内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:139

降圧薬の中止でフレイル改善?

 フレイル外来に通院中の患者に対する降圧薬の処方中止が、身体機能にプラスの影響をもたらす可能性を示唆するデータが報告された。国立長寿医療研究センター薬剤部の長谷川章氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of International Medical Research」に10月31日掲載された。  フレイルは、身体的・精神的なストレスに対する耐性が低下した状態のこと。高齢者の要介護リスクの高い状態として位置付けられているが、早期介入によって非フレイルの状態に戻ることも可能。その介入方法としては、筋力トレーニングやタンパク質を中心とした十分な栄養摂取などが挙げられる。

血管性認知症やパーキンソン病認知症と尿酸値との関連~メタ解析

 中国・Shenyang Medical CollegeのQian Li氏らは、尿酸値と血管性認知症(VaD)およびパーキンソン病認知症(PDD)との関連を調査するため、メタ解析を実施した。その結果、尿酸値はPDDとの関連が認められたが、VaDとは認められなかった。著者らは、本研究がVaDやPDDの病態生理に関する知識を強化し、予防や治療戦略の開発促進に役立つことが期待されるとしている。Neurological Sciences誌オンライン版2023年1月24日号の報告。  2022年5月までに公表された関連研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Collaboration Databaseより検索した。プール分析、感度分析、出版バイアスの評価を実施した。すべての分析にSTATA 16を用いた。

糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。  中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。

米国では600人以上の医師がパンデミックで死亡

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの初期に、米国では600人を超える医師の超過死亡が発生していたことが報告された。米スタンフォード大学のMathew Kiang氏らの研究によるもので、「JAMA Internal Medicine」に2月6日、レターとして掲載された。著者らは、COVID-19との闘いの第一線にいた医師が多数亡くなったことは、一般市民のCOVID-19関連死の増加をもたらした可能性もあると述べている。  Kiang氏らはこの研究に、米国医師会の医師の死亡に関するデータを使用。準ポアソン回帰モデルという統計学的手法を用いて、過去の医師の死亡件数を基に、季節性などを考慮したパンデミック中の医師の推定死亡リスクを算出。その値と実際の死亡者数との差から、超過死亡者数を割り出した。なお、検討対象期間中の45歳未満の医師の死亡は月5人未満と少数であったため、解析対象の年齢を45歳以上84歳までとした。

低体重と肥満が片頭痛の発症リスク上昇と関連

 低体重および肥満は片頭痛の発症リスクと関連しており、リスクはBMI 20kg/m2未満と29kg/m2超で上昇することが、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」7/8月号に掲載されたレビューにおいて明らかになった。 過去のメタアナリシスからBMIと片頭痛との関連が示されているが、用量反応解析は行われておらず、また、緊張型頭痛(TTH)など、他の一次性頭痛疾患と肥満との関連は明らかにされていない。

他人を思いやる行為は抑うつや不安の症状を軽くする?

 抑うつや不安に苦しんでいる人は、たとえささやかであっても、他人を思いやる行為をすることで症状を軽減させることができる可能性が、新たな研究で示された。さらに、社会的つながりの感覚を高める上では、このような「小さな思いやり」の方が、抑うつや不安に対する標準的な治療法で使われる2種類の手法よりも有効だったという。米South Texas Veterans Health Care SystemのDavid Cregg氏と米オハイオ州立大学心理学部教授のJennifer Cheavens氏が実施したこの研究結果は、「The Journal of Positive Psychology」に12月12日掲載された。  友人に励ましの言葉を書いて送ったり、誰かにコーヒーをおごったりなどの他人を思いやる行為は、相手だけでなく行為者当人のウェルビーイングを向上させることが、過去の研究で報告されている。しかし、Cregg氏によると、抑うつや不安の症状がある人でも同様の効果が得られるのかについては、これまでほとんど検討されていなかったという。

過渡期に差し掛かったコロナ感染症:今後の至適ワクチンは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本論評ではWinokur氏らの論文をもとに先祖株(武漢原株)とOmicron株BA.1に対応する2価ワクチンの基礎的知見を整理すると共に先祖株/BA.5対応2価ワクチンの基礎的、臨床的意義に言及する(BA.4とBA.5のS蛋白塩基配列は同じで、厳密には“BA.4/5対応”という表現が正しいが本論評では“BA.5対応”と簡略表記する)。さらに、今後のコロナ感染制御に必要な近未来のワクチンについても考察する。

オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5系統に対して、既存の抗体薬、抗ウイルス薬、並びにmRNAワクチンの有効性をin vitroで検証した。その結果、患者から分離したXBB.1.5に対して、4種類の抗体薬はいずれも効果が見られなかったが、4種類の抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示したことが明らかとなった。また、2価ワクチン接種者の血漿が、XBB.1.5に対する中和活性を有していることが確認された。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月8日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

 大腸内視鏡検査は、前がん性ポリープの発見・除去により、大腸がんの発生と死亡の減少に寄与する。大腸内視鏡検査において、腺腫発見率(ADR)が重要な指標であり、ADRが1%増加するごとに、大腸がんの発生リスクは3%低下するという報告がある。しかし、武漢大学人民病院のZihua Lu氏らの研究によると、大腸内視鏡検査の精度が時間と共に低下し、ADRが低下することが明らかになった。また、ADRの低下を抑制するためには、人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡検査支援システムの導入が有用であることも示された。JAMA Network Open誌2023年1月31日掲載の報告。

加齢に伴う聴力低下は認知症と関連か

 聴力に問題のある高齢者では、問題のない高齢者と比べて認知症がある人の割合が高いことを、米ジョンズ・ホプキンス大学Cochlear Center for Hearing and Public HealthのNicholas Reed氏らが、「JAMA」1月10日号で報告した。この研究では、補聴器の使用が認知症リスクの抑制につながる可能性も示唆された。  Reed氏は、「難聴は脳の構造的な変化をもたらすとのエビデンスがある」と説明し、「脳の活力を維持するためのインプットが得られない状態になると、いくつかの脳領域が萎縮して認知症を発症する可能性がある」と指摘。また、難聴が続くと、脳の働きに負荷がかかって疲労し、思考力や記憶力の低下にもつながり得るとしている。