内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:140

コロナ罹患後症状リスク、短時間睡眠vs.長時間睡眠

 新型コロナウイルスのmRNAワクチン(以下、ワクチン)を2回接種した人ではコロナ罹患後症状(post-COVID)の発現リスクが21%低いものの、短時間睡眠の人ではその効果が弱い可能性があることを、スウェーデン・ウプサラ大学のPei Xue氏らによる研究グループが明らかにした。Translational psychiatry誌2023年2月1日号掲載の報告。  夜間の睡眠時間が短いとワクチン接種による抗体産生が減弱し、睡眠時間が長過ぎても健康状態が悪化するという報告がある。そこで研究グループは、ワクチンを2回接種していても、短時間睡眠(6時間未満)の人と長時間睡眠(9時間超)の人は、いずれも通常の睡眠時間(6~9時間)の人と比べてコロナ罹患後症状の発現リスクが高いという仮説を立てて調査を行った。

リブレの使用パターンと臨床的特徴が明らかに/京都医療センターほか

 先進糖尿病デバイスの進歩により、血糖変動を点から線で計測できる時代となった。おかげで糖尿病を持つ人は自分では気付かない低血糖への対応ができるようになった。では、血糖自己測定(SMBG)のアドヒアランスについて何らかの傾向はあるのだろうか。  坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(9施設)は、日本人の1型糖尿病(T1D)を持つ人を対象に、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いたSMBGのアドヒアランスと、FreeStyleリブレシステム(以下「リブレ」)とSMBGの使用パターンと臨床的特徴がクラスター分析で明らかとなった。

高齢者・小児のマネジメントを追加、COVID-19診療の手引き9.0版/厚労省

 2月10日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第9.0版」を公開し、全国の自治体や関係機関に通知を行った。  今版の主な改訂点は以下のとおり。 ■診療の手引き9.0版の主な改訂点 【1 病原体・疫学】 ・病原体/国内発生状況/海外発生状況の内容を更新 【2 臨床像】 ・臨床像/重症化リスク因子/合併症/小児例の特徴/妊婦例の特徴の内容を更新 【3 症例定義・診断・届出】 ・症例定義/血清診断/届出の内容を更新

子育て世代の日本人女性のうつ症状スクリーニング尺度MDPS-M

 産後うつ病は、出産後の女性にとって重要な問題の1つである。産後うつ病の早期発見と適切な治療には、うつ病リスクの高い女性を迅速かつ簡便に特定することが必要である。大阪大学の竹内 麻里子氏らは、子育て世代の女性の身体症状からうつ症状をスクリーニングする尺度を開発し、検証の結果を報告した。今回、著者らが開発した子育て世代の女性のうつ症状スクリーニング尺度「MDPS-M」は、プライマリケアにおいてうつ病リスクが高い母親の早期の特定に有用かつ簡便な臨床尺度である可能性が示唆されたという。Frontiers in Psychiatry誌2022年12月1日号の報告。

北京では22年11月以降、新たな変異株は認められず/Lancet

 中国・北京市で2022年11月14日以降に流行している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、その大部分がBA.5.2とBF.7で、新たな変異株出現のエビデンスはないことを、中国・Beijing Center for Disease Prevention and Control(北京市疾病予防管理センター)のYang Pan氏らが報告した。約3,000件のSARS-CoV-2について完全ゲノムシークエンスを行い明らかにした。著者は、「今回のデータは北京市のみのものだが、人流の頻度および伝染力が強い系統が循環していたことから、結果は“中国の現状”とみなすことができる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月8日号掲載の報告。

医師のサイバー被害や対策、実際の状況は?/医師1,000人アンケート

 今年の4月からオンライン資格確認の導入(マイナンバーカードの保険証利用)が原則として義務付けられることが厚生労働省より発出されている1)。しかし、ランサムウェアのような診療を妨げるウイルス感染が問題になるなか、サイバーセキュリティーの観点からもオンライン上での個人情報管理に不安を抱える医師は一定数いるだろう。そこで今回、ケアネット会員のうち、20床未満の施設に所属する医師1,000人に「自施設のサイバーセキュリティー対策」に関するアンケートを実施した。

GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。

5~11歳児へのコロナワクチン、MIS-C低減/筑波大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期では、小児が感染しても、成人より軽い症状を呈する傾向があることが研究で示されていた。しかし、パンデミックの進行に伴い、呼吸不全、心筋炎、COVID-19 に続発する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)など、重症化や合併症を発症するリスクがあることが新たに示唆されている。5~11歳の小児への新型コロナウイルスmRNAワクチンの有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏らの研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。

NAFLDに対するペマフィブラート、よく効く患者の特徴

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対するペマフィブラート※の投与は、BMI に関係なく肝炎症および線維化のマーカーを改善し、なかでもBMI 25未満の患者のほうがBMI 30以上の患者と比較して効果が高いことが、篠崎内科クリニックの篠崎 聡氏らの研究で明らかになった。Clinical and experimental hepatology誌2022年12月8日号の報告。 ※ペマフィブラート(商品名:パルモディア)の効能・効果は「高脂血症(家族性を含む)」(2023年2月3日現在)。  NAFLDは、世界で最も一般的な慢性肝疾患であり、近年発症率が増加している。日本では2018年に登場した選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-αモジュレーター(SPPARMα)であるペマフィブラートは、NAFLDの改善が期待されている薬剤の1つである。本研究は、NAFLD患者におけるペマフィブラート投与後の炎症および線維化改善の予測因子を特定する目的で行われた。

アスピリンでいいの?(解説:後藤信哉氏)

骨折症例は肺塞栓症などの致死的静脈血栓リスクが高いと認識されている。欧米諸国では静脈血栓予防の標準治療は低分子ヘパリンである。皮下注射といえども注射と経口の差異は大きい。血栓イベント予防が目的であれば経口薬が好ましい。静脈血栓予防におけるアスピリンの有効性については長年の議論がある。無効とも言いにくいが、抗凝固薬よりも有効性が乏しいと一般に理解されていると思う。しかし、本論文のintroductionに記載されているようにアスピリンと低分子ヘパリンとのしっかりしたランダム化比較試験が施行されてきてはいない。