内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

日本人における砂糖と大腸がんリスクの関連は?

 日本の中年成人における砂糖摂取量と大腸がんリスクとの関連を大規模コホート研究のJPHC研究で検討した結果、明らかな関連はみられないものの、総摂取量が多い女性で直腸がんリスクが増加する可能性が否定できなかった。国立がん研究センターの金原 理恵子氏らの報告がCancer Science誌オンライン版2023年2月27日号に掲載された。  砂糖の摂取量が大腸がんリスクに及ぼす影響はまだ定まっていない。アジア人が摂取する砂糖の原料は欧米人とは異なり、アジア人集団における砂糖の総摂取量および特定の種類の摂取量における前向きコホート研究はほとんどない。

コロナワクチンの重症化と死亡減少効果、RCT28件をメタ解析/Lancet Microbe

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのCOVID-19重症や死亡に対する有効性と、ワクチンによって得られた抗体濃度と有効性の相関性を評価するため、中国科学院深セン先進技術研究院のZhi-Rong Yang氏らの研究グループは、ワクチンの有効性に関する28件のランダム化比較試験(RCT)について、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、ワクチンはCOVID-19感染予防よりも、重症化や死亡に対する予防効果のほうが高いことや、接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。Lancet Microbe誌オンライン版2023年2月28日号に掲載の報告。

うつ病に対するSSRIの治療反応

 うつ病に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の臨床反応の発現には、数週間を要することも少なくない。また、そのメカニズムは十分に把握されているとはいえない。オランダ・ユトレヒト大学のLynn Boschloo氏らは、うつ病の臨床症状に対するSSRIの直接的および間接的な効果について、プラセボ対照の状態と比較し評価を行った。その結果、SSRIは主に感情症状の改善を介して、間接的に認知症状やいくつかの覚醒/身体症状を改善することが明らかとなった。著者らは、本結果はSSRIの作用機序の解明や、臨床でのSSRIに対するレスポンダーおよび非レスポンダーの早期特定に役立つ可能性があると述べている。Translational Psychiatry誌2023年1月21日号の報告。

甘味料エリスリトールに心血管リスク、想定される機序は?

 人工甘味料は砂糖の代用として広く使用されているが、人工甘味料の摂取が2型糖尿病や心血管疾患と関連するという報告もある。米国・クリーブランドクリニック・ラーナー研究所のMarco Witkowski氏らは、アンターゲットメタボロミクス研究において、糖アルコールに分類される甘味料エリスリトール(多くの果物や野菜に少量含まれる)が3年間の主要心血管イベント(MACE:死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生と関連していることを発見し、その後の米国および欧州の2つのコホートを用いた研究でも、その関連は再現された。また、エリスリトールはin vitroにおいて血小板反応性を亢進し、in vivoにおいて血栓形成を促進することを明らかにした。健康成人にエリスリトールを摂取させたところ、血小板反応性の亢進および血栓形成の促進についての閾値を大きく超える血漿中エリスリトール濃度の上昇が引き起こされた。Nature Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

米国では長年減少し続けていた脳卒中による死亡が再び増加傾向

 米国では過去40年間で脳卒中による死亡が劇的に減ったものの、最近は再び増加する傾向にあることが分かった。肥満や糖尿病の増加がそのような変化に影響を与えていると考えられ、ミレニアル世代が歳を取るにつれて、脳卒中による死亡がさらに増加することが予測されるという。米ラトガース・ニュージャージー医科大学のCande Ananth氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Epidemiology」に11月7日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、脳卒中による死亡が増加するという憂慮すべき傾向に対応して、いま新たな戦略が必要であることを強調している」と述べている。

コロナ感染拡大しやすいのは夜間営業店~東京都で大規模調査/東北大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、ロックダウンなど人流の抑制や行動制限の介入による感染拡大のコントロールが世界的に実施されてきたが、社会経済への影響も大きかった。現在はワクチン接種の普及に伴い行動制限の緩和が進んでいるものの、直近の第8波ではコロナ関連死亡者数が過去最多を更新し、依然として感染拡大のコントロールは困難だ。  社会経済活動を維持しつつ感染拡大リスクが高い場面に焦点を絞った感染防止対策の構築のため、東北大学の今村 剛朗氏らによる東京都、東北大学医科学研究科、国立感染症研究所の合同チームは、東京都に報告されたコロナ感染者4万4,054例を対象として、保健所での積極的疫学調査による情報を用いた後ろ向き解析を行った。

医学生に労働法の知識を!医師や弁護士がモデル講義/厚生労働省

 医師の過重労働の問題が指摘されて久しいが、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制をはじめとした「医師の働き方改革」がスタートする。これを踏まえ、厚生労働省では、今後医師となる医学生に対し、労使関係の基本となる労働法や医師の働き方改革の基本を知ってもらうべく、医師や弁護士を講師としたモデル授業をスタートした。  2022年度からスタートしたこのモデル講義について、大学関係者に対して紹介する「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」が開催され、モデル授業を担当した医師や弁護士が講義内容やその意義を報告した。

Yes/No調査による認知症スクリーニングの精度~福井県での調査

 認知症の予防には、早期介入が非常に重要である。しかし、認知症の早期発見に、どのようなスクリーニングが有用であるかは、これまで明らかになっていない。福井大学の濱野 忠則氏らは、サポートやケアを必要とするリスクが高い高齢者を特定するため厚生労働省が作成した基本チェックリストに基づき福井県の認知症予防チームが開発したYes/No自己申告調査の結果と、ミニメンタルステート検査(MMSE)との関連を検討し、Yes/No自己申告調査の認知症スクリーニングに対する有効性を評価した。その結果、認知症スクリーニングに対するYes/No自己申告調査の有効性が示された。とくに、「電話番号を調べて電話をかけられない」「銀行やATMで自身の預貯金を管理できない」などは、認知症のサインであると報告されている。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年1月4日号の報告。

ChatGPTが医師の代わりに?抗菌薬処方の助言を求めると…

 人工知能(AI)言語モデルを用いたチャットサービス『ChatGPT』は、米国の医師免許試験において医学部3年生に匹敵する成績を収めるなど、注目を集めている。そこで、抗菌薬への耐性や微生物の生態、臨床情報を複合的に判断する必要のある感染症への対応について、8つの状況に関する質問をChatGPTへ投げかけ、得られる助言の適切性、一貫性、患者の安全性について評価した。その結果、ChatGPTは質問の状況を理解し、免責事項(感染症専門医へ相談することを推奨)も含めて一貫した回答を提供していたが、状況が複雑な場合や重要な情報が明確に提供されていない場合には、危険なアドバイスをすることもあった。本研究は英国・リバプール大学のAlex Howard氏らによって実施され、Lancet infectious diseases誌オンライン版2023年2月20日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  臨床医がChatGPTに助言を求めるという設定で、以下の8つの状況に関する質問を投げかけた。

研究成果、誤解なく発信できていますか?「信頼性」の意味は研究者と一般人で違う

 3月16日(木)に、「医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き」シンポジウムがオンラインで開催される。シンポジウムに先立って、本プロジェクトの主任研究員である井出 博生氏と山田 恵子氏が、成果の一端を2週にわたって報告する。第1回は井出氏が、医学系研究で使われる用語が研究者と一般人で意味が異なるケースについて、調査結果を踏まえて紹介する。