが、本邦をはじめ世界の先進国で優先的に使用されているRNAワクチンに分類されるPfizer/BioNtech社のBNT162b2(商品名:コミナティ筋注)とModerna社のmRNA-1273(同:スパイクバックス筋注)の2つである。2021年の11月以降、世界を席巻するウイルスはデルタ株からオミクロン株に置換されつつある。本邦でも2022年1月に入り、オミクロン株感染者の急激な増加を認めている。オミクロン株のS蛋白をPlatformにしたワクチン開発は理論的には困難な問題ではない。しかしながら、新たなワクチンを実地臨床の現場で使用できるためには第I相から第III相に至る治験を介して有効性、安全性を検証する必要があり、膨大な時間を要する。その意味で、今年の冬から春にかけて世界を席巻するであろうオミクロン株に対する予防策としては、現在使用可能なBNT162b2、mRNA-1273の2回接種(通常接種)に加え、3回目以上のブースター接種を組み合わせて立ち向かう必要がある。以上のような事実を踏まえ、オミクロン株に対する今後のワクチン政策を医学的に正しい方向に誘導するためには、BNT162b2とmRNA-1273の予防手段としての優越性の違いを確実に把握しておく必要がある。

ファイザーとモデルナが相次ぎ発表、オミクロン特化ワクチンの臨床試験開始

 依然、世界で拡大傾向が続く新型コロナウイルスのオミクロン株を巡り、コロナワクチンを手掛けるファイザー社とモデルナ社が、相次いでオミクロン株に特化した新たなワクチンの臨床試験の開始を発表した。  米国・ファイザー社が発表した1月25日付のプレスリリースによると、臨床試験は、18~55歳の最大1,420例を3つのコホートに分けて実施。コホート1(n=615)は、90~180日前に、既存のファイザー製ワクチンを2回接種した被験者。コホート2(n=600)は、90~180日前に、既存ワクチンを3回接種した被験者。これらのグループに対し、既存ワクチンまたはオミクロン株に特化した新規ワクチンを1回投与する。

軽症でのレムデシビル投与を追記、コロナ診療の手引き6.2版/厚労省

 1月27日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6.2版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。  6.2版の主な改訂点は以下の通り。 ●改訂点 【1 病原体・疫学】 ・オミクロン株について更新 ・国内・海外発生状況を更新 【4 重症度分類とマネジメント】 ・重症度別マネジメントのまとめを更新 ・軽症、中等症Iについて更新  重症化リスクのある患者へのレムデシビル・モルヌピラビル・中和抗体薬投与について追加

非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。