世界初のRSVワクチン誕生へ向けて、下気道疾患の予防効果80%超/NEJM
多くの人は2歳までにRSウイルス(RSV)に感染する。生涯を通じて再感染することがあり、通常は症状が軽いもしくは無症状とされている。しかし、高齢者や合併症を有する患者では、下気道疾患が引き起こされ、基礎疾患の増悪、入院、死亡につながる可能性がある。先進国の60歳以上の成人においては、2019年にRSV感染が約520万例の急性呼吸器感染症、約47万例の入院、約3万3千例の院内死亡をもたらしたと推定されている。しかし、現在までに承認されているRSVワクチンは存在しない。そこで、宿主細胞との膜融合に関与するfusion(F)タンパク質について、立体構造を安定させた融合前(prefusion)Fタンパク質を含有するワクチンが開発され、60歳以上の成人を対象とした第III相試験において、RSVに関連する下気道疾患および急性呼吸器感染症の予防効果が示された。本研究はAReSVi-006 Study Groupによって実施され、結果はイタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らによって、NEJM誌2023年2月16日号で報告された。