内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:152

冬が近づくと多くの人が抑うつ状態になりやすくなる―AHAニュース

 冬になると木々の葉が落ち、気温が下がり、太陽が弱々しくなる。これを季節の移り変わりとして楽しむ人もいるが、一方で冬季に季節性情動障害(SAD)と呼ばれるうつ病の一種を経験する人も少なくない。「その症状は一般的なうつ病とほとんど変わらない」と米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のThea Gallagher氏は解説する。同氏によると、「両者の唯一の違いは、SADの発症が季節と関連していること。通常は日光が弱まり気温が低下して、身体活動が少なくなりがちな秋から冬に症状が現れ、春には消失する。しかし、毎年ほぼ同じ時期に再発しやすい」とのことだ。

コロナウイルスの生存率が高い食品は…野菜or肉or魚?

 2019年冬、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が初めて発生し、その起源も生きた哺乳類が売られていた「海鮮市場」と研究報告もまとめられている1)。以来、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)と食品との関連性については懸念が続いているが、SARS-CoV-2の食品での生存率と除去に関する研究はほとんど存在していない。そこで、韓国・中央大学校のSoontag Jung氏らがSARS-CoV-2の生存に最適な保管温度や素材を調査するために、レタス、チキン、サーモンにSARS-CoV-2を付着させ、温度や湿度を変化させて検証した。その結果、SARS-CoV-2の生存率は、保管温度と食品に依存しており、室温ではレタスとチキン上での生存率が低いことが明らかになった。Food Microbiology誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。

脳の強化にはベリー類などの食品が良い可能性

 ベリー類やお茶をたくさん摂取すれば、加齢に伴う認知機能の低下速度を遅らせることができるかもしれない。米ラッシュ大学医療センターのThomas Holland氏らが、900人以上の成人を対象に実施した研究で、抗酸化物質のフラボノール類を含む食品や飲料は、高齢者の脳に有益な影響をもたらすことが示された。フラボノール類は、ベリー類などの果物や緑色の葉物野菜、茶、ワインなどに含まれている。この研究結果は、「Neurology」に11月22日掲載された。  この研究でHolland氏らは、認知症がない60〜100歳の研究参加者961人(平均年齢81歳)のデータを収集した。平均6.9年にわたる追跡期間中に、これらの参加者は年に1回の頻度で食事に関する質問票に回答しており、1日当たりのフラボノール類の摂取量に応じて5群に分けられた。参加者のフラボノール類の1日当たりの平均摂取量は、最も多い群で15mg(葉物野菜で約1カップ分に相当)、最も少ない群で5mgだった。認知機能については、参加者に対して1年に1回の頻度で実施された19種類の認知機能検査の結果を基に、包括的な認知機能スコアを算出した。

心臓に良いとされるサプリのコレステロール低下作用は否定的/JACC

 心臓に良いとされているサプリメント(サプリ)のコレステロール低下作用を検討した結果、いずれも見るべきものはなく、中には負の影響を示すものもあったとする報告が、米国心臓協会(AHA)学術集会(Scientific Sessions 2022、11月5~7日、米シカゴ/バーチャル開催)で発表されるとともに、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に論文が同時掲載された。米クリーブランド・クリニックのLuke Laffin氏らの研究によるもの。  心血管疾患のリスク抑制には、血清脂質値の改善〔LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の低下、HDL(善玉)コレステロールの上昇〕が重要であり、その手段として医師からは、主としてスタチンと呼ばれる薬剤が処方される。一方、処方箋のいらないサプリメントの中にも心臓に良いとされているものがある。ただし、それらの血清脂質改善作用は明らかでない。そこでLaffin氏らは、それら6種類のサプリの脂質改善作用をスタチンの一種であるロスバスタチンと比較するという、前向き無作為化単盲検比較試験を実施した。

餅は胃内で硬くなる!?胃に丸餅10個確認された症例

 毎年、年末になると餅による窒息の注意が喚起されるが、餅の胃内滞留はほとんど知られていない。胃酸が餅を溶かすと誤解されているが、雑煮など温かい汁物の中では柔らかい餅が、胃内の温度では胃液で溶けない程度に硬くなる。そのまま餅が胃内に滞留すると、胃潰瘍や胃穿孔を引き起こす可能性があるので、小児や高齢者以外も注意が必要だ。今回、雑煮の餅を噛まずに飲み込んで胃内に滞留し、腹痛で来院した症例について、名手病院(和歌山県紀の川市)の川西 幸貴氏らがClinical Case Report誌オンライン版2022年12月5日号に報告した。

降圧薬使用とアルツハイマー病との関連~メタ解析

 高血圧は認知症のリスク因子として知られているが、高血圧患者のアルツハイマー病リスク軽減に対する降圧薬使用の影響についてのエビデンスは、決定的であるとは言えない。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン薬学部のM. Adesuyan氏らは、認知機能が正常な高血圧症の成人患者における降圧薬使用とアルツハイマー病発症率との関連を調査した。その結果、降圧薬の使用とアルツハイマー病発症率低下との関連が認められた。とくに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用は、降圧薬の中でも最大のベネフィットをもたらす可能性が示唆された。このことから著者らは、降圧が認知機能保護の唯一のメカニズムではない可能性があり、認知機能に対するアンジオテンシンIIの影響についてさらなる調査が求められるとしている。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2022年号の報告。

女性が運動をするなら朝が最適?

 中年期以降の女性が健康のために運動をするなら、早朝から午前中に行うと良いかもしれない。その方が心血管イベントリスクをより抑制できる可能性を示唆するデータが報告された。ライデン大学医療センター(オランダ)のGali Albalak氏らの研究によるもので、詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」に11月14日に掲載された。なお、男性ではこのような傾向は見られないとのことだ。  Albalak氏はこの研究結果の報告に際して、「まず基本的に伝えたいことは、いつ行ったとしても運動にはメリットがあるということだ」と述べ、運動そのものの意義を強調している。実際、公衆衛生に関する大半のガイドラインでは、運動の強度や頻度に関する推奨を掲げているものの、タイミングについては触れていない。Albalak氏らはそのような認識を基盤とした上で、概日リズム(1日24時間周期の生理活動)との関連から、運動を行うタイミングが健康上のメリットに影響を及ぼす可能性があるのではないかと考え、本研究を行った。

冬季うつの改善に運動を

 冬に入り日が短くなると、季節性感情障害(SAD)として知られる冬季うつのために、気分が落ち込みやすくなる人が増加する。例えば、疲れやすい、人生に行き詰まった感じがする、やる気が出ない、炭水化物や甘い物が欲しくなる、といった症状が現れることがある。そのような時は、有酸素運動などを行うと気分を高めるのに役立つかもしれない。米ベイラー医科大学のJames McDeavitt氏らが同大学のサイト内で、冬季うつを改善するためのいくつかのヒントを提供している。  McDeavitt氏はまず、「SADでは、運動を継続するか、場合によっては運動量を増やすことが望ましい」と語る。「有酸素運動を継続的に行うことは気分に良い影響を与える。ただし、必ずしも負荷のかかるジョギングなどである必要はない。ヨガや太極拳、瞑想なども、抑うつ症状の改善に役立つ」とのことだ。同氏は、「SADやうつ病、その他の原因でセロトニンとドーパミンのレベルが低下している状態では、運動を通じて脳内神経伝達物質のレベルを高めるというメリットを得られる」と、症状改善のメカニズムを解説している。

トリグリセライドの新基準と適切なコントロール法/日本動脈硬化学会

 今年7月に発刊された『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』。今回の改訂点の1つとして「随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値」が設定された。これらの基準をもとに動脈硬化性疾患のリスクとしての高TG血症を確認するが、TG値の低下だけではイベントを減らせないため、高TG血症の原因となる生活習慣を改善させ適切な治療介入により動脈硬化を抑制するという観点から複合的に行う必要がある。今回、日本動脈硬化学会プレスセミナーにおいて、増田 大作氏(りんくう総合医療センター循環器内科部長)が「高トリグリセライド血症とその治療」と題し、日本人疫学に基づいたTGの適切なコントロール法について解説した。

MCIやアルツハイマー病患者でみられる嗅覚識別能力の低下

 金城大学の吉武 将司氏らは、地域在住高齢者において、軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病(AD)の嗅覚同定能力を調査し、識別困難なにおいの特定を試みた。その結果、MCIやADの高齢者は認知機能が正常な高齢者と比較し、嗅覚同定能力の低下が認められた。このことから著者らは、認知症患者に対し嗅覚刺激に関連する治療介入を行う前に、嗅覚の評価を行うことが重要であるとしている。Journal of Physical Therapy Science誌2022年11月号の報告。  対象は、MCI高齢者(MCI群)12例、AD高齢者(AD群)17例、どちらでもない高齢者(対照群)30例。嗅覚同定能力は、においスティック(OSIT-J)による検査を用いて評価し、スコアの群間比較および群間差を調査した。次に、各においに対する正答率の群間比較を行い、識別困難なにおいの特定を試みた。