内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ オートインジェクターの第III相臨床試験

 ヒト化抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、片頭痛発作の発症抑制を適応とする皮下注射製剤である。2022年、フレマネズマブに、自宅での自己注射が可能となるオートインジェクター(AI)製剤が新たな選択肢として加わった。獨協医科大学の平田 幸一氏らは、フレマネズマブのAI製剤の安全性を調査するために実施された第III相臨床試験の結果を報告した。その結果、自宅でのフレマネズマブのAI製剤自己注射は、一般的な安全性および良好な忍容性が認められた。著者らは、有用性およびアドヒアランス改善の観点から、フレマネズマブのAI製剤による投与戦略は臨床的に意義があると考えられると報告している。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2022年12月28日号の報告。

1日を快活にスタートするための三つの鍵

 朝、気持ち良く目覚めて1日を快活に過ごすためには三つの鍵があることが、新たな研究から明らかになった。前日に運動をして、いつもより少し遅めに起き、炭水化物が多めの朝食を取ると良いようだ。これらの3因子は、朝の覚醒レベルにそれぞれ独立した関連があるという。米カリフォルニア大学バークレー校のRaphael Vallat氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に11月19日掲載された。  広告などでは、しばしば朝食のシーンとして、砂糖で甘くしたシリアルがテーブルに並んだ映像が登場する。ただ、砂糖などの単純糖質ばかりの食事は、1日のスタートには最悪のようであり、Vallat氏は、「摂取後に血糖値を急激に上昇させる食品は避けた方が良い」と話す。

おたふくかぜワクチンの予防効果、成人期には低下?

 米国では、小児に対するムンプス(流行性耳下腺炎、おたふくかぜ)ワクチンの定期接種が行われているにもかかわらず、依然としておたふくかぜのアウトブレイクが報告されている。この原因を、ワクチン接種により獲得した免疫の減衰に求める説を裏付ける研究結果が報告された。米ジョージア大学Odum School of EcologyのDeven V. Gokhale氏らによる研究で、詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に1月9日掲載された。  おたふくかぜは、片側または両側の頬(耳の下)や顎の下の腫れ、発熱などを主症状とする全身性のウイルス感染症だ。通常は、比較的軽い症状が1〜2週間続いた後に軽快するが、脳の炎症や難聴などの深刻な合併症を引き起こして重症化することもある。そのため、米国では、小児に対する麻疹(はしか)・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン(MMRワクチン)の定期接種が奨励されている。

コロナの重症肺炎、他の肺炎と転帰は異なるか

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重大な合併症の1つとして急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がある。COVID-19による肺炎が引き起こすAHRFは、他の原因によるAHRFとは異なる表現型を有し、より高い死亡率を示すと考えられていた。そこで、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のEric P. Nolley氏らは、COVID-19により人工呼吸器が必要な重症肺炎を発症した患者について、他の原因によって重症肺炎を発症した患者と転帰を比較した。その結果、COVID-19による重症肺炎患者は、他の原因による重症肺炎患者と比べて死亡率の上昇は認められなかったものの、人工呼吸器を外すまでの期間が長かったことを明らかにした。JAMA Network Open誌2023年1月10日掲載の報告。

新型コロナワクチンの2回目のブースター接種、心臓への悪影響なし

 ファイザー社製新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの2回目のブースター接種(追加接種)は心臓にとって安全であることが、前向きおよび後ろ向きコホート研究で確認された。テルアビブ大学(イスラエル)経営工学分野のDan Yamin氏らによる研究で、詳細は「Lancet Respiratory Medicine」に11月18日掲載された。  この研究では、2種類のデータを用いてファイザー社製COVID-19ワクチンの2回目のブースター接種の安全性を評価した。データの一つは、イスラエルで2番目に大きな健康保険組織Maccabi Healthcare Servicesの加入者からランダムに抽出した25万人分のデータ(後ろ向き研究)であり、もう一つは現在も継続中の前向き観察研究であるPerMed試験(前向き研究)の参加者4,698人のデータである。

血圧が高い人ほど眼圧が高い

 日本人対象の大規模な横断研究から、緑内障を含む眼疾患既往歴のない一般住民において、収縮期血圧と拡張期血圧のいずれについても、その値が高いほど眼圧が高いという有意な関連のあることが明らかになった。慶應義塾大学医学部眼科の羽入田明子氏、筑波大学医学医療系社会健康医学の山岸良匡氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に10月19日掲載された。  眼圧とは眼球内の圧力のこと。眼球の形を維持するために一定程度の眼圧が必要とされるが、高すぎる眼圧は視神経にダメージを与え、視野障害を引き起こす。現在、国内での視覚障害の原因のトップは緑内障であり、緑内障の治療においては眼圧をしっかり下げることで視神経への負担を抑制することが重要。

高齢者の歩行速度と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の多治見 昂洋氏らは、高齢者の歩行速度と脳体積および認知症発症リスクとの関連を調査した。その結果、最高歩行速度が低下すると認知症リスクが上昇しており、この関連には海馬、島皮質の灰白質体積(GMV)減少および白質病変体積(WMHV)増加が関連している可能性が示唆された。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2023年3月号の報告。  MRIを実施した65歳以上の認知症でない日本人高齢者1,112人を対象に、5.0年間(中央値)フォローアップを行った。対象者を、年齢および性別ごとに最高歩行速度の四分位により分類した。GMVおよびWMHVの測定には、voxel-based morphometry(VBM)法を用いた。最高歩行速度とGMVとの横断的な関連を評価するため、共分散分析を用いた。最高歩行速度と認知症発症リスクとの関連を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。最高歩行速度と認知症との関連に対する脳体積の影響を検討するため、媒介分析を行った。

スタチン・アスピリン・メトホルミンと肝がんリスクとの関連~メタ解析

 スタチン、アスピリン、メトホルミンが肝細胞がんを予防する可能性があることを示唆する報告があるが、これまでのメタ解析は異質性やベースラインリスクを適切に調整されていない試験が含まれていたため、シンガポール・National University of SingaporeのRebecca W. Zeng氏らは新たにメタ解析を実施した。その結果、スタチンおよびアスピリンは肝細胞がんリスク低下と関連していたが、併用薬剤を考慮したサブグループ解析ではスタチンのみが有意であった。メトホルミンは関連が認められなかった。Alimentary Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2023年1月10日号に掲載。

オミクロン株BF.7、BQ.1.1、XBB.1に対するワクチンの効果は?/NEJM

 2月2日に発表された東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議・分析資料によると、これまで主流だったオミクロン株BA.5から、BQ.1.1やBF.7に置き換わりが進んでいる。海外では、インドやシンガポールなどのアジア諸国でXBB系統の勢力も拡大している。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのJessica Miller氏らの研究グループは、1価およびBA.4/5対応2価のmRNA新型コロナワクチンを追加接種した被験者において、これらの新たな変異型についてワクチンの効果を評価したところ、BA.5と比較して、BQ.1.1やXBB.1に対するワクチンによって獲得できる中和抗体価が、著しく低いことが示された。

ワーケーションで動脈硬化予防?

 都会を離れた落ち着いた環境でリモートワークをする「ワーケーション」によって、動脈硬化の進行が抑制されることを示唆するデータが発表された。米ハーバード大学医学部および奈良県立医科大学医学部客員教授の根来秀行氏らの研究によるもので、詳細は「Healthcare」に10月15日掲載された。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック以降、在宅でのリモートワークが広がり、さらにワーケーションも注目されるようになった。ワーケーションは一般的に、リゾート地などの自然豊かな環境で心身を休めながら仕事をすることを指し、そのような新しい働き方による労働生産性への影響など、主に社会経済的な視点からの関心が寄せられている。その一方、労働者の健康への影響という視点での研究はまだ少ない。根来氏らは、このような背景から本研究を行った。